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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第182話・お邪魔しました~!

 「あら~、わたしったら、随分大勢踏み殺しちゃったみたい!」(由美)

「律子ってオンナを探してるんですけどォ、」

「全然出てこないから、わたし達、」

「仕方なく、こんな事しなくちゃならないんですぅ。」

「ホント、ごめんなさ~い!」

「わたし達の事、悪く思わないで下さいね~。」


散々街を破壊して、たくさんの罪もない人達を踏み殺しておいて、

“全部、わたしのせい?”

“ハァ~?”

と直接怒鳴りつけてやりたい衝動に駆られるわたしだった。

確かに、向こうの世界でやりたい放題暴れ回った事は認めるけど・・。


「あ、ごめんなさい!」(由美)

「わたし、そろそろ行かなきゃ!」

「皆さんと、いつまでも遊んでる程ヒマじゃないんですぅ、」

「わたしって。」

「横浜駅の方で暴れてるリリアさんの所に行かなきゃ。」


“ズシーン!”

“ズシーン!”

“ズシーン!”


「通りま~す!」(由美)

「邪魔よ、邪魔っ!」

“ジュヴォッ!”

“ジュヴォッ!”


横浜駅の方角に向かって歩き出した由美。

行く手に建ち並ぶ小ぶりな建物を容赦なく踏み潰しながら進んでいく。

山下公園付近で暴れ回った由美。

その頃、リリアは展示場から横浜駅に向かって暴れ回っていた。

他のアジア系のレディース達もリリアの後に続いて西区の住宅街にロングブーツで強烈な踏みを加えながら歩き回っている。


“グッシャーン!”

“ヴァッコ~!”

“グシャッ!”

“グシャッ!”


ニヤニヤと笑いながら住宅を一軒一軒踏み潰して歩くアジア系の巨大オンナ。


「もっともっと、踏んじゃって~!」(リリア)

「あのオンナが出てくるまで続けるのよ!」


「イェ~イ!」(アジア系のオンナ)


ベージュ色の革製のロング手袋を嵌めた手でピースサインを出しながら、ペロリと舌を出してはにかむ巨大オンナ。

可愛らしい顔とは裏腹にすでに彼女に踏み潰された家屋は100軒を超えていただろう。


“ズシーン!”

“ズシーン!”

“ズシーン!”

「リリアさ~ん!」(由美)

「やっと追いついたァ!」

「アラッ、こっちも随分メチャメチャなんですね。」


「そっちはどうだった?」(リリア)


「横浜のシンボル?」(由美)

「みたいなモノは全部ぶっ壊してやりましたよ。」

「少しはわたし達の女子力、解ってもらえたかも、で~す。」


「どのくらい踏み殺した?」(リリア)


「そうですねェ、」(由美)

「一々数えてはいませんけどォ、」

「大体1万人くらいは、わたしのこのブーツの餌食になりましたァ!」

「イエ~イ、やったね!」


「上出来よ、由美!」(リリア)

「わたし達も家ごと日本人どもを踏み潰しているんだけど、」

「ちょっと、効率的じゃないかも。」

「もっともっとたくさん殺さなきゃ、」

「ダメなのよ!」

「律子にもっと思い知らせてやるんだから。」


落ち着いた口調で恐ろしい事を話す2人。

あくまでわたしが名乗り出るまで破壊と殺戮を続けるつもりらしい。

こうなったら、わたしは耐えるしかない。

すでにわたしのせいで大勢の人達が命を落としたけど・・。

わたしが直接知らない人達だし・・。

そんな考えが頭をよぎるわたし。

そんないけない考えがわたしの思考を停止させようとしていた。


“結局、自分達を正当化してわたしのせいにしてるけど、暴れ回っているのは彼女達なんだから。”


そう言い聞かせて、日本からのテレビ中継をドイツのホテルの一室で食い入るように見つめ続けるわたし。

先生もエリカも気を使ってわたしを1人にしておいてくれている。


“早く彼女達を何とか止めなくちゃ。”


そうするには、今回の調査で少しづつ解ってきた手がかりから真実を見つけなければ・・。

まだまだ暗中模索状態のわたし達だった。


“グシャッ!”

“ジュリジュリッ!”


「もう!これでもか!」(リリア)

「エイッ!」

“グショッ!”

“グショッ!”

“グチョッ!”


渾身の力を込めて足元の住宅を踏みしだくリリア。

彼女のイライラがひしひしと伝わってくる。

不思議な事にあれだけ街を破壊している彼女達だったが、

中継をしているヘリコプターやテレビ局のロケ車を踏み潰したり叩き落したりする女は1人もいなかった。

だから彼女達の巨大なロングブーツが暴れ回るすぐそばでロケ車が臨場感いっぱいの生中継をしていたのだった。


“きっと、わたしにこの映像を見せるためにワザとメディアを野放しにしているんだわ。”

“姑息なリリアめ!”


“ジュヴァッ!”

“ジュッヴォーン!”

「ふぅ~!」(リリア)

「今日はこのくらいにしておこうかしら。」


足元のスーパーマーケットを踏み付けてから蹴り上げたリリア。

あたり一面に粉々になったスーパーの瓦礫が飛び散り、

ひと際大きな巨大オンナのため息が響き渡った。

いくら暴れてもキリがなくて、わたしが出ていく気配もないからか、

半ば、諦めモードになっているようだった。

でもそんなネガティブな様子はリリアだけだった。

その他のアジア系レディース達と由美は相変わらず能天気に住宅街で暴れ回っている。


「こんなんじゃあ、あんまり踏み殺せないですよ?」(由美)

“グチュッ!”

“グチュッ!”


住宅を踏みにじりながらつぶやく由美。


「今日はこれで引き上げるわよ!」(リリア)


「わかりました!」(由美)

全員がリリアの言葉にすぐさま反応して暴れるのを止めた。

そして、リリアが立ちつくす場所に集まって来た。


“ズシーン!”

“ズシーン!”

“ズシーン!”

“ズシーン!”

すると見慣れた光景が広がる。

グリーンの閃光とともに現れた扉。


「横浜のみなさ~ん!」(由美)

「今日は、お邪魔しました~!」

「暴れちゃって、本当にごめんなさ~い!」


「ホントに、ゴメンナサイ!!」(リリア)

リリアの口から意外な言葉が飛び出して驚いたわたしだった。


次回の更新は7月23日0:00になります。

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