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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第184話・謎を解く数字


 “トントン!”


わたしの部屋のドアをノックする音でハッとしたわたし。


「律子さん!」(里美)

「大丈夫?」


先生がわたしの事を心配して来てくれたのだった。

リリア達もまさかわたし達が日本から遥か彼方のドイツにいるとは思ってもみなかったろう。

そんなわたし達はこれからどうするべきなのか・・。


「どうぞ。」(わたし)


案の定、里美が心配そうな顔をして入って来た。


「横浜が大変な事になっちゃったわね。」(里美)

「あそこには、わたしの友人もたくさんいるのよ。」


「わたし達、これからどうするんですか?」(わたし)


「一旦、日本に帰って今回集めた資料をもとに調査開始よ。」(里美)


「また、彼女達が襲ってこないといいんですけど・・。」(わたし)


「ほんとだわ、でも今は謎を解き明かす事が先決よ!」(里美)


わたし達は翌朝、ホテルをチェックアウトした。

そして、エリカの運転する車でそのままフランクフルト国際空港に送ってもらった。


「先生、律子さん、お元気で!」(エリカ)


「あなたもね!」(里美)

「お世話になりました。」(わたし)


わたし達は成田を目指して帰途についたのだった。


日本に戻ったわたし達。

テレビや新聞、ネットニュースでは連日リリア襲撃のニュースが流れ続けていた。

時間が経つにつれて被害状況が判明し、予想よりもはるかに甚大な損害だった。

死者は4万人以上で、いまだに行方の分からない人たちが千人近くいるとのことだった。

それもそのはずで、巨大オンナ達のブーツで踏み砕かれ、踏みしだかれた遺体の数々はもはや細かい肉片と化していて、身元の確認は一つ一つDVD鑑定しなければならなかった。

病院に運ばれた負傷者は11万人に及び、破壊された建物や家屋は1000軒を超えていた。

人的被害が大きかったのは展示場や中華街、横浜駅前にいた多くの人々が標的になったからだった。

そんなニュースを時折見ながら、調査を始める里美だった。


わたしは専門的な知識もなく、何をどうすれば良いのかも分からずただただ焦る日々を送っていた。

わたしは先生の研究室のすぐ近くのビジネスホテルに部屋を用意してもらっていた。

自分の部屋には帰る気になれず、というよりは一人になるのが何だか怖くて、常に誰かと一緒に居ないと不安で仕方がなかった。

わたしは何をするのでもなく、大学の校内を散歩したり、先生のゼミの学生達と時折世間話をしたりしていた。

そんな中、里美は日々の講義やらゼミの授業やらのルーチンワークをこなしながら、ヘレンと頻繁にメールや電話でやり取りしていた。


「律子さ~ん!」(里美)


先生の研究室の外でコーヒーを飲んでいたわたしは里美に声を掛けられた。


「は~い!」(わたし)


急いで研究室に戻るわたし。


「ここ1週間、ヘレンと意見交換をしてきたんだけど・・。」(里美)

「わたしと彼女とで意見が一致したのは、」

「ある数字なの。」


「えっ、どんな数字なんですか?」(わたし)


「数字の“6”よ!」(里美)


「6、ですか?」(わたし)


「自然界に深く関わる数字。」(里美)

「そして自然界で特別な意味を持っていて・・。」

「自然界を支配している数字、かしら。」


「あの伝道書に書かれていたんですか?」(わたし)


「特に数字の“6”と書かれていた訳ではないけど、」(里美)

「どうも古代にやって来た宇宙人達の信仰が、地球の自然と調和する数字にこだわっていた形跡がいろいろあって、」

「期日、というのがこの“6”なんじゃないかと思うの。」


「そういえば、わたし達がトリップして引き戻される時間がちょうど60分でした。」(わたし)

「ということは、その期日ってうのは、6日?6週間?それとも6ヶ月ですかね?」


「それが、まだ解らないのよ。」(里美)

「6日ってことはないわね。」

「リリア達が最初に日本を襲撃してから1ヶ月以上経っているしね。」


「じゃあ、60日?、ですかね。」(わたし)

「肝心な尺が解らないと、どうしたらいいのか・・。」


「とにかく、60日なのか、6週間なのか、6年なのか・・。」(里美)

「まだ解らないけど、律子さんが鏡を持っていれば、」

「刻一刻とリリアの寿命が減ってるって事なのよ。」

「あの子も何となくその事を感じているんだと思うわ。」


「そうですよね、あのイライラぶりを見れば分かります。」(わたし)

「でも由美ってオンナもその他のオンナ達もこの事を知らないのかも・・。」

「あの能天気ぶりは、全く焦ってないし・・。」

「それにリリアも仲間達にこの事を感づかれたら、」

「マズい立場になるのかもしれませんよね。」


「その通りだわ。」(里美)

「ただでさえ荒っぽいオンナ達ですもの、」

「リリアが求心力を失えば、後釜に座ろうとする者が現れても不思議ではないかもね。」


「特に、あの由美ってオンナは要注意ですよね。」(わたし)

「わたし、本当に許せません!」

「あの馬鹿オンナだけは。」


「律子さん、実はわたしもなのよ。」(里美)

「なんか、こう、人をイライラさせる子よねえ。」


「わたし、あのオンナに会う機会があったら、」(わたし)

「思いっきり蹴っ飛ばしてやります!」

「もちろん同じ大きさだったら、ですけど・・。」


核心に迫ってはいるものの、まだ答えを導き出せないわたし達だった。


次回の更新は8月6日(0:00)になります。


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