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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
142/278

第142話・リリアの真の目的とは?

「1945年にヘルネブルグの町は消滅しました。」

「人口5万人の工業都市がわずか1時間で消えたんです。」

「突然現れた400m近い超巨大なジーパンレディースが全てを踏み潰して忽然と消え去ったんです。」

「あの当時は、連合国の首脳達も本気で彼女達がナチの第三帝国を滅ぼしてくれるんじゃないかと期待したそうなんです。」

「でもその後、彼女達は現れずナチスが戦争に勝って現在のようなナチの支配するゲルマニア陣営とアメリカを中心とする西側陣営に別れたんです。」


「その町を破壊したのはわたしです。」

「あとの2人はわたしの友達です。」

と恐る恐る応えるわたし。


「律子さんて、歴史上の有名人なんだ。」

と驚いた顔でつぶやく正美。


「わたし達はただ、正義の闘いをしただけなの。」

と今までの破壊を正当化するわたし。


「でもその後、10年前と30年前にも突然現れて、地方都市や空港や港町をメチャメチャに壊したんですよね?」とリリア。


「その港町をぶっ壊したのはわたし達かも・・。」

と美由紀が手を挙げた。


「あのブラウハーフェンの町は完全に地図から抹消されたんです。」

「町はいまだに焼け野原のままで、地面にはあなた達の巨大な靴跡がクッキリと残ったままなんです。」

とリリアが続ける。


「何だか、恥ずかしい!」

と奈美江がうつむく。


「ところで、あなた達はどこから来たんですか?」

「それにどうやって来るんですか?」

と質問するリリア。


「わたし達は1945年にナチスドイツが降伏した世界から来たんです。」

「それにわたし達は今、2017年の日本に住んでいて、こうやってタイムスリップして来るの。」

「それに、過去にトリップすると体が大きくなっちゃうの。」

「30年前にトリップすると体の大きさが100倍になるのよ。」

「最初はこのメカニズムに戸惑ったけど・・。」

「今は、こっちの世界からナチの奴らを根絶やしにすることが、わたし達の使命だと思ってるわ。」

「だから、多少の犠牲が出てもわたし達は闘い続けるの。」

と続けるわたし。


「ところで、どうやってタイムスリップするんですか?」

と語気を強めるリリア。


そこでポケットから例の手鏡を取り出した。

「これは昔、ヨーロッパを旅行した時にマケドニアの市場で買った物なの。」

「この裏面に書いてある文字を読んでみたら、不思議な事が起こったの。」

「呪文と共に時空の扉が現れて、その中に入って行きたい年代や場所をイメージするの。」

「次の扉を開けると、イメージ通りの世界に入って行けるのよ。」

「もちろん年代によっては巨大な姿なんだけど。」

と説明するわたし。


「へえ~、ちょっと見せてもらえますか?」

と興味津々のリリアだった。


普段人に渡すことは絶対にないけど、こちらの世界で活躍するジーパンレディーの彼女だから、特別に見せてあげることにした。

手鏡を手に取った彼女はマジマジと見つめている。

そして裏面を見ながら何やら口元でモゴモゴとかすかにつぶやいている。

そして「はい!」と言って手鏡をわたしに返してくれた。


「何だか、わたしも皆さんみたいにトリップしてみたいなあ。」

と言い出すリリアだった。


「ところで、こちらの世界での日本はどうなってるの?」

と正美が尋ねる。


「日本はアメリカに戦争で負けて、今はアメリカ陣営に入ってるんです。」

「ゲルマニアとはかつての同盟国だった事もあって、友好的な関係なんです。」

「だから歴史上現れた巨大な皆さんが、ゲルマニアで暴れたのは不思議な事として捉えられているんですよ。」

「実は歴史上現れた皆さんの事に興味があって、わたしも日本語を一生懸命に勉強したんです。」

「たしかネットで検索すれば、皆さんが大暴れしている記録フィルムの動画が見られますよ。」

「そんな動画を何度も見ながら、皆さんがなんて言っているのか知りたくなったんです。」

と生き生きしながら話すリリアだった。


「えェ~!そんな動画があるの?」

と驚くわたし。

「何だか恥ずかしくてそんな動画見たくないわ。」

と本当に恥ずかしいわたしだった。


「わたし達が活躍している動画もあるのかしら?」

と美由紀が興味を示す。


「たしかブラウハーフェンが壊滅した時の映像も記録されてましたよ。」

「巨大な制服姿のジーパンレディース達が、ナチの軍艦を手当たり次第に叩き潰すのをわたしも見ました。」

「あの時は、軍の施設も住宅街も完全に破壊されて2万人近くが犠牲になったんです。」

とリリア。


彼女の言葉を聞いて一斉にうつむくリリンズの3人だった。


「ごめんなさい!」

「わたしそんなつもりじゃ・・。」

とすぐに察したのかリリアが謝る。


「本当は謝らなければいけないのはわたし達かも・・。」

「今まで、散々暴れて罪もない人達を大勢傷つけてきたから・・。」

と罪悪感にさいなまれているのは、わたしも同じだった。


そんな話をしている内にわたし達は収容所の正面ゲートまで来ていた。


するとレディース達が一斉に走り出した。

そういえば、後から遅れてきた数名のレディース達が大きな箱を幾つも抱えている。

その箱を開けてグレーの小さな箱を取り出して一般収容棟に向かって走っている。


「何してるの?」

と正美がつぶやく。


「やり残した事があるんです。」

と応えるリリア。


「わたし達はそろそろ帰るわね。」

と言ってわたしは手鏡を取り出して呪文を唱えた。

するとグリーンの閃光と共に扉が現れた。

そんな光景を冷静に見つめるリリア。


わたし達が扉の中に入った瞬間だった。

中東系の美人レディースがリリアの所に走ってきて黒っぽいボックスを手渡した。

「あれって起爆装置じゃないの?」

と正美が言う。


「まさか・・。」

とわたしが言った瞬間だった。

リリアが右手で躊躇なくスイッチを押した。

こちらに向かって微笑みながらである。


❝ヴォヴォーン!ズヴォーン!❞


凄まじい爆発音と共に一般棟がそこにいた退去予定の人達諸共爆発炎上した。

「そんな・・。」

と言葉にならない正美とわたし達。


そんなわたし達に向かってリリアがポケットから何かを取り出したのが見えた。

それはわたしが持っているのと同じ手鏡だった。










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