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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第177話・横浜港でひと暴れしちゃいま~す!

 「実は、律子って女が率いるりんりん何とかってオンナ達がァ、」(由美)

「いきなりわたし達の世界に現れてェ、大暴れしていったんですよ。」

「しかも巨大な体で・・。」

「あらっ、ごめんなさい!」

「今のわたし達もそうだったわ。」

「人の事言えないかも・・。」

「うふふっ。」


わたし達だけに解るような言い回しでしゃべり続ける由美。

ホント、気に入らないキャラ丸出しで調子に乗っている。

でも、恐らくリリアにそうするように言われているのかもしれない。


「あの巨大オンナ、何の話をしてるんですか?」(エリカ)

「律子さん、分かります?」


「リリア達はただ単にわたしをおびき出したいだけなのよ。」(わたし)

「それに、あの由美ってオンナ、」

「とても頭がいいとは思えないわ。」


「さっきから、訳の分からない事言って、」(里美)

「わたし達の事を挑発しているんだわ。」

「ホント、迷惑な奴ら。」


里美が吐き捨てるように罵倒する。

彼女も内心ヒヤヒヤしているのかもしれないと思った。


「横浜市のみなさ~ん!」(由美)

「あなた達に恨みなんてェ、」

「これっぽっちもありません!」

「だから、ほんとゴメンナサ~イ!」

「わたし達、今から進撃を開始します。」

「みんな、早く逃げてくださ~い!」


“ズッシーン!”

“ズッシーン!”

“ズッシーン!”


粉々になった展示場のあったエリアを後にして、リリアを含む4人の巨大レディースは市内に向かって歩き出した。

そして由美を入れた残りの3人は山下公園の方に向かって歩き出した。

彼女達はわたし達が徹底的に破壊したブラウハーフェンの街と同じ事をしようとしているんだと思った。

わたしのせいでまた大勢の人達が犠牲になるんだと思うと、胸が締め付けられる思いだった。

実はそれがリリアの狙いだったのかもしれない。

でも彼女は限定解除された力がやがて自らを滅ぼす事になるのかもしれないって本当に知っているのだろうか。


「律子っ!いい加減に出て来なさい!」(リリア)

「例のモノを渡せば、今すぐに止めてあげるわ!」

「でないと、こうなるのよ!」

“ズボ~ン!”

“ジュヴォ~ン!”


「それ~!」

“ヴァコ~ン!”


「コノヤロ~!」

“ヴォヴァ~ン!”


手当たり次第にビルを蹴りつけ、踏み砕き、破壊の限りを尽くすリリア。

やっと口を開いたかと思えば、やっぱりかなりイラついている。

魔神鏡の強大な力を行使しながら焦っているのは明らかだった。


「わたしの街と同じようにしてあげるわ!」(リリア)

「由美、この港街を徹底的にぶっ壊しなさい!」


「もちろん、そのつもり満々で~す!」(由美)

「ホラッ、そこのデッカイ船、」

「覚悟はいいかしらァ?」


“ジュヴォ~ン!”

“ジュヴォ~ン!”

“ジュヴォ~ン!”


大桟橋に向かってのっしのっしと歩いていく由美。

彼女の歩いた後はグチャグチャに陥没している。

そして・・。


「ナニよ、こんなモノ!」(由美)

「こうしてやる!」

“ジュヴォッ!”

“ジュヴォッ!”

“ジュヴォッ!”


大桟橋ホールを踏み潰しながら接岸しているエメラルドクイーン号に手を掛ける由美。


「せ~のォ!」(由美)

「よっこらしょっと!」

全長300m近い巨大な客船を持ち上げようとしたが、さすがに重すぎたのかすぐに諦めたようだった。

「大きすぎてダメっ!」(由美)

「ホント、ムカつく!」

「エイッ、エイッ、コノ~!」

“バシュッ!”

“ガシュッ!”

“ガツン!”


ついに本性を現したのか、今までのふざけた口調が荒い言葉に変わった。

そして、豪華客船のキャビンにブーツのつま先を突き刺すように蹴り付け始めた。

真っ白な船体も由美が蹴り付ける度にへしゃげて薄黒く靴跡で汚れていく。

ベージュの革製ロング手袋を嵌めた手は煙突を引き千切り、救命ボートやらマストやらを掴み上げては投げ捨てている。

みるみる内にデッキから上の部分が破壊されて無残な姿に変貌していった。


「ヨイショッと!」(由美)

「ホラァ、こうしてやるんだから!」


散々蹴り付けて破壊した船体に馬乗りになって体全体を揺さぶる由美。

船は左右にのた打ち回り、由美の汚れたジーパンは客室キャビンに食い込みながら押し潰していく。

右足のブーツのソール部分が桟橋にヒットする度にひび割れを誘発し、桟橋全体が崩壊しそうな状態だった。

そして大型クルーザーを散々弄んだ由美。


「このくらいにしてあげるわ。」(由美)

「次はどの船にしようかなあ。」


馬乗りの姿勢から立ち上がって桟橋に足を掛けるとエメラルドクイーン号はゆっくりと傾いて沈み始めた。

ただ水深が20mほどしかないのだろう、横っ倒しになったような状態で海面に船体の半分を残した状態になっている。


「アラッ、沈没しなくて良かったわね。」(由美)

「でもね、これで終わりじゃないのよ。」

「これなら、いいかな。」

「ヨイショっと!」

“ジャッヴァーン!”


大型船と反対側に停泊していた100mほどの客船に手を掛けると両足を水の中に浸けて頭の上に持ち上げた彼女。


「わたしからのプレゼントになりま~す!」

「エ~~イ!」

“ヴォッゴ~ン!”

“ヴォヴァ~ン!”


由美のかすれ気味の甲高い声と共に凄まじい爆発音が響き渡った。

このオンナ、半壊した大型船に中型客船を投げ付けたのだ。

両方の船に乗っていた大勢の人々は全員犠牲になってしまったのだろう。


「アラアラッ、ごめんなさ~い!」(由美)


またしても悪びれた様子もなくおどける由美だった。

とんでもなく酷い事をしているこのオンナ。

でも、かつての自分を見ているような気がしてきたわたしだった。



次話の発表は6月18日(日)0:00です。

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