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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第219話・汚れたブラウスと手袋

 色落ちしたジーンズのお尻の下から歩き始めたわたし達。

その先には濃いパープルのブラウスが広がっていた。

その両側には袖口をインしたままのアイボリーの革製のロング手袋が伸びている。


「なんだか、凄く汗臭いって言うか・・。」(わたし)

「酸っぱい感じの悪臭ですね。」

「わたし、なんか吐きそうです。」


「これって、あの子の臭いよねえ。」(里美)

「誰にでも体臭はあるから仕方ないんだけど、」

「それにしても、頭がくらくらするような不愉快な臭いよね。」


遠目に見るとちょっと綺麗なパープル色のブラウスもこれ程間近で見るとホコリっぽくてかなり汚れていた。紫色の生地のあっちこっちに泥汚れが付着したままになっていてしかも湿った状態だった。


「あれって、彼女の汗の跡ですよね?」(わたし)

「これだけ大きいと中々乾かないもんですね。」


「でも乾いたらもっと臭くなるわよ。」(里美)

「わたし達の足元に広がってる彼女のツバだって随分いい臭いしてるしね。」


「巨大オンナの臭いって本当にヤバいんですね。」(わたし)

「きゃァ、でもわたしだって今まで小人達からそう思われていたんだわ。」

「何だか、凄く恥ずかしい!」

「こんな所で、女の恥部を晒すなんて有りえません!」


「でもあなたもご自分の唾や小便を小人達に散々引っ掛けて楽しんでいたでしょ?」(里美)

「わたし、知ってるのよ。」


「先生、止めて下さいってば!」(わたし)


わたし達はそんな他愛もない話をしながら進んでいた。

しばらく歩いていると上半身の担当をしている女性が出迎えてくれた。


「こんにちは、わたしはミンディーと申します。」(担当官)

「リンファが後ほどお車で迎えに来ますが、」

「このエリアはわたしがご案内致します。」


「ありがとう、宜しくお願いします。」(里美)

「でもこのブラウスの胸にポケットて付いていたかしら?」

「ちょうどわたし達の反対側だからこちらからだと分からないわ。」


「少し前に確認したんですが、上半身にポケットのようなものはありませんでした。」(担当官)

「先生達の為にドローンをご用意しましたのでこちらのモニターでご確認下さい。」


「ありがとう、じゃあ早速見せてもらうわ。」(里美)


わたし達は上半身のエリアの本部テントにあるモニターの前にやって来た。

上空では軍事用の大型ドローンが飛んでいるらしい。

モニターの横でドローンパイロットと思しき男性兵士がレバーを操作していた。


「先生からご指示下さい。」(担当官)

「彼が自在に案内してくれますよ。」


にっこりと微笑んだ若い男性パイロットは早速ブラウスを全体的に舐めるように飛び回り細かい部分まで映し出してくれた。


「うわっ、向こう側もかなり汚れているわね。」(里美)

「背中側よりも黒ずんでるわ。」


画面に映っている紫の生地はどす黒く汚れていて、白っぽく煤けている所もあった。」

そして胸部から両腕の付け根の脇の部分はじっとりと濡れていた。


「うわァ~、あれも汗だわ、臭そう!」(わたし)


ひと通り周回してくれたが手鏡のような物体はどこにも見当たらなかった。

それにそんなものを差し込むような場所も無かった。

わたし達は少しがっかりしながら見守るしかなかった。


「それじゃあ、次は手袋の裾から筒の部分をお願いします。」(里美)

「もしかしたらロング手袋に刺し込んでいたかも・・。」


ドローンは右腕の肘の辺りに近づいていく。

手袋の長く伸びた筒の部分もそれなりに汚れていた。

更に手の平から甲にかけては油汚れのような真っ黒な汚れが付着していた。

見るからに汚らしい格好をしていたリリアだったが、もうすでに本人が消滅していたから、残されたこの汚れた着衣がもの悲しさを誘っていた。


「無いですね、何も・・。」(わたし)


「手袋に刺し込んでると思っていたのに・・。」(里美)

「ありがとうございます。」

「もう大丈夫です。」

「お手数お掛けしました。」


先生は丁寧にパイロットと担当官にお礼を言うとゆっくりと歩きだした。


「先生、どうします?」(わたし)


「後は、ブーツよね。」(里美)

「ブーツの筒に刺し込んでいないかチェックしなくちゃ。」


わたし達は上半身から足のエリアに向かって歩き出していた。

最初に嗅いだ痰ツバとションベンの臭いから始まって汗と体臭とすえた着衣の臭いに革製手袋の独特の臭いと、悪臭のフリーマーケットのような場所に1時間もいると鼻が馬鹿になってきた。


「先生、わたしこの臭いにだんだん慣れてきたかもしれません。」(わたし)


「わたしもそうなの、でもこれ見てよ!」(里美)


そう言うと里美がどす黒く汚れたゴム長靴を指さした。

ヌメった地面を歩いてきたわたし達の白いゴム長靴はさすがに溶けたりはしていなかったが、ソールからつま先に掛けて異様に黒く汚れていた。

実はこの汚れ自体も悪臭を放っていた。


「先生、もしかしたら・・、」(わたし)

「ブーツを見る必要はないかもしれません!」


「えっ?」(里美)

「どうして?」


わたしは今まさにとっさに思いついた事を言おうとしていた。


次回の更新は5月5日(0:00)になります。


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