第17話・わたしの親友、麻美と里奈子
次のトリップデーが待ち遠しいわたし。
でも、ふと誰かを誘ってみたくなった。
小人の世界に時空旅行なんて突拍子もない話、誰も信用するはずないし、おかしいと思われるのが関の山。
でもわたしの親友の2人なら誘ってみるのも面白いかもしれない。
わたしがバイトしている会社で仲良くなった親友、紺野麻美と五月女里奈子。
麻美は独身フリーターで明るくて社交的、身長160cmで女優の松木りなに似ている美人タイプの28歳、わたしより少し年下だけどとても仲がいいしわたしにとって頼れる存在だ。
いつも彼女とは遊びに行ったり呑みに行ったりと最近特に親友度が増しているわたし達。
そして24歳独身の里奈子は身長170cmと長身でモデルの山本美月に似ていてとっても可愛い。
でも性格は内気でおとなしい方だ。
彼女は半年前に入ってきた新人で、わたし達のことを本当に慕ってくれるまるで妹のような存在だ。
この2人を誘ってみたくなったわたし。
でも2人同時に話をしたら、いくらなんでもやっぱりオカシイと思われるに違いない。
本来なら親友の麻美に話すのが自然なんだけど、やっぱりためらっちゃうな・・。
❝よ~し!こうなったら強引にでも後輩の里奈子を連れて行こう。❞
あの世界を経験すれば嫌でも信じざるおえないし、里奈子をジーパンレディーにしてしまえばわたし達2人で麻美をあの世界に引っ張り込めるはずだ。
そう思うと里奈子に話してみたい衝動に駆られてきてしまったわたし。
❝小人の街に連れて行ったらあの子どんな反応をするだろう?❞
考えただけでワクワクしてしまう。
自分が体験した高揚感を早く里奈子にも体験させたくてたまらなくなった。
でもとってもシャイで心の優しい彼女だから、きっとドイツ兵を踏み殺したりはできないんだろうなァって簡単に想像できる。
麻美の方はわたし同様かなり積極的で活発な方だし、正義感が強いから暴れだしたら止まらないかもしれない。
そんな事を考えただけで思わず“ムフフッ!”ってニヤニヤ顔になってしまうわたしだった。
❝そういえば里奈子のファッションってどんなだったけ?❞
わたしよりも長身で若くてスタイル抜群な里奈子。
でもなぜか彼氏もいないらしく、あんなに可愛い顔をしているのにバイト先では殆ど目立たない。
まあ、女性の多い職場だし、お姉さん達に囲まれて埋もれてしまってるって感じだ。
だから余計に普段口数も少なくておとなしいのかもしれない。
あんまり目立たないから普段彼女がどんな服を着ているのかよ~く思い出してみたら、たしかスカートは履かない方だ。
いつもジーパンにピンク系のシャツを着ている。
ロングブーツ姿も見たことはある。
いつも履いているビンテージっぽいスキニー系のブルージーンズに黒いロングブーツを履いてたっけ。ジョッキーブーツ系でヒールの太いタイプだった。
❝やっぱりおとなしい性格だからピンヒなんて履かないんだろうなァ。❞
そして麻美の方のファッションはわたしと同じだ。
使い古しのジーパンにロングブーツインは当たり前。
わたし達ってファッションセンスも似ているから本当に気が合う。
麻美はわたしと同じブーツ派だが気に入ったブーツを履き潰すまで使うタイプだ。
だからいつも彼女が履いている薄いベージュ色のロングブーツはかなり使い込まれていて使用感たっぷりだ。
彼女がいつも履いている紺系のジーパンはわたし同様に色落ちが激しく、この明るい色のロングブーツが実によく映える。
そういう意味では麻美は元々ジーパンレディーとしての素質は十分なのだ。
それにしても里奈子にどう話しかけて、どうやって連れて行くかが問題だ。
ジーパンレディーとしての重要な要素であるジーパンにロングブーツインスタイルで尚且つ手にはロング手袋なんていう格好、してきてなんて言えないな。
だいいち皮製のロング手袋なんて持ってないだろうし・・。
❝そうだ!次回はわたしも職場系コスでトリップしようと思ってた訳だから、思い切って職場から2人でトリップすればよいのだ。❞
そうすれば里奈子も普段通りのジーパンに白いゴム長靴、それに終業前の清掃タイムにはゴム手袋もはめている。
彼女をその格好のまま連れ出すのは簡単だが、問題はどこで儀式をやるかだ。
絶対に人目につかないところでやらなければならない。
終業間際はさっさと帰る人、居残って喋っている人とかいろいろだから、わたし達2人が少しの間いなくなっても誰も怪しまないからそれは大丈夫だ。
そうすると夕方頃誰も来ない場所でやるしかない。
そういう場所と言えば地下2階の倉庫だ。
あそこなら誰も来ないし薄暗いしトリップには最適だ。
そうと決まれば当日作戦通りにやるだけだ。
もし不足の事態が発生しても今回は里奈子を連れ出すのを止めればよいだけの事だから、その時は帰宅後にわたし一人でトリップしよう。
今回はナチスの空軍基地を襲う訳だから、まずは飛行場に着いたら滑走路をできるだけ早く穴だらけにして使用不能にしなければならない。
飛行機も離陸できなければわたし達の格好の餌食になるしかないのだ。
どうせ空軍基地だから警備の部隊もいる事だろう。
最初はナチの部隊に里奈子を攻撃させて、彼女を暴れたい気持ちにさせなければ・・。
わたしも最初はそうだったっけ。
いきなり街を破壊しようなんて思わなかったし、攻撃されて初めて目が覚めた訳だからシャイな里奈子だってきっと怒り出すに違いない。
そう期待しながらわたしはトリップデーがやって来るのをひたすら待った。