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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第171話・ドイツに飛ばなきゃ!

 「この町はなんていう名前なんですか?」(サット)


「ここはヘッセン州のノイシュタットです。」(係官)


「あっ、扉が現れ始めたわ!」(わたし)


「ごめんなさい!わたし達もう行かなきゃ。」(サット)


「町を壊しちゃって、本当にごめんなさい!!」(わたし)

わたしは本当に申し訳なさそうにそう言って扉を開けた。

今までにこんな事があったかしら?

ナチスの奴らに町を壊した事や暴れた事を謝るなんて・・。

でも平和な学術都市で暴れてしまったわたし達のした事は、決して褒められるものではありませんでした。

次の扉を開けてわたし達の世界に戻ってくると、どっと疲れが出て少しめまいを感じてしまうわたし。

「気疲れしちゃったかなぁ、わたし。」(わたし)

他のみんなはシラケた幕切れに無言だった。

そんな中で興奮気味だったのが里美だった。


「律子さん、ドイツに飛ぶわよ!」(サット)


「えっ、ドイツへですか?」(わたし)


「詳しくは後で話すわ。」(サット)

「まずは、みんな少し疲れていると思うから今日はここで解散よ。」


「は~い、了解で~す。」(くーこ)

「わかりました~!」(りっつん)

奈穂子と香代子はムスッとして口もきかずに引き上げていった。


「あの2人なら、大丈夫よ。」(サット)

「すぐにケロッとして元に戻る性格だから。」


「今日は暴れる気満々だったしね。」(くーこ)


「でも、軍隊を全滅させたのは気分良かったかも。」(りっつん)

「わたしも楽しめたし・・。」

「アラッ、ごめんなさい。」

「わたし達、随分たくさん踏み殺しちゃったのよね~。」


「じゃあ、またね~!」(くーこ&りっつん)

残りの2人も引き上げたので、わたしと里美はとりあえずわたしの部屋に行くことにした。


「先生、コーヒー入れますから。」(わたし)


「ありがとう。」(里美)


「ところで、ドイツに行くって、どういう事なんですか?」(わたし)


「本当は向こうの世界のあの図書館に行きたかったんだけど・・。」(里美)

「それは難しそうだから、こっちの世界に実在するあの町の図書館に何か手がかりがないかと思ったのよ。」


「それは、そうかもしれませんけど・・。」(わたし)

「こちらの世界に女巨神が現れたのはついこの間ですから、」

「こちらの世界でそんな研究が進んでいるんでしょうか。」


「とにかく、わたしは行って調べてみたいのよ。」(里美)

「律子さん、もちろん旅費はわたしが持つから是非一緒に来て欲しいわ。」


「わたしでよければ、わたしは大丈夫ですよ。」(わたし)


「ホントに?良かった!」(里美)

「じゃあ、早速航空券の手配をするわね。」


「はい、よろしくお願いします。」(わたし)

なんだか、成り行きだけどわたし的にもかなり興味があった。

それに旅費も先生が出してくれるし、ドイツに旅行ができるなんて、ちょっと楽しみかも。

なんて、心の底ではいろんな事に期待するわたしだった。

バイトも休職中だし、他にやる事も無いし内心はわくわく感でいっぱいだった。


「それじゃあ、明日また連絡するわね。」(里美)


そう言い残して彼女は帰っていった。

翌日、里美から電話が掛かってきた。


「律子さん、やっぱりあったのよ、あの町それにあの図書館。」(里美)

「さっき電話で現地に確認したら、古代の歴史書や資料が多数所蔵されているそうよ。」

「わたしの方で大学を通して正式な閲覧依頼を出したから、いろいろと面白いものが見られそうなの。」


「楽しみですね、先生。」(わたし)

「わたしも何だか待ちきれなくなってきちゃいました。」


そして3日後の直行便でドイツに飛ぶ事になったわたし達。

出発の朝、先生がタクシーでわたしを迎えに来てくれた。


「律子さん、やっぱりその恰好なんだ。」(里美)


「はい、わたしこれしか持ってないんで・・。」(わたし)

擦り切れ寸前の汚れたジーパンにダークブラウンのロングブーツ、赤いブラウスにバックパックを背負ったわたし。

先生は黒いカチッとしたスーツを着ている。

黒いハイヒールが彼女のスタイルをより引き立たせている。


「先生はかっこいいですね。」(わたし)


「あらっ、ありがとう!」(里美)

「でも、ジーンズにブーツインなんて、あなたらしいからいいと思うわ。」


「すみません、こんな汚い格好で・・。」(わたし)


「いいのよ、あなたもカッコいいわ!」(里美)

「じゃあ、行きましょ。」


わたしは車に乗り込んで出発した。

先生の手配したビジネスクラスの席は実に快適だった。

わたしは思わず寝てしまい、先生に起こされた時は既にフランクフルト国際空港に到着していた。


「出迎えの子が来てるはずだわ。」(里美)

「前にわたしの大学に交換留学生で来ていたエリカっていう子なのよ。」


わたし達が空港ビルを出ると黄色いゴルフが停まっていて、その前にブロンドヘアーの可愛らしい女子が立っていた。


「あらっ、ひさしぶり!」(里美)


「先生、ご無沙汰してます。」(エリカ)


「こちらは、律子さん。」(里美)

「わたしの研究を手伝ってくれてるのよ。」


「はじめまして、エリカです。」(エリカ)


「こちらこそ、律子です。よろしくおねがいします。」(わたし)

わたし達はエリカの運転する車でヘッセン州のノイシュタットに向かった。

1時間半で目的地に到着したわたし達。


「それじゃあ、今日は疲れたからホテルでゆっくり休みましょう。」(里美)

「明日、図書館に行っていろいろと調査開始よ!」


「は~い、先生ではでは~!」(エリカ)


「おやすみなさ~い!」(わたし)

それぞれのホテルの部屋に消えていくわたし達だった。


次話の発表は5月7日(日)0:00です。

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