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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
223/278

第223話・わたしの後輩

  スラリとした体形の女子高生。

アラサーのわたしとは違って可愛らしい表情に艶のある肌。


“ああ、羨ましい!”


なんて思ってしまうわたしも、すでにオバサン化が始まっているのかもしれない。


「こんにちは、わたしは律子って言います。」(わたし)

「あなたと字が同じね。」

「何だか、親しみを感じちゃうわ。」

「わたしは藤森律子。」

「アラサーのおねえさんに何でも聞いてね。」


「はい、ありがとうございます!」(律代)

「わたしは石川律代と申します。」

「女子学園高校に通ってます。」

「先月からバイトでお世話になってます。」

「よろしく、お願いしま~す!」


「あなた女優の中越典子さんによく似てるわね?」(わたし)

「彼女の若い頃にそっくりかも。」


「たまに言われます。」(律代)

「でもわたし、女優さんには程遠いから・・。」


「それにしても背が高いのね。」(わたし)

「何かスポーツでもやってるの?」


「はい、わたしの身長は175cmなんです。」(律代)

「中学の時はバスケをやってました。」

「でも今はバイトで忙しいから帰宅部なんです。」


「バイトでお金貯めてどうするの?」(わたし)


「旅行に行きたいな、なんて。」(律代)

「思ってるんです。」

「お金貯めて、夏休みにヨーロッパに行ってみたいんです。」

「わたしの家、貧乏だから・・。」


「わたしだって同じだよ。」(わたし)

「パートのオンナのわたし。」

「生活費稼ぐだけで精一杯だよ。」


さすがにこの子には、最近先生のおごりでドイツや中国に行った事なんていう訳にはいかなかった。

わたしもカツカツなのは本当だし、それにトリップの事を悟られたら大変、なんていらぬ心配までし始めるわたし。


「先月からって言うと、もう仕事は覚えたの?」(わたし)


「わたし、まだ倉庫での作業補助なんです。」(律代)

「この間は作業倉庫で1日過ごしちゃいました。」


「え~、それ、大変だったわね。」(わたし)

「あそこって、不要になった機材とか古い工作機器なんかがひしめいているんでしょ?」


わたしの勤める食品会社はいろんな食料品を扱っているが、普段のわたし達は食品を倉庫内で出し入れしたり、トラックステーションへ運んで並べたりする。

この作業倉庫という建物は老朽化した機械や廃棄処分寸前の機材なんかを保管している所だった。

ホコリを被っている器機なんかがたくさんあって、中で整理作業なんかしていると本当に息苦しくなったり着衣が汚れたりするから誰も行きたがらない場所だった。


「この格好見てください!」(律代)


スラリとしたプロポーションにはスキニー系のネイビーブルージーンズに深緑色のシャツをパンツアウトし、ロングタイプの白いゴム長靴を履いて、手には薄い緑色のロングタイプのゴム手袋を嵌めていた。


「うわァ、まだ2、3週間なのに長靴も手袋も随分汚れてるわね。」(わたし)


「係長に作業倉庫での整理整頓を指示されたんですけど、」(律代)

「悪戦苦闘の毎日なんですよ。」

「どうもわたし長身だからかもしれません。」

「こういう時は損するんですよね、この身長って。」


「分かるかも。」(わたし)

「あの係長には気をつけなよ!」

「ホント、ウザいキモいオヤジなんだから。」


「アッハハ、実はわたしもそう思ってました。」(律代)

「それにしてもこのゴム長、油汚れが付着してこんなにどす黒く汚れちゃいました。」

「先月退職したパートの方のを譲ってもらったんですけど。」

「履き心地がいいから、わたし凄く気に入ってるんです。」

「律子さんはワクマス派?それともザクタス派ですか?」


「えっ、ナニそれ?」(わたし)

「ワクマス?、ザク・・?」


「ロングゴム長靴のブランドですよ。」(律代)

「ザクタスは筒が太めなので男性向きかな。」

「わたしはこのワークマスターが好きなんですよ。」

「筒の部分がほっそりしているから、」


「ほんとだ、あなたの足にピッタリフィットしてるわね。」(わたし)

「わたし、今までゴム長のブランドなんて気にした事ないから。」

「わたしのは、何だっけ?」


「律子さんのはミドル丈ですよね。」(律代)

「このロングタイプ、凄くいいですよ。」

「足にすっぽりと入るし、」

「ジーパンが汚れないし、」

「でもゴム長ちゃんはすっごく汚れちゃいますけどね。」


確かに彼女の履いている中古のゴム長靴、全体的に黄ばんでいてあっちこっちが黒ずんでいて、つま先からサイドにかけてはどす黒い油汚れが付着している。

でもそんな汚れとは裏腹に細身の筒が彼女のひざ下から完全に彼女の美脚をガードしていて、使い勝手も良さそうだった。

筒口付近にはカット用のラインが2本入っている。


「これ、ショート丈とミドル丈にできるようにここにカット用のラインが入っているんです。」(律代)

「わたしはこの長さが気に入っているから切ったりはしませんけどね。」


「わたしも欲しいかも、」(わたし)

「その、ワクマスだっけ?」


「確か、わたしに譲ってくれたパートさんが2本持ってて、」(律代)

「わたしのロッカーにもう1つありますよ。」

「でも、その、なんて言うか・・、」

「その方がメインで使っていたやつだから、結構年季が入っちゃってますけど・・。」


そう言うと彼女は小走りにロッカールームの方に消えた。

数分すると見るからに年季の入ったゴム長靴を抱えた彼女が戻ってきた。


「これこれ、これです。」(律代)

「サイズは24.5cmですけど。」


「あっ、それわたしにピッタリかも。」(わたし)

「ちょっと履かせて!」


かなり使い込んだゴム長靴だったが、履き心地はよく一発で気に入ってしまったわたし。


「かなり使用感はあるけど、」(わたし)

「この汚れも、味かなっていう感じかもね。」


少しご満悦のわたしだった。


次回の更新は6月9日(0:00)になります。


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