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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第159話・大暴れの報復作戦始動

 破壊され尽くされた街の惨状を見つめながら決意を固めたわたし達。


「前回のトリップからどのくらい経ってるの?」

と里美が尋ねてきた。


「かなり前だったと思います。」

「だからいつでも出発できますよ。」

「先生は10日周期の事をご存知なんですか?」(わたし)


「もちろん知ってるわ。」

「それに、あちらの世界に60分しかいられないって事もね。」

「偵察がてら行くには1時間あれば十分だわ。」

「とりあえず30年前にトリップしましょう。」

「わたし達は今から帰って準備をしてくるわ。」(里美)


「わたしも連れていって頂けるんですか?」(幸代)


「当たり前でしょ!」

「あなたもその体で思いっきり体感しなくちゃ。」(里美)


「じゃあ、集合場所はわたしのマンションの近所の公園ということでお願いします。」

「マップと集合時間は後でスマホに送信しますね。」(わたし)



「そうしてくれる。」

「じゃあ、わたしもジーパンにブーツインしに行かなきゃね。」(里美)


成り行き上とはいえ、いきなりトリップすることになったわたし達。

そして、わたし達は準備の為に一旦別れることにした。

2時間後、わたしはそろそろ出ようと準備していた。

どうせ偵察程度のトリップだし、いつもの格好でいいと思った。

いつものように赤地に黄色いチェック柄のシャツに使い古しのネイビー系スキニージーンズ。

それにアイボリー系の革製ロング手袋にダークブラウンのロングブーツである。

出がけに何気なくテレビをつけてみた。

すると信じられない光景が映し出されていた。


「先程、このマンションが突然出現した巨大女によって粉々に踏み潰されました。」


テレビのアナウンサーが興奮気味に伝えている。

巨大女の姿はすでになく、瓦礫と化したマンションが映し出されていた。


「身長150m以上のアジア系の巨大女が白いブーツでマンションを踏み潰したようです。」

「その後、すぐに巨大な扉と共に忽然と姿を消しました。」(アナウンサー)


場所はわたしの自宅から電車で4駅のところである。

❝どうして?❞

と思いつつ急いでブーツに脚を通すわたし。

サイドファスナーを上げて足早に公園に向かった。

公園に着くと里美がすでに来ていた。

青ざめた表情をしている。


「信じられないわ。」

「どうしてこんな事になったのかしら・・。」(里美)


「先生、どうしたんですか?」

「もしかして、さっきの事件の事ですか?」(わたし)


わたしは嫌な胸騒ぎがしていた。


「そうなの・・。」

「さっき破壊されたマンション、」

「研究生の幸代ちゃんの自宅なの・・。」(里美)


「えっ!」

「それじゃあ、彼女アイツらに殺されたんですか?」(わたし)


「さっきから電話してるんだけど、全然繋がらないのよ。」

「でもどうして?」(里美)


「リリア達にわたし達の動きを読まれてたのかも・・。」

「もしかしたら、わたしがレディース達に見張られていたのかもしれません。」

「それで、見せしめに幸代さんが狙われたんじゃないでしょうか。」(わたし)


「だったら一刻も早くわたし達の力を見せつけないと。」

「とにかく、彼女の仇を討たなきゃ!」(里美)


わたしは急いで手鏡を取り出して呪文を唱えた。

扉はすぐに出現した。


「さあ、行きましょう!」(わたし)


わたしは里美の手を握って時空の扉の中に入った。

そしてゲルマニアの首都ベルリンをイメージした。


改めて里美の服装を見てみる。

濃いパープル系の無地のブラウスに白いゴム手袋をはめている。

偶然にもわたしが職場で使っているのと同じデザインのものだった。

縁がくびれていて手のひらには小さなハートマークがいくつもあり、両サイドには3本のラインが入っているちょっとオシャレな感じの婦人用ゴム手袋だ。

さすがにわたしのとは違って殆ど汚れなど無く、どちらかと言えばピカピカだった。

それにブーツインを意識してかスキニー系のブルージーンズを履いている。

膝やお尻の辺りもそこそこに色落ちしていて、ジッパーの両サイドには3本づつヒゲが刻まれていた。

そしてベージュのレインブーツを履いてた。


「これって銀座で買ったわたしのと同じタイプのブーツですか?」(わたし)


「そうなの、律子さんのブーツを見てこれだって思ったの。」

「それで大学の帰りに銀座に寄って買ってきちゃった。」

「似合うかしら?」(里美)


「とっても似合ってますよ。」

「先生はスタイルいいし・・。」(わたし)


「ありがとう!」

「でも先生って呼ぶのはやめてくれる。」

「里美でいいのよ。」(里美)


「わかりました。」

「じゃあ、里美さん。」

「扉を開けますよ。」(わたし)


意を決して扉を開けるわたし。

眼下には巨大都市の街々が広がっていた。

わたし達はナチの首都ベルリンの中央広場付近に来ていた。


❝そういえば、今までどうしてこの町を襲わなかったんだろう?❞

ナチスとの闘いをする中で、真っ先に破壊しなければならないのがこの街のはずなのに。


❝ズッシーン!❞

❝ズッシーン!❞(わたし)


❝ズッシーン!❞

❝ズッシーン!❞(里美)


巨大都市に降り立ったわたし達。

久しぶりのトリップに武者震いすら覚えるわたし。

里美も口元に不敵な笑みを浮かべてわたしの合図を待っているようだった。

今まさに、わたし達の戦争が始まろうとしていた。














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