第247話・いたぶり倒す快感
「ごっめ~ん!」(律代)
「わたしったら、また殺しちゃったわァ!」
「もういくら殺しても、何にも感じないかも。」
「わたしって、ヤバすぎ?」
「じゃあ、もう1人いっちゃおうかなァ。」
両手を腰に当てながら隣に横たわる兵士を見下ろす彼女。
おもむろに右足を20cmほど持ち上げて男の口元を覆った。
「ほらっ、舐めろ!」(律代)
彼の口元にゴム長靴のソールを押し付けるとにじり回し始めた。
「ほらほらァ~。」(律代)
「舐めなさいってばァ。」
「わたしのワクマス、汚れてんだからさァ。」
「綺麗にしてよね。」
「ほらァ!」
散々暴れて泥々に汚れた靴底で踏みにじられて、男の口元は真っ黒になっていた。
それでも口を真一文字に閉じて無言の抵抗を続けるこの男。
「ザケンナヨ!」(律代)
「わたしの言ってる事、」
「わかんねぇのかよ!」
「ベッ!」
イライラしながら彼の口元に痰ツバを引っ掛けると更にヒートアップする。
グリグリとゴム長ソールでにじり回し、彼の鼻の骨は砕けて陥没し、
そこから流れ出る血と靴底の泥とでどす黒い液体まみれになっていた。
「あらあら、こんなに汚れちゃって、」(律代)
「アンタ、ほんとムカつくんだよね。」
「コノッ!」
“ブシュッ!”
汚れたつま先で彼の耳の辺りを蹴り付ける彼女。
必死の抵抗もむなしく、ただただ面白半分に蹴り殺されただけの彼。
“ババババババババッ!”
わたしは思わず引き金を引いていた。
残った兵士達に向かって乱射したのだ。
もう見ていられなくなって、残りの兵士を全員射殺したわたし。
いきなり発砲したから飛び上がって驚いた律代。
「ちょっと、ナニするんですか?」(律代)
「みんな、死んじゃったじゃないですか。」
「もう十分でしょ?」(わたし)
「彼らをいたぶり倒してそんなに楽しい?」
「わたし達、リアルSMやりに来たんじゃないのよ。」
「律子さんって、結構冷めてるんですね。」(律代)
「少しくらい男をイジメる快感味わいたかったァ!」
「律子さんは、今まで大勢殺してきたからァ、」
「でも、わたしの闘いは今始まったばかりなんですよ。」
そう言うと少しむくれた顔でわたしを睨みつける彼女。
「こんな所でグズグズしてないで、」(わたし)
「さあ、行くわよ。」
わたしは半ば強引に本部ビルの正門に向かって歩き始めた。
彼女も黙ってついて来る。
18名の惨殺体を残してわたし達はいよいよ親衛隊本部に乗り込む事にした。
思えばこれからわたし達で大勢の敵を殺すことになる。
たかだか20~30人殺したってどうって事ないのだ。
ただし、散々イジメ倒して惨殺するよりはひと思いに銃撃を加えて死なせてあげたいと思った。
先程の争乱で本部内は煌々と明かりがついて騒々しい。
わたしも律代も短機関銃を構えながらビル内に乱入する。
“ババババッ!”
不意に現れた兵士や将校を撃ち殺すわたし。
“ババババババッ!”
正面の内部ゲートの奥にいた下士官と歩兵4名をハチの巣にして微笑むJK。
「わたしだって!」(律代)
勝ち誇ったようにドヤ顔でわたしの方を見る。
もうこうなったら、等身大で暴れ回るしかない。
今回のトリップに特に大きな目的は無い。
ただこの子のトレーニングがてら来ただけなのだ。
実はわたしもすでに何人も射殺しているのに何も感じていなかった。
この前は殺戮する巨大オンナにあれ程嫌悪感を抱いていたのに。
自分が当事者になってみると事も無げに殺しを実行できるものなのだ。
それでもわたしはJKのように決して楽しんではいない。
“ババババババババッ!”
「コノ~!」
“ババババババババッ!”
わたしと律代とで更に階下に降りてきた警備兵約10名ほどを撃ち殺し2階の広場に躍り出た。
四方から銃を構えた兵士約数十名がわたし達を狙っている。
どうせ弾が当たっても死なないわたし達。
恐怖心はかけらも無かったが、わたし達のマシンガンの弾は残り少なかった。
“バババババッ!”
“カチャッ、カチャッ!”
「あれっ?」(律代)
「弾切れみたいです。」
わたしも律代も更に数名づつ射殺したらすっかり弾切れになった。
そんな状態を見た彼らは四方からわたし達目掛けて飛び掛かってきたのだ。
わたし達を生け捕りにするつもりらしい。
「ナニすんのよ!」(律代)
「コンニャロ~!」
わたし達はあっと言う間に30名ほどの兵士達に揉みくちゃにされていた。
いくら鋼の体とはいってもほぼ等身大だから力負けしそうな勢いだった。
わたしも手あたり次第に殴り付けたり蹴り付けたりして防戦一方である。
わたしより長身の律代は敵兵の頭を押さえながら押し倒し、
倒れた連中を思いっきり踏み付けている。
まるで鬼神のような表情で暴れまくる彼女。
その時だった・・。
何やら地響きがし始めたのである。
“ズゴゴゴゴゴゴッ!”
まるでストップモーションのように目の前のJK律代の体が膨らみ始めている。
同時にわたしの体にも異変が起きていた。
何だか体中が火照ってジリジリと熱くなり、目線がどんどん上昇していく。
目の前にいた大勢のドイツ兵どもはすっかりわたしの視界から消え去った。
わたしの頭は上階のフロアを突き破り両手はこの階の壁を破壊し、両足は床を踏み抜いていた。
何が起こったのか何となく理解できたわたしだった。
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