表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
174/278

第174話・魔神鏡の真実とは

 「実はわたし、この手鏡を使っていたんです。」(わたし)

「わたし、何も知らないでこの呪文を読んだら・・。」


「扉が現れたのね。」(ヘレン)


「そして、もう一つの世界に足を踏み入れたんです。」(わたし)


「どんな世界だったの?」(ヘレン)


「わたし達の時代より30年位前の世界でした。」(わたし)

「そこは外国で、ヨーロッパみたいでした。」

「そこでわたし、1時間くらい散策してたらまた扉が出現して・・。」


「こちらに戻って来られたのね。」(ヘレン)


「そうなんです。」(わたし)

とてもじゃないけどハーバードの教授にナチスを相手に巨大な体で大暴れして大勢の人を踏み殺した、なんて言えなかった。

それを察してか、里美も黙ってわたしの話を聞くばかりだった。


「わたしも律子さんから大体の事は聞いていたから・・。」(里美)


「そんな体験をしたご本人を連れてきてくれたなんて、」(ヘレン)

「本当にありがとう、里美。」


やれやれ、肝心な事は話さずに済んだみたいだった。

わたしは少しホッとした。


「でも、この間現れたリリアっていう巨大オンナ達、」(ヘレン)

「あれはどういうことなのかしら?」


どうやら、伝道書には巨大化するという文言は書かれていないらしい。

恐らく別の言い回しで書かれていたのかもしれない。


「確か、鏡を使って魔界の扉を呼び出した者はマスターとなって、」(里美)

「女神としての力を得るって書かれてたわね。」


なるほど、そういう事だったのか、とわたしは思った。


「女神としての力って具体的にどんな力なのかしら。」(エリカ)


「そうよねえ、リリアのような巨大化する力なのかしら。」(ヘレン)


「わたしはリリアみたいな事はしてませんよ。」(わたし)

消え入りそうな声で答えるわたし。


「なんか、想像つかないわ。」(ヘレン)

「目の前の律子さんが巨大オンナなんて。」

「ねえ!」


「当り前じゃない!」(里美)

「変な事言わないでよね、ヘレン。」


「ごめんなさい。」(ヘレン)

「でも、あの項目には手鏡の具体的な使用法のような事が書かれていたわ。」


「そうなのよ、魔神鏡は姉妹2つの鏡があって、それぞれに呪文が書かれていて、」(里美)

「鏡に書かれている呪文を唱えると魔界の扉が現れて別の世界にトリップできるって。」

「でも滞在時間は限定的で、すぐに扉が現れて元の世界に引き戻されるらしいわ。」


「もし片方の鏡しか持っていないマスターが2つの呪文を唱えるとどうなるんですか?」(わたし)


「そこなのよ、重要なのは!」(里美)

「2つの呪文を唱えて鏡を使うと一時的にだけどあらゆる力が備わる、」

「そう書かれていたわ。」

「つまり限定的な力の封印が解かれて、好きな場所に好きなだけトリップできる。」

「そして、好きな力を使って好きな事ができるって事みたいだわ。」


「だからリリアはあんな巨大な体で暴れ回っていたのね。」(ヘレン)

「でもリリアはどうしてこの手鏡の呪文を知っていたのかしら。」


「ごめんなさい、わたしなんです。」(わたし)

「実はわたし、向こうの世界に行った時にリリアと会ったんです。」


「あなた達、知り合い同士って事なの?」(ヘレン)


「最初、わたしはと彼女がてもいい子だと思っていたんです。」(わたし)

「それでこの手鏡を少しだけ見せてあげたんです。」

「それが、あんな事になるなんて・・。」


「仕方がないわ、あなたは知らなかったんだから。」(ヘレン)

「この魔神鏡を使う人の人間性までは誰もコントロールできないわよ。」


「わたしのせいで大勢の人達が踏み殺されたんです。」(わたし)

「わたし、本当に申し訳なくて・・。」


「あまり気にしない方がいいわよ。」(ヘレン)


「そうよそうよ、暴れたのはあのオンナ達なんだから。」(里美)


里美が援護してくれてよかった。

でもヘレン達はリリアが日本で暴れ回っていた時に口走っていた事まではよく覚えていなかったみたいだった。


「ところで、さっき一時的にって仰ってましたけど、」(わたし)

「それってどういう事なんですか?」


「2つの呪文を唱えて絶大な力を得たマスターは、」(里美)

「ある期日までに必ずもう1つの鏡を手に入れて、」

「2つの鏡をピッタリと合わせて2つの呪文を唱えなければならない、」

「・・と書かれていたわ。」


「じゃあ、リリアは必ずわたしの鏡を取りに来るって事なんですね。」(わたし)

「その期日を過ぎるとどうなるんですか?」


「期日を過ぎた瞬間に鏡は崩壊し、」(里美)

「マスター本人も朽ち果てて崩れ落ちるって書いてあったのよ。」

「でも期日までに姉妹鏡を手に入れたマスターは絶大な力を与えられて無限の女神となる、」

「・・とも書かれていたの。」


「あんな恐ろしいオンナが絶大な力を持った女神になったりしたら大変ですよ!」(エリカ)


「ホント、その通りだわ。」(里美)

「わたし達で絶対に阻止しなくちゃ。」


驚くべき事が書かれてあったのだ。

リリアがもしわたしの鏡を手に入れたら、それこそ世界の終わりかもしれない。


「ところで、その期日っていつまでなんですか?」(わたし)


「それがはっきりと書かれてなかったわ。」(里美)

「わたし達は、それを調査する必要があるわね。」


「リリアはその事を知っているんでしょうか?」(わたし)


「たぶん知らないんじゃないかしら。」(里美)


でもリリアは父親がこの魔神鏡の研究者だって言ってたから、もしかしたら知っているかもしれないと思った。

いずれにしても、遅かれ早かれ彼女はまたジーパンレディース達を引き連れてやって来るに違いない。

わたしは恐ろしさで固まってしまっていた。



次話の発表は5月28日(日)0:00です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ