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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第196話・新たなる作戦始動

 「やっと完成したのよ。」(里美)

「苦労したんだから。」


「えっ、何が完成したんですか?」(わたし)


「あっ、ごめんなさい。」(里美)

「あなたにはまだ言ってなかったわね。」

「あなたの手鏡の複製が出来たのよ。」


そういえばドイツに行った時に、わたしの手鏡を図書館で少しだけ先生に渡した事があったわ。

“ちょっとだけ貸してくれる?”って言われたのを覚えている。

あの時にコピーを取ったんだわ。


「そうなの、ドイツの図書館であなたの手鏡の3Ⅾコピーを取ったのよ。」(里美)

「こんな事もあるんじゃないかと思って。」

「あの後、ヘレンに精巧な複製品が作れる技術者を探してもらっていたの。」

「秘密厳守であれこれ詮索しない人をね。」

「結局、アメリカのとある贋作師を見つけてもらってね、」

「値段は少し張ったけど、中々良い出来栄えの手鏡が手に入ったわ。」


さすが先生である、先の事まで予測してそんな手を打っていたなんて。


「その手鏡をリリアに渡すんですね?」(わたし)


「そう!」(里美)

「でもこれはあくまで時間稼ぎだから、」

「じらしながら、渡すのよ。」

「まずは、あの携帯に電話して。」

「でないと、人質が殺されるわ。」


「わかりました。」(わたし)


「わたしは今からこのレプリカを持ってあなたの所に向かうわ。」(里美)

「30分後に会いましょう。」


「先生、わたしが今から先生の研究室に向かいます。」(わたし)

「わたしも先生に話したい重要な事があるんです。」

「待っていて下さい。」


「じゃあ、秘密が漏れないようにわたしが用意したビジホで会いましょう。」(里美)


「分かりました。」(わたし)

「それじゃあ、また後で、」


何だか居ても立っても居られないわたし。

でも、これで少しは事態が好転するかもしれない。

その前にあの携帯に電話して時間を稼がなきゃ。

わたしは画面に映し出されている電話番号に電話してみた。


「あらっ、着信だわ!」(リリア)

「やっと掛かって来た。」

「本当に、待たせないでよねえ。」

「もしもし!」

「わたしよ!」


「何のつもり?」(わたし)


「わかってるでしょ。」(リリア)

「手鏡を持ってここに今すぐ来なさいよねぇ。」

「そうしないと、どうなるか解ってるわよねぇ!」


「まさか、その子を殺すっていうの?」(わたし)


「そんな事する訳ないでしょ!」(リリア)

「わたしだって子供に手を掛けたりなんてしないわよ。」

「でも、その他大勢は保証できないかも・・。」


「こんな事、止めなさいよねぇ!」(わたし)

「いったいいくら殺せば気が済むのよ?」

「この人でなし!」


「それはこっちのセリフよ。」(リリア)

「あなたこそ、今までどの位わたし達の世界で踏み殺したと思ってるのよ!」

「お互い様なのよ。」

「いい加減、わたしの言う通りにしなさい!」


「どうせわたしの手鏡を手に入れたら、」(わたし)

「ろくでもない事に使うんでしょ?」


「何に使おうがわたしの勝手でしょ。」(リリア)

「それに、これだけは保証するけど、」

「悪用したりはしないわよ、わたし。」

「いいから、早く来なさいよ!」


焦りまくる彼女。

何だかじらすのが面白くなってきたわたし。

でも余計な事を言って由美達の計画を台無しにしてはいけないと思っていた。


「その前に、その男の子と代わってくれる?」(わたし)


「いいわよ。」(リリア)

「はい、陸翔君。」

「歌のおねえさんがボクと話したいって。」


「もしもし、陸翔君?」(わたし)

「わたしは歌のおねえさんの律子って言います!」

「こんにちは。」

「コワい思いをさせて、本当にゴメンね。」

「今、おねえさんがすぐに助けにいくからね。」

「もう少し待っててね。」


「はい。」(男の子)

「でもリリアおねえちゃんもコワくないよ。」


「そう、それは良かったわ。」(わたし)

「じゃあ、リリアおねえさんに代わってくれる?」


「ねっ、わかったでしょ。」(リリア)

「わたしは子供たちに人気なの。」

「酷い目になんて絶対に遭わせないから。」

「それだけは信じてくれる?」


「わかったわ。」(わたし)

「じゃあ1時間後にそこで会いましょう。」


「待ってるわ。」(リリア)

「ボクっ、おねえさん来てくれるって?」


大きくうなずく男の子。

それを見て満足そうに微笑むリリア。

わたしはその場面を確認してからブーツに足を通して家を出た。


(その頃、現場では・・)


「律子がここに来るって!」(リリア)


「やっとなんですね。」(由美)

「よかった!」


「それじゃあ、陸翔君!」(リリア)

「そろそろママの所に戻りましょ。」

「ほらっ、行こう!」


男児の手を引いて母親の所に行くリリア。

男の子に優しく微笑むと若い母親に向かって少し頭を下げた彼女。


「お子さんを怖い目に遭わせて本当にごめんなさい。」(リリア)

「でもわたし達は、もうこれ以上誰も殺したりしませんから。」

「安心して下さい。」

「今わたし達、皆さんを解放しますから、」

「帰っていいですよ。」


「それじゃあ、陸翔君!」

「バイバイ!」


男児に手を振るリリア。

残りの人質達も解放された。

惨殺された警察幹部4名と倒れたままの老人。

しかし、その老人はかすかに上半身が動いている。


「あらっ、おじいさん。」(リリア)

「まだ生きてたのね。」

「よかったわ!」

「わたし、死んじゃったかと思った。」

「本当にさっきはごめんなさい!」

「わたしったら、少し腕に力が入っちゃって・・。」

「今、救急車呼んであげるからね。」

「動いちゃダメだよ。」

「誰か!救急車呼んで!」


報道陣のスタッフがすぐに119番に掛けている。

程なくサイレンが聞こえてきて老人は救急車で搬送されていった。

救急隊員の話では、命に別状は無いとのことだった。

その言葉を聞いて安堵するリリアだった。


次回の更新は10月29日(日)になります。


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