表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
217/278

第217話・妹鏡の行方は?

  “コンコン!”

不意にわたしの家の玄関をノックする音が聞こえてきた。


「律子さん、いる?」(里美)


「は~い、今行きます。」(わたし)


先生がいきなり訪ねてきたのだ。

彼女が電話も無しに急いでやって来た理由は察しがついていた。

あの鏡の事に違いない。

ドアを開けると少し慌て気味の先生。


「外にタクシーを待たせているの。」(里美)

「急いで支度してくれる?」

「今から、上海に飛ぶわよ!」


「は、はい!」(わたし)

わたしは先生の指示通り急いで身支度を整えた。

海外と言っても飛行機で数時間の距離だからちょっとした小旅行のようなものである。


「航空券は取ってあるから、このまま羽田に直行するわよ。」(里美)


「はい、宜しくお願いします。」(わたし)


いつものように先生が手際よく全て手配を済ませていたみたいだった。

タクシーに乗り込んだわたし達は早速話を始める。


「先生、例の件ですよね?」(わたし)


「そう、彼女が持っていた鏡の件。」(里美)

「普段あなたはトリップする時どうしているの?」


「わたしはジーパンのポケットに入れたままですけど。」(わたし)


「へぇ~、そうなんだ。」(里美)

「意外とラフな保管方法なのね。」


「いつもわたしと一緒って言うか、それが当たり前、みたいな。」(わたし)


「で、彼女はどうしていたのかしら?」(里美)


「前に新宿の喫茶店で彼女と乱闘になった時ですけど、」(わたし)

「確か、彼女も身に着けていたと思います。」

「やっぱりジーパンのポケットの中とか、かな。」


「だとすると、あの巨大なジーンズの中にあるって言うの?」(里美)

「しかも巨大なサイズのままで?」


「そうかもしれません。」(わたし)

「でもテレビで見ていましたけど、」

「現場ではとてもジーパンのポケットの中まで確認できるような状態じゃなかったですよ。」

「とにかく、あまりにも彼女の着衣が巨大すぎて・・。」


「そうなるとどうしたらいいのかしら?」(里美)


考えたら巨大な手鏡を持ち帰る事など不可能である。

わたしも先生も現実的に考えると言葉に詰まってしまった。


「とにかく、現場に行ってみて調査するわよ。」(里美)


「そうですね、わたしも現場を直接見てみたいと思ってたんです。」(わたし)


40分程で車は羽田空港に到着し、わたし達はチェックインカウンターへと急ぐ。

荷物は着の身着のままで着替え用の下着類と洗面用具程度しか持っていない。

ビジネスクラスのカウンターで手続きを済ませると急いで出国ロビーへと急いだ。


「いつもすみません、わたしの分まで。」(わたし)


「いいのよ、わたしこそいつも無理矢理付き合わせちゃって、」(里美)

「ごめんなさいね。」


わたし達は羽田を定刻通りに出発し上海に到着した。

空港には先生の教え子の中国人の女性が迎えに来ていた。

彼女の車に乗り込んだわたし達は早速現場へと急ぐ。

先生の教え子は中国政府の機関で働いているらしくキリっとした制服を着ていた。


「彼女がいればおそらく現場への立ち入りも大丈夫だと思うわ。」(里美)


「わたしにお任せください。」(女性)

「現場への通行許可は既にとってあります。」


規制の厳しい中国でこういう人がいてくれると本当に助かる。

現場に近づくにつれて空気感が変わり始めた。

リリアの肉体は既に消滅しているはずだったが、何だか死臭のような嫌な臭いが鼻を衝く。

確かに現地の大勢の人々が犠牲になったから、その人達の腐臭がしてもおかしくはない。

でもこの臭いは別次元のような気がした。


「これをして下さい。」(女性)


そう言うとアシスタントの女性がわたし達に防護マスクをくれた。


「お二方共お足元は大丈夫そうですね。」(女性)

「現場は少しぬかるんでいたり、汚染されていたりで、」

「普通の靴だと凄く汚れてしまうもんですから。」


そう言えば、この女性も紺色の制服姿にゴム製のブーツを履いていた。

わたしはいつものように愛用のロングブーツを履いていたし、先生も白いレインブーツを履いていた。

空はどんよりと曇り、嫌な臭いは窓を閉めていても車内に入ってきた。


「嫌な臭いですね。」(わたし)


「これが肉体が崩れ去った巨大オンナの腐臭なんだわ、きっと。」(里美)


幹線道路はあっちこちで検問が設けられ人民軍の兵士達を大勢動員されて市内を警備していた。

少しでも怪しそうな外国人がいればたちまち拘束されてしまうだろう。

よく見ればわたし達が乗っている車は政府機関専用車のようだった。

黒塗りのセダンでドアとフェンダーに赤い政府のマークが付いている。


“だからさっきから検問はノーチェックでスルー出来て、兵士達が皆わたし達に敬礼していたんだわ。”


物々しい市内で自由に動けるのは何だかとても気分がいい。

わたしは先生の人脈の深さにただただ驚かされていた。


「もうすぐ現場に到着します。」(女性)

「さすがに、わたし達でも撮影や録音はNGですからご了承下さい。」


「分かったわ!」(里美)

「ありがとね、リンファちゃん!」


「先生にはお世話になりましたから。」(リンファ)

「いいんですよ。」


日本語の堪能なリンファというこの女性、身長170cm以上あってかなりの美人だった。

そんな彼女がわたし達の護衛役も務めてくれて本当に心強い思いだった。


次回の更新は4月21日(0:00)になります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ