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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第24話・わたし達、ジーパンレディースで~す!

 わたし達の楽しい女子会の席で飛び出した“キモタク撲滅作戦”の話はその場の冗談では済まなくなっていた。

男運の無い麻美にとってはフラストレーションのはけ口になる絶好の機会だったみたい。

“キモイ男に追い回された。”という作り話が彼女の正義感に火をつけた。

それにしても、少し酔っていたとは言え麻美があんなに暴力的だったとはちょっとびっくりのわたし。

でも、これで彼女がジーパンレディーになれば大活躍間違いなしという事になりそうだ。

そして、トリップデーの当日になった。

いつになくちょっと興奮気味の麻美。

「ねえ、律子!そのオタクって弱そうなの?」と興味津々の彼女。

「2人ともひ弱そうなカメラ小僧だよ。」とわたし。

「じゃあ、わたし達3人で取り囲んじゃおうよ!」とやる気満々の彼女。

仕事を終えたわたし達はとりあえずわたしの部屋に向かった。

わたしの部屋で時間つぶしにおしゃべりをしていたわたし達は腰を上げた。

「そろそろ、あの公園に行ってみない!」と切り出すわたし。

その言葉に大きくうなずく2人だった。

3人で公園に行ってみるとだ~れもいない状態だ。

❝よし!これは絶好のチャンス!❞

「だれもいないね・・。」とちょっとガッカリの麻美。

次の瞬間、わたしはいつもの手鏡を取り出して呪文を唱えた。

何をしているのかまだ理解できない麻美はポカーンと見つめている。

するとグリーンの閃光が走り古めかしい扉が現れた。

「これって・・。」あまりの幻想的な光景に言葉が続かない麻美。

「さァ、一緒に行きましょ!」と麻美の腕をつかんで扉を開けるわたしだった。

更に里奈子が、

「さァさァ、どうぞどうぞ!」と言って彼女の背中を両手で押す。

麻美は全く抵抗する事も無くわたし達と一緒に扉の中に入った。

❝大きな大きなナチの街の中心に行けます様に!❞とイメージするわたし。

薄暗い中で2つ目の扉を開けるといきなり光が差し込んできてまぶしかった。

目が慣れてくるとそこには今までにないくらいの大都市が広がっていた。

扉の下には10階建て以上の高層ビルが無数に林立している。

パッと見た感じ150m四方に渡る大都市の中心街にやって来たわたし達だった。

まずは、わたしから街の中心のロータリー広場に足を踏み下ろす。

❝ズシーン!ズシーン!❞

そして次に里奈子が続き、言葉も出ないくらいに呆然とする麻美が恐る恐る足を踏み入れた。

中心地の巨大なロータリーと言ってもわたし達のサイズで直径1m位だから余裕があるはずも無く、わたしは片側3車線で幅60cm程の道路の方に少し移動した。

里奈子はわたしと反対側の道路に移動し、ロータリーの中心には棒立ち状態の麻美が立っていた。

街の中心に里奈子、麻美、わたしの順番で3人の巨大なジーパンレディーが突如出現し、足元の小人達はパニック状態になっている。

わたし達も気づかないうちに広場や道路の車や街路樹を踏み潰していた。

わたし達が降り立つと時空の扉は“スゥ~”と消えた。

「ここが小人の世界で~す!ウェルカム!」と明るく麻美の肩を叩くわたし。

「これから、みんなで楽しい事するんですよねェ~!」とニコニコ顔の里奈子。

「ちょっと!これっていったいどういう事なのよっ!」とわたしの顔を見つめる麻美。

でも決して怒ってはいない。

むしろワクワク感が爆発しそうな表情だった。

「キモイカメラ小僧がァ、この街にいるの。」

「だから、そいつ等を見つけて懲らしめちゃお!な~んて」とおどけるわたし。

「小人の世界って・・、これって夢なの?」と何がなんだか全く理解できない麻美。

なので、わたしが簡単に説明してあげる。

「まあ、夢みたいなもんかしら。」

「実はわたしの持っているこの手鏡が時空の扉の鍵になってるの。」

「この世界ではわたし達は100倍の大きさなんだよ。」と周りを見渡すわたし。

「1時間で元の世界に戻れるから心配しないでネ。」

「それまでは、わたし達のやりたい放題!」

「今日は3人で思いっきり暴れましょ!」ともう一度軽く麻美の肩を叩くわたしだった。

わたしの説明にうなずきながら麻美は足元の方を見て言った。

「そういえば、わたしの足下にちっちゃいのがたくさんいるゥ~。」

「これってっ、本当にみんな生きてるのォ?」

「信じらんないっ!やっぱ夢だよね?」と言葉では否定しながら、それを楽しんでいる表情の麻美。

❝彼女は明らかにわたしのゴーサインを待っているんだ。❞と確信するわたしだった。

わたし達がそんなやり取りをしていたら、麻美の正面の道路上を向こうの方から隊列を組んだ一団がやって来るのが見えた。

この都市に駐屯しているドイツ軍部隊だ。

❝大都市だからさすがに早いわね。これは好都合だわ。❞と期待感でいっぱいになるわたし。

❝あいつらに麻美を攻撃させれば、きっと彼女の怒りに火がつくはずだ。❞

わたしの感じている事を里奈子も感じているらしくニッコリと微笑んでいる。

「麻美!奴らが攻撃してくるからゴム手をはめなきゃ!」と叫ぶわたし。

ポケットから職場で使っているゴム手袋を取り出した麻美は素早くはめる。

そして里奈子は通販で見つけた純白でエナメル系の40cmのロング手袋をはめ、わたしはいつものアイボリーの皮の手袋をはめた。

これで、ブラック、ダークブラウン、ベージュグレーの3色のロングブーツをジーンズにブーツインした巨大ヒロイン・ジーパンレディースが勢揃いしナチスの巨大都市に闘いを挑もうとしていた。




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