第194話・わたし、イジメてるのかしら・・?
“ババババッ!”
「やかましいんだよっ!」(リリア)
足元でもがき苦しむ男性を肩からぶら下げていた機関銃でいとも簡単に撃ち殺した彼女。
彼の胸の辺りは撃ち込まれた弾痕と血だまりで無残な状態になっていた。
リリアの足元には赤く染まった彼女のブーツの靴跡がクッキリと残っている。
「あらあら、わたしのブーツ、」(リリア)
「コイツの血で汚れちゃったじゃない。」
「ほらァ、綺麗にしなさいよ!」
レディースに首根っこをガッチリと掴まれたままの最後の男性幹部が、リリアの前にひざまずかされている。
彼女は躊躇なくこの男性の膝から上半身に掛けて、自分の汚れたブーツのソール部分をなすり付け始めた。
男性の着ていたブルーの制服はどす黒い血と靴底の泥汚れとで真っ黒に汚されていく。
綺麗だった制服を彼女に台無しにされた男性は終始顔を背けたままである。
そんな彼の態度にだんだんイライラし始めるリリア。
「このくらい、ガマンしなさいよねぇ。」(リリア)
「ほらっ!」
「ぺっ!」
“ジュリジュリッ!”
今度は地面に吐いたツバを靴底で踏みにじり始めた彼女。
「ほらっ、舐めろ!」(リリア)
たった今吐き掛けた自分のツバと泥とで汚れた靴底を男性の顔の前に突き出すリリア。
一瞬ためらっていたが、すぐに言われた通りリリアの靴底を舐め始めた男性。
「気に入らねえんだよ!」(リリア)
“ヴァスッ!”
そう叫ぶと靴底でそのまま蹴り倒した彼女。
男性は仰向けに倒れ、背中をしたたか地面に打ち付けてしまった。
彼が起き上がる間もなくリリアは彼の顔面をたった今蹴り倒した靴底で踏みつけた。
“グジュッ!”
嫌な音と共に彼女のブーツが男性の顔を踏み潰した。
彼女がゆっくり足を上げると、男性の頭部は10cm以上靴底型に陥没していた。
「さっきから感じ悪いのよね~、」(リリア)
「コイツッ!」
「せっかくわたしのブーツの掃除をさせてあげてたのにィ。」
「嫌々なんだもん・・。」
警察幹部を4人、なぶり殺しにして笑いが止まらない彼女。
そして周りのレディース達もニヤニヤと笑いをこらえている。
“何て、連中なの!”
“許せないわ!”
そう心の中で思ってはみたものの、どうする事もできないわたし。
まずはお約束的に警察官を殺して見せたリリア。
彼女の演出は効果満点だった。
巨大化して大勢の市民を一気に踏み殺したりするより、
こうして罪も無い人達を1人づつゆっくりと虐め殺していく方がわたしにとってはとても辛い。
「さあ、次にイジメられたい人は誰!」(リリア)
「あらっ、そこのおじいさん。」
「今日はどうしてここに来たのかしら?」
人質の高齢男性に声を掛けるリリア。
「免許の更新に来ました。」(高齢男性)
彼は恐怖でリリアと目を合わせる事ができず、下を向いたままかすかな声で応えた。
「あらっ、そうだったんだ。」(リリア)
「それはごめんなさいね。」
「こんなに迷惑かけちゃって。」
「あなたの免許見せてくれる?」
そう言われた男性は恐る恐るポケットの財布から免許を取り出して彼女に差し出した。
「木村正三さんって言うんだ?」(リリア)
「あらァ、ゴールド免許じゃない!」
「ステキだわァ!」
「ご家族はこれ見てるのかしら。」
「多分、家で孫娘と娘夫婦が見ていると思います。」(高齢男性)
「それは良かった!」(リリア)
「お孫さ~ん!」
「おじいちゃんは無事故無違反ですよ~!」
「免許も金色で~す!」
どういうつもりなのか能天気な声で目の前の人質を褒めちぎる彼女。
「今からお祝いにわたしからのプレゼントがありま~す!」(リリア)
「わたしが、抱きしめてあげるね。」
そう言うと彼女は高齢男性をいきなり優しく抱きしめた。
身長が180cm近い金髪の彼女と身長155cm位の小さな老人。
何ともアンバランスな光景だったが、すぐに異変が起こった。
“グキッ!”
またもや嫌な鈍い音が響いてきたのだ。
最初は老人を手招きするように優しく抱きしめていた彼女だったが、次第に男性の顔は苦痛で歪み始めていたのだ。
先ほどの異音は老人の背中の骨が折れたというよりは砕けた音だった。
男性の体はリリアの両腕からヘナヘナと崩れ落ち、地面にへたり込んでしまった。
もはやピクリとも動かない男性。
「ごごっ、ごめんなさい!」(リリア)
「わたしったら、」
「ちょっと力が入り過ぎたのかも・・。」
「大丈夫ですか?」
わざとらしく足元の男性をブーツのつま先で突いてみる彼女。
「死んじゃったのかしら?」(リリア)
「わたし、そんなつもりじゃなかったんですゥ!」
「お孫さ~ん、ご家族の皆さ~ん!」
「ホント、ごめんなさい!」
「もうこれ以上、わたしにこんな事、」
「させないで下さ~い!」
「いいこと!」
「わかったかよ!」
「リツコ!!」
“わたしが電話を掛けないと大変な事になる!”
“この次の犠牲者は誰?”
“順番からいくと、あの会社員の男性かしら?”
そんな風に頭の中が混乱し始めたわたし。
するとリリアがゆっくりと口を開いた。
「あらっ、可愛い男の子!」(リリア)
「おねえちゃんと一緒に遊んでくれる?」
わたしは全身が凍り付いた。
まだ幼い3歳くらいの男の子の頭を撫でながら画面に向かって微笑むリリアだった。
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