第206話・痰ツバのお次は?
“グジュッ、グジュッ!”
“ズリッ、ズリッ、ズズズズリ~!”
「こうなると、どうなるかなあ?」(リリア)
たった今踏み殺した母子を含む犠牲者達を摺り潰しながらブーツの靴底を地面にナスり付ける彼女。
巨大なブーツのソール部分と地面とで擦り合わさった熱で粉みじんになった犠牲者達の肉片と血とツバの粘液は一瞬で蒸発していく。
地面にはどす黒い靴跡と強烈な異臭が漂っている。
「ツバって、乾くと変な臭い、って言うかクサくなるみたいなのよねえ。」(リリア)
「でも、安心してください!」
「わたしのツバの臭いはクサくありませんから。」
そんな風に言ってるけど、わたしは新宿でリリアの靴底の強烈なゴムの臭いと彼女の吐き掛けたツバの乾いた後の悪臭を経験しているから、現場の人達の絶望的な心境が手に取る様に分かった。
この間の県警本部での人質事件の時は“わたし、子供は殺さないから!”なんて言っていたけれど、
今日は何の躊躇も無く踏み殺す彼女。
後で修正するって考えているのは理解できるけど・・。
それにしても無慈悲さが際立つ今日のリリアだった。
“それにしても、どうして上海なんだろう?”
と疑問に思っていたわたしだったが、その時ふと気づいた。
そうか相手がわたしと同じ日本人だと躊躇するけど、中国の人達ならって事なのかもしれない。
過去の歴史から日本人を快く思わない人が多い中国。
向こうの世界では歴史が違うから、こちらの世界の事情とは少し違うのかもしれない。
でもこちらの世界の事をよく理解している事だけは確かだった。
「ほらほら~、もっともっとわたしのツバ、」(リリア)
「引っ掛けてあげるわね~!」
そう言いながら口元をモゴモゴさせてツバを溜めては吐き掛ける彼女。
やっている事が常軌を逸している。
スタジアムのフィールド上のどす黒い擦れた靴跡は上海市民達の心をズタズタに踏み躙っているように見えた。
“気の毒な人達!”
わたしは心底犠牲になった人達の事を思わずにはいられなかった。
「あらあらっ、わたしのツバが乾いてきたみたい。」(リリア)
そう言いながらしゃがみ込んで地面に顔を近づける彼女。
「うわっ、マジでクサッ!」(リリア)
「どうしてわたしのツバってこんなに臭いのよ~!」
「まあ、いいわ!」
「こうなったら、このツバの臭いを洗い流してあげないとね。」
どうするつもりなんだろう?
と思った瞬間に彼女は履いていたジーパンをずり下ろし始めた。
そしてスタジアムの観客席を大跨ぎに踏み越えると両足でフィールドのコースを踏み締める彼女。
人がいようがお構いなしに踏み付けるから彼女に踏まれた後にはブーツの靴底型に犠牲者の遺体が踏み固められていた。
何とも無残な光景だった。
フィールド上でしゃがみ込んで踏ん張った姿勢になると彼女の股間の辺りから真っ黄色な液体がほとばしり始めた。
“シュルシュルシュル~!”
巨大なジーパンオンナのションベンが地面の人達に降り注ぐ。
「このわたしのションベンがわたしのツバの臭いを洗い流してくれるはずよ。」(リリア)
「でも乾いたら、ションベンの方が臭かったりして?」
「アラッ、ホントにごめんなさ~い!」
「わたしったら、あんまり深く考えてなかったかも・・。」
しょっぱ臭い大量のリリアのショオンベンが降り注ぐというよりは大勢の人達を覆い尽くし、
先程の痰の混じったツバとで数千人の人々をビチャビチャの体液地獄へと誘っている。
彼女の足元にいる人達は強烈な悪臭の中で巨大なジーパンオンナのツバとションベンを大量に飲まされて溺れ死んでいく。
「あ~、スッキリした!」(リリア)
そう言ってジーパンをたくし上げて立ち上がる彼女。
彼女の足元に広がる黄色いションベン池。
すると何を思ったのか、彼女は小刻みに足踏みを始めた。
“ズン、ズン、ズン、ズン!”
「えい、えい、えい、えい!」
彼女が足踏みをする度にビチャビチャとションベン液が飛び散って観客席にいる人達に引っ掛かる。
ツバ混じりのションベン液が引っ掛かった人達は気持ち悪いからか上着を投げ捨ててスタジアムから逃げ出そうと必死である。
「アラッ、そうはさせなくってよ!」
“ズシーン!”
フィールド内から大跨ぎして出入口付近を踏み付ける彼女。
逃げ出そうと出て来た人達はひとたまりも無く彼女に踏み砕かれた。
「せっかくわたしから素晴らしいわたしの痰ツバとションベンを、」(リリア)
「御馳走してあげたのにィ!」
「逃げるなんて、許しません!」
「もっともっとたっぷり味わって下さ~い!」
悪意に満ち満ちて汚らしく惨たらしく暴れ回るリリア。
「あ~あ、メンドクサッ!」(リリア)
「こうなったら、全部ぶっ壊しちゃえ!」
“ズッヴォーン!”
“ズヴォヴォーン!”
“ズッガーン!”
“ヴォヴォーン!”
“パラパラパラパラッ!”
少しイライラ気味になってスタジアムの観客席を避難民諸共蹴り崩し踏み崩すリリア。
彼女の巨大なブーツが色とりどりの観客席を踏み砕きながら暴れ回る。
身長400m以上の巨大オンナが躍動的に踊っているように見える。
そしてこの巨大オンナの足元には踏みしだかれたスタジアムの残骸と無数の人々の肉片とで埋め尽くされていた。
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