第23話・超危険なオンナ麻美登場!
わたし達は今日の破壊について、そしてジーパンレディーとしての基本についていろいろと話し合った。
あのおとなしくて目立たない里奈子がコスプレチックな格好で大暴れする事にすっかり心を奪われてしまっているようだった。
「わたしも闘う巨大ヒロイン・ジーパンレディーなんですよね。」
とウットリした表情の里奈子。
❝ひょっとしたら、長身の里奈子が本気で暴れたら手がつけられないくらい凄い事になるのかもしれない。❞
わたしは期待感で胸がいっぱいになった。
そうこうしている内にわたし達はマックを出て別れる事にした。
次回のトリップまでに何とか親友の麻美をジーパンレディーにする方策を考えなければならない。
麻美はわたし達3人の中では身長160cmと一番小柄だが、性格的には一番明るくて積極的で正義感が強い。
だから、ジーパンレディーにはピッタリだ。
そんな風に普段感じていたわたしだったが中々“小人の世界にトリップ”なんていう突拍子も無い話を切り出す事が出来なかった。
しかし、もうすでにジーパンレディーとして大活躍してくれた里奈子がわたしの援護にまわってくれるはずだから心強い。
ただし、麻美の事だから“2人とも変人になったの?”なんて平気で言いそうだから慎重にアタックをかけなければ・・。
数日後、わたし達3人で夜飲みに行く事になった。
別にわたしが画策した訳ではなかったが、麻美から“今夜飲みに行こうよ!”と誘ってきたのでこれはチャンスとばかりに里奈子も誘うわたし。
ちょっとお洒落なスペイン料理のレストランで食事をするわたし達。
お酒が苦手な里奈子はソフトドリンク、そしてわたしと麻美はワイン飲み放題だ。
「このパエリア美味しいよねェ!」とわたし。
「ホント、ホント、この小海老の料理もワインに合うよね。」と上機嫌の麻美。
天真爛漫で美人な麻美、以前彼氏に浮気をされて別れてから男性不信になっている。
そんな事情もあって“男どもは許せない!”と言う変な正義感を持っていた。
少し酔わせた後にこの辺のポイントを上手くついていけば乗って来るに違いない。
「ところで麻美!キモイ男どもを足げにしたくない?」と冗談めかしに切り出すわたし。
「あったりまえじゃん!そんな奴らどこにいるって?」とちょっと酔っ払い気味の麻美。
「この間わたしと里奈ちゃんがヒドイ目に遭ったの!」とわたし。
「ホントにィ?そんな奴らわたしがぶっ飛ばしてやるからね!」と威勢のいい彼女。
小人達を酷い目に遭わせたのはわたし達の方だがそんな事はどうでもいい。
「気の強い麻美が来てくれれば心強いんだけどなァ。」とわたし。
「そうなんですよォ、麻美さんとわたし達で仕返ししに行きましょうよォ!」と里奈子も援護射撃。
「じゃあ、わたし達でそいつらをボッコボコにしてやろっかっ!」と調子にのる麻美。
更に
「里奈ちゃんと律子で押さえつけてくれればァ、わたしがブーツで思いっきり蹴りぶっ込んじゃうゾッ・・みたいな!」とノリノリの麻美。
「じゃあ来週の金曜にバイトの後わたしの家に一緒に来てね。」とちょっと現実っぽくなるわたし。
「ホントにそんな奴らがいるの?」と真顔に戻った彼女。
「そうなの、わたしの近所の公園にオタクみたいなキモイのが2人いて、わたしの事を無断で撮影しようとするの。」
「もう、ほんとキモイんだからァ!」とイライラして見せる。
「そうなんですよ!この間律子さんの家に遊びに行ったときに、わたしも撮られそうになったんですゥ!」とあおりまくる里奈子。
「じゃあ、わたし達でそいつらに思い知らせてやろう!」と麻美。
「そいつら見た目も凄くキモイし、素手でひっぱたくと手が汚染されそうだからァ、バイトで使ってるゴム手袋も持ってきてね。」と何気なく付け加えるわたし。
「いいわよ!わたしのゴム手って、チョー汚れてるからそいつ等の顔に押し付けてやろっかなァ。」とノリのいい麻美。
そういえば、麻美が清掃作業ではめているのはわたしのと同じタイプで34cmサイズの白いゴム手袋だ。
相当長期間使っているみたいで手の平にも甲にもビッシリとカビのような黒い水垢がこびり付いていて汚い。
確かにあんなので顔を押さえつけられたらたまらないって感じ。
「じゃあ、金曜はみんなで一緒に律子の部屋に行こう!」
「その後で公園に行ってみて、そいつ等がいたら、痛めつけてやろ!」となんとも頼もしい麻美だった。
でも一番小柄な麻美も160cmだし、里奈子は170cmと長身だ。わたしは164cmあるし結構わたし達って大きめ女性だから本当にそんなキショいオタクがいても怖くないかも・・。
こちらの世界でも3人揃えば結構迫力があるから、あっちの世界に行けば正に無敵のジーパンレディースだ。
コス的にはゴム手袋の部分さえ押さえておけば麻美は普段からわたしと同じブルージーンズにロングブーツインスタイルだから安心だ。
しかも男関係を絶ってからはメイクはするけどファッションはいつも同じ。
トップスのシャツもブラウンとイエローの2種類だけだし、アウターのジャケットも黒いのひとつだけだった。
それにジーンズはわたしと同じで殆ど洗濯してないようなネイビーブルー系のスキニージーンズでヒザやヒップの色落ちが特に激しい。
そしてブーツはベージュがかった柔らかいグレー系の6cm丈のヒールがシッカリとしたジョッキータイプのロングブーツだ。
麻美の持っているロングブーツはこれ一本だけでいつも履いているから擦り傷や黒い汚れが結構付いていて使用感たっぷりだ。
ロングタイプのゴム手や皮手をはめ、ジーパンにロングブーツインスタイルのわたし達が並ぶと恐ろしいほど破壊的で美しい・・、なんて想像したらわたしの興奮は最高潮に達していた。
これでトリップデーにいつもの公園に3人で揃う段取りは完璧に整った。
あとは当日上手いこと言って里奈子と2人で無理矢理にでも麻美を引っ張り込めばよいのだ。
“シメシメ”とほくそ笑むわたしだった。