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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
224/278

第224話・次のトリップは?

 ひざ下まであるロングタイプのゴム長靴を履いてやる気モードのわたし。


「このゴム長、いい感じね!」(わたし)

「ホントにもらっちゃってもいいの?」


「喜んで差し上げますよ。」(律代)

「頂き物ですし。」

「わたし達、お揃いですね。」


そう言えばわたしも彼女も使い古しのジーパンに白いゴム長靴を履いていて、名前に律の字がついている。

でも彼女の倍歳を食っているわたし。

何だかこの初々しい後輩が愛おしく思えてきた。

そんな彼女と和気あいあいと世間話をしながら作業した。

久しぶりの勤務もいい汗をかいて過ごし、可愛らしい新人さんとも仲良くなれて充実した1日だった。


帰宅後、部屋に戻ったわたしは次のトリップの計画を練り始めた。


“とりあえず、近日中にトリップしてみなくちゃ。”

“できれば、2つ目の扉を開けることなく鏡を見つけられたらって思ってる。”


そんな風に思い描きながら、久しぶりのトリップをどこでやろうかと考える。

やっぱりあの公園がいいかな。

格好も普段着でいいし、ジーパンにブーツはいつものわたし流だし。

それにしても、今日彼女からもらったゴム長はとてもイイ!

わたしのくたびれたジーパンによく合っているし、それにひざ下まである長さがとっても魅力的だった。

彼女は機能的に気に入ってたみたいだけど、わたし的にはやっぱり見た目。

履いた格好と色合いとシルエットが完璧だった。


“何で今まで、ミドル丈のあのゴム長履いてたんだろう?”

“あれも、会社から支給されたものだし。”

“そういえば、里奈子と2人であのゴム長でナチスを相手に大暴れしたっけ、”

“あの子、今どうしてるかな?”

“あの男の子と一緒なんだろうな。”


そんな事を思い出してはみたが、リリア達の登場で完全に音信不通になってしまった昔の友人達。

わたしがヤバい人物だから、もちろんわたしと関わらない方がいいに決まっている。

そう言う意味では、寂しい気持ちだけど仕方がなかった。


“でもあの時みたいに、ナチスの飛行場に行ってワクマスのゴム長で大暴れしたらどんな感じなんだろう?”


いけない事を妄想し始めるわたし。

それほど、今日職場のロッカールームの鏡に映し出されたわたしのゴム長姿が魅力的だった。

わたしもアラサーとは言え、まだまだスタイルには自身がある。

ほっそりとした体形にスキニー系のジーンズに長い白ゴム長靴にゴム手袋。

正義の味方感が半端ないって感じちゃった。

そう言えば、新人の律代も長身でスリム系でスタイル抜群だった。

彼女のジーパン&ゴム長スタイルも中々素敵だった。

あの頃なら律代も誘ってトリップ、なんて・・。

でも、今は破壊と殺戮の現場を目の当たりにしたから、とても暴れたいという気にはなれそうも無かった。

それに、あの子をあっちの世界に連れて行っても戸惑うばかりで暴れるどころじゃないかもしれないと思った。

それ程、生真面目で優しくて真っすぐな女の子だった。

ナチスと闘う長身の美少女って言うイメージを勝手に連想してしまういけないわたし。

とにかく、明日にでもトリップしてみよう。

そうしないと、先生からまた催促されかねない。

そう思いながらベッドに入ったわたし。

夢うつつの中でも律代の事を想像してしまっていた。


翌日の夜、わたしはいつもの近所の公園に行ってみた。

すると月明かりに照らされてうっすらと青いシートが見えた。


“何かしら?”


目を凝らしながら近づいていくと林の枝にブルーシートが掛かっているのが見えた。

周囲には段ボールが積まれている。

更に人の気配が感じられた。

どうしたものかと思っていたら、向こうの方から犬を連れた若い女性がこちらに向かって歩いて来るのが見えた。

暫くすると、愛犬を散歩中の女性がわたしの方にやって来て軽く会釈をしてくれた。

通りすがりの単なる挨拶だったが、わたしは思い切って声を掛けてみた。


「こんばんわ、お散歩ですか?」(わたし)


「こんばんわ、ええ、そうなんです。」(女性)


とても感じのいい人だった。


「いつもこの公園にいらっしゃるんですか?」(わたし)


「そうなんですよ、ちょうどわたし達のお散歩コースになっているんです。」


「ところでわたし、ここに来るの久しぶりなんですけど、」(わたし)

「あのブルーのシートって前からあるんですか?」


「ああ、あれですね。」(女性)

「しばらく前からホームレスのおじさんが住み着いちゃってるらしいんです。」

「でも誰も近寄らないし、あそこにすっかり溶け込んじゃってて、」

「わたし、顔を見ましたけどそんなに怖そうな人じゃなかったですよ。」


「そうだったんですね。」(わたし)

「わたしも気を付けます。」

「それじゃあ、気を付けて!」


お互いに会釈し合いながら別れた。


“邪魔な男がいる。”


グリーンの閃光を見られたりしたら面倒かも。

ちょっとイライラしながら部屋に戻るわたし。

せっかく夜、ひと気の無い格好の場所だったのに、と唇を噛むわたし。

腹いせに110番通報してやろうと思った。


「もしもし、警察ですか?」(わたし)

「近所の公園に不審な人が寝泊まりしているみたいなんです。」

「場所は・・・・。」


通報してやった。

悪いと思うけどわたしの作戦には極めて邪魔な存在である。

警察官に排除されればいいと思ったわたし。

翌日の夜も、勇んで公園に向かった。


次回の更新は6月16日(0:00)になります。


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