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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第15話・わたし、まだまだ暴れます!

 思う存分暴れまくったわたしは、とってもルンルン気分で時空の扉が現れるまで暇つぶしに何か壊そうと思っていた。

この街はとにかく広い、だから壊すものはまだまだたくさんある。

そう思った瞬間わたしの足元で爆発が起きた。

❝ボン!ボン!❞

わたしのブーツをほんの少し汚す程度のものだったが、ちょっとビックリしたわたし。

「いきなり、何なのよォ~!」

と叫んだら次の瞬間、わたしの左手のロング手袋に何か当たったみたい。

❝シュッ!❞と音がして薄いベージュ色のロング手袋がわずかに黒く汚れた。

思わずあたりを見渡すと上空に飛行機がたくさん飛んでいる。

先程からの爆発はドイツ空軍の急降下爆撃機による攻撃だったのだ。

わたしの頭の上を30機程の航空機が飛び回っている。

急降下爆撃機の他に戦闘機が10機ほどわたしの正面と背後から交互に機銃掃射をかけて来る。

わたしにとってはまるで藪蚊に襲われているようなもので、本当にウザい奴らだ。

すぐにわたしの怒りとイライラは頂点に達した。

「さっきから、調子にのってよくもやってくれたわねェ!」

「わたし、絶対に許さないんだからァ~!」

そう叫ぶとわたしは足元に建っている10階建てのビルに組み付いた。

そして強引に引き抜くと急降下してくる編隊に向かって思いっきり投げつけた。

「え~い!」

❝ズッバ~ン!❞

❝バズ~ン!ヒュ~!❞

わたしの投げつけたビルは空中で分解して急降下爆撃機の編隊を襲った。

3機が直撃を受けて空中で爆発し、他の2機には瓦礫が当たり煙を吹いて墜落し始めた。

「イェ~イ!やったネッ!」と喜ぶわたし。

更に今度はわたしに機銃掃射をかけて来る戦闘機に狙いをつける。

わたしはとっさにしゃがみ込んで両手で顔を覆った。

するとわたしの正面から接近してくる戦闘機は更に高度を下げてわたしに狙いをつけた。

次の瞬間わたしはいきなり立ち上がって戦闘機に両手で襲い掛かる。

❝ムギュッ!❞

ちょうどわたしの胸の辺りまで高度を下げていた戦闘機はガッチリとわたしの両手に捕まった。

随分旧式のジェット戦闘機だ。緑色の塗装に鉄十字のマークが描かれている。

「わたしに捕まるとこうなるのよ!」

そういうとわたしはコックピットの風防ガラスを指で引き剥がした。

そして人差し指にタップリとわたしの唾をつけると操縦席のパイロットになすりつけた。

何度も何度も指先をナメてはパイロットの顔に唾をなすりつけるわたし。

「わたし、ただいま唾責め実践中で~す!」

わたしは何度も唾をなすりつけては息を吐きかけた。

「ハァ~ッ!」

「わたしの唾って、乾くととってもイイ臭いなのォ~!」

パイロットはわたしの乾いた唾の強烈な異臭とわたしのキツイ口臭に何度も襲われた。

「空からわたしの事を攻撃するなんて卑怯な事するからよ!」

「ほらほら~!もっとタップリわたしのツバ、飲ませてあげるからねェ~!」

そういって彼をいたぶり続けるわたし。

上空からは散発的にわたしへの攻撃が続いていたが、そんな事には全くお構いなしのわたしだった。

「もっとタップリ飲みなさいよォ~!わたしのツバ!」

そういうとわたしはコックピットにキスでもするように口をつけて操縦席内に唾を流し込んだ。

そして先程引き剥がした風防ガラスを無理やりねじ込んだ。

コックピット内はわたしの唾で満たされパイロットはすでにピクリとも動かない。

「あらっ!可哀想に、死んじゃったのかなぁ?」

そういうとわたしは右手で掴んでいた戦闘機を“ヒョイッ”と手前に軽く放り投げて右足で思いっきり蹴り上げた。

「そ~れっ!」

❝パコ~ン!❞

わたしのロングブーツのつま先が戦闘機を直撃し粉々に砕け飛ばした。

「とってもいい気分!これって~、ホント快感かも!」

そうつぶやいた瞬間上空がグリーンに光りだした。

「わたし、そろそろ帰らなくちゃ!」

「今日はこのくらいにしといてあげますねェ~!」

「でも、ちょっと暴れすぎちゃって、ゴメンナサ~イ!」

「また復興した頃に暴れさせて頂きますねェ~!」

「ではでは~!」

そう叫んだわたしは扉の中に消えた。



ジーパンレディー律子が襲ったケーニヒベルクの中心街は跡形も無いほどメチャメチャに破壊されていた。

荒涼とした瓦礫の中にはペシャンコに押し潰された戦車の残骸や叩き落された航空機の破片、それに多くのドイツ軍兵士の潰された遺体が無数に散らばり埋もれていた。

ケーニヒベルク周辺に展開中のドイツ国防軍第8機甲師団のエーリッヒ・アレキサンダー中将が現地視察に到着したばかりだった。

中将

「ベルゲンシュタット、ビアロフカに続いてジーパンレディーに襲われたのはこれで3都市目だ。」

「今回の被害状況はどうなっている?」

副官:エルンスト・ゲーベル大尉

「ジーパンレディーによって完全に破壊された建物は13棟に及びます。」

「その他に被害に遭った建物は12棟、我が軍の損害はタイガー戦車32両、300名以上の将兵が踏み殺され航空機も6機が墜落しております。」

中将

「中心街で犠牲になった者は一般人も含めて相当数になるな?」

大尉

「現在調査中ですが、犠牲者の数は行方不明者も含めて数千人規模になると思われます。」

中将

「地上部隊ではジーパンレディーには全く歯が立たない。」

「もっと空軍を使った空爆を活用するべきだ!」

強大なジーパンレディー律子の前に、無力さをさらけ出しているドイツ国防軍の高官は半ば諦め顔で破壊された現場に立ち尽くしていた。









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