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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第218話・巨大な着衣

 「お二方共これをはめて下さい。」(リンファ)

彼女が差し出したのは厚手の長さ38cmの純白のゴム手袋だった。

わたし達は言わるままに手袋をはめてシャツの裾をインした。


「先生も律子さんも自前のブーツだと汚れますよ。」(リンファ)

「やっぱりこちらに履き替えて下さい。」


そう言うと彼女は車のトランクから白いロング丈のゴム長靴を2足取り出してきた。


「そうね、地面がかなり汚染されてるみたいだし。」(里美)


「わたしは汚れても大丈夫ですけど・・。」(わたし)

「でもやっぱりお借りしますね。」


わたし達はお揃いのゴム手袋とゴム長靴姿になっていた。

口にはマスクをして頭には白い衛生用の帽子を被ることに。

なんだかかなり物々しい格好だったが、現場で準備をしていると周辺に充満している臭いが鼻を衝く。


「リンファちゃんの言う通りね。」(里美)

「だって、この臭い!」


「何だか、凄い人間の臭いっていうか・・。」(わたし)


言うなれば唾と汗と小便が混じったような強烈な悪臭だった。

巨大オンナ・リリアが吐いた嘔吐物は粉塵となって消え去ったが、彼女が吐き掛けた痰ツバは地面にそのまま残っていて、でっかい泡状の巨大なシミとなってあっちこっちに残っていた。

1つの大きさが4~6mにもなる巨大なツバの塊だった。

これらのツバは乾き始めていて見た感じは乾いた寒天のようでもあった。

わたしは試しにツバ塊に近づいて行ってゴム手袋をはめた手でへりを触ってみた。

この大きな泡状の物体はパリパリと音を立てて崩れた。

でも崩れるのと同時に強烈なツバ臭がガス状になって発散されて息が詰まりそうになった。


「先生、わたし、耐えられません!」(わたし)


「そんな事するからよ。」(里美)


そしてわたし達はこれらの巨大オンナの痰ツバを避けながら巨大な着衣に覆われたエリアへと入っていった。

わたし達が到着した場所はちょうど巨大なジーンズのお尻の部分に近かった。

わたし達が一番確認したかったのは彼女のジーパンのお尻のポケットの部分だった。

ネイビーブルーのジーパンはゴワついた感じで周辺の建物を覆い尽くしていた。


「うわっ、今度はションベンの臭いかも・・。」(わたし)


「これ、汗の臭いも混じってるわよ。」(里美)


マスクをしているのに鼻の奥まで臭気が突き刺さってきた。

オンナの汗の臭いと小便の臭いだった。

ちょうどリリアが息絶える直前に彼女のジーパンがみるみる内に湿り気を帯びて変色したのを思い出した。


“あの時に失禁しちゃったんだわ。”


それに酸っぱいような汗臭い臭気も入り混じっている。

この臭いがまた生々しくて、今も彼女がそこにいるような錯覚を起こさせていた。

それでも腐乱死体の臭いに比べれば、まだわたし達が日常的に体験する類の臭いだったから幾分我慢できた。

そんな巨大オンナ・リリアの臭いを体中に浴びながらわたし達は奥へと進んでいく。


「この辺かしら?」(里美)


「そうですね、仰向けに倒れていたちょうどお尻の部分だと思います。」(リンファ)


辺り一面は巨大なジーンズに覆われていたから真っ暗だったが、先発隊が設置してくれた大きなライト群によって明るい状態に保たれていた。

サーチライトに照らされているジーパンのお尻のポケットがわたし達の頭上にあるのが分かった。

巨大な彼女が倒れ込んで建物を巨体で破壊し、その後で遺体が崩壊して消え去った為に着衣が少し浮き上がった状態になっていた。

このジーンズも破壊された建物の崩れた壁に支えられていたので、わたし達の頭上約10数メートルの所にポケット部分があったのだ。


「ここから見る限りでは無さそうですね。」(わたし)


「そうね、ポケットは確認できるけど、」(里美)

「中には何も挟まってないみたいだわ。」


「あの部分はまだ未確認なんです。」(リンファ)

「でもこの後ハシゴ車が来る予定なのでもっと近くで見られますよ。」


わたし達は30分程立ち話をしていたが、軍のハシゴ車がやって来た。

かなり大型の車両でハシゴを伸ばせばポケットの部分の中まで確認できそうだった。


「さあ、みんなで行くわよ!」(里美)


わたし達3人はハシゴの先端のゴンドラ部分に乗り込んだ。

するとハシゴが伸び始めてゴンドラも徐々に上昇し始めた。

ワクワクする気持ちもあったけど、ポケットの部分に近づけば近づくほどペッタリとしていて、巨大な手鏡など挟まっていないのは明白だった。

ちょうどジーパンのお尻のポケットの生地の部分に触れる位まで接近することができた。


「うう~、やっぱり臭いが強烈ですね。」(わたし)


ポケットの先のお尻から股間にかけてはまだグッショリと濡れた状態だった。

目の前のジーパンは紺色の生地が色落ちしていていい味を出している。

でもこの臭いだけは頂けなかった。

わたし達は自分達の手でポケットの部分を触ってみて何も無い事を確認して地上に戻る事にした。


「何も見つけりませんでしたね。」(リンファ)


「いいのよ、ここまで準備してくれて本当にありがとう!」(里美)


「わたしもとてもいい経験が出来ました。」(わたし)

「ありがとうございました。」


わたし達はリンファと周りのスタッフに丁重にお礼を言って歩き始めた。


「最初のポイントは空振りね。」(里美)

「それじゃあ、次行きましょう次よ!」


わたし達は上半身のシャツの部分のエリアに向かって歩き始めていた。


次回の更新は4月28日(0:00)になります。


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