第157話・今度はションベン地獄よ!
広島市の中心部から港湾施設まで舐めるように7人の巨大ジーパンレディース達が踏み荒らしていく。
広島市の上空を旋回しているテレビ局のヘリはその惨状を生々しく伝えていた。
「あれが広島市なの?」
「信じられない!」
「市内全体がどす黒い土肌がむき出しになってるじゃない。」
口に手を当てながら里美がつぶやいた。
「わたし達もあんな風に暴れるって事ですか?」
とわたしが言う。
凄まじい破壊と殺戮を目の当たりにしているわたし達。
やられる側に立てば、躊躇する気持ちが湧いてくるのは当然だった。
しかし、里美は違った。
「わたし達が報復しなくて、誰がするのよ?」
「あの破壊女子達を止められないのなら、」
「わたし達もあの子達と同じことをするだけだわ!」
そんなわたし達の会話が全く理解できない研究生の幸代だった。
リリア達の足元にはモクモクと無数の煙が立ち上り、さながら原子爆弾でも落とされたような有り様だった。
「この町って、昔原爆を落とされたんだよねェ?」
「こんな風にしちゃって、本当にゴメンナサイ!」
「でも、歴史は繰り返すっていうし、」
「もっともっと暴れてあげるからね。」
容赦のないリリア達。
今度は港と反対側の山側に向かって進撃を開始した。
❝ヴォッシューン!❞
❝ヴォッシューン!❞
❝ヴォッシューン!❞
まだ踏み残されていた区画やビル群を丁寧に踏みしだきながら進む彼女達。
目指す標的は広島市を見下ろす丘陵地帯に建っている広島女子大学だった。
「あそこは、確か避難所になっているはずです。」(幸代)
上空から映し出される大学の校内やグラウンドには無数の人々が集まっている。
その数は1万人以上だろう。
「あんな所に虫けらどもが集まってるよ。」
「わたし達から逃げられると思ってんのかなァ?」(リリア)
大学のある牛田町の住宅街を踏み潰しながら、この女子大を町ごと取り囲むリリア達。
すると大学の山側に仁王立ちしているアジア系の白ブーツ女と茶色いブーツの南欧系女子がおもむろにジーパンをずり下し始めた。
それを合図にリリアや他のジーパン女子も一斉にジッパーを下げてジーパンを脱ぎ始めた。
「今から皆さんに、とっても素晴らしいカクテルをご馳走してあげますねェ!」
「それってェ、わたし達のションベンカクテルになりま~す!」
「みんなァ、いくわよ!」
「せ~の、」
❝シューッ!❞
❝ジョロジョロジョロジョロ!❞
❝シューッ!❞
❝ジューッ!❞
巨大女子達の股間から勢いよくほとばしる濃厚な黄色いションベン。
瞬く間に女達の足元の大学や街々に降り注いだ。
そして女子大と牛田町にまるで洪水のように流れ始めていた。
「やったねェ~!」
「イェ~イ!」
「わたし達のプレミアムなションベン!」
「たっぷり味わえよ!」
「アッハッハッハッ!」
リリアと女達の黄色い笑い声が辺りに響き渡る。
「あれって、まさかっ!」(わたし)
ヘリからの映像を見て、思わず身を乗り出すわたし。
大学のグラウンドに集まっていた数千の人達が、黄色いションベンを浴びて白い煙を上げてドロドロに溶けていく様子が映し出されていた。
❝わたしのションベン責めと同じだ。❞
かつてわたしがナチどもにやった事が今、再現されているのだ。
面白半分に濃厚なションベンを掛けていたぶり殺した光景が脳裏をかすめていく。
とても、“同じことをやりました”、なんて先生や幸代に言い出すことなどできなかった。
地元のテレビ局が決死隊のように現場に4輪駆動車で向かっているのが見えた。
すぐにレポーターが画面に映し出された。
防護服のようなものを着ている。
「凄まじい、アンモニア臭の混じった強烈な悪臭です!」
「こんな光景見たことがありません。」(レポーター)
牛田町の路地という路地には大量の遺体が折り重なり、次から次へと黄色い小便液と共に流れてきていた。
先程、リリアがメディアへの攻撃を制止したのをきっかけに大胆な行動に出始めた各局メディアだった。
普段、地震や津波でも犠牲者の遺体など絶対に映さない日本のメディアも、この尋常ではない状況に完全に感覚がマヒしているようだった。
❝ジュリジュリッ!❞
❝ジュリジュリッ!❞
❝ジュリジュリッ!❞
ションベンまみれになった町を容赦なく踏みにじる女達。
口元は皆、ニヤついた表情だ。
「みんなァ!」
「そろそろトドメを刺すわよ!」
「せ~の!」
「ジャ~ンプ!」
❝ヴォッヴォーン!❞
❝シュヴォーン!❞
リリアの合図と共に一斉に飛び上がる女達。
そして無残に破壊された広島市内に両足で着地した。
14本の超巨大ロングブーツの靴底が大地を踏みしめるのと同時に、地鳴りが起こり、地面に亀裂が走り、市内をネズミ色の粉塵が覆い尽くした。
まるで大型爆弾でも落とされたような凄まじい威力に震え上がる現地のレポーター達。
「もの凄い地響きです。」
「私達は立っていることもできません。」(レポーター)
道路にはいつくばって実況する彼ら。
彼らの防護服は巨大女達のションベンですでにボロボロになっていた。
「みんあァ!」
「今日はこのくらいにして、」
「そろそろ引き上げるわよ!」(リリア)
ポケットから手鏡を取り出したリリア。
呪文を唱えるとグリーンの閃光が走り始めていた。
やっと終わるんだと思うと、虚脱感に襲われ始めたわたしだった。