第127話・わたし、思いっきりぶっ潰してやる!
工場を跡形もなく破壊した正美はドックの前までやって来て整備中の軍艦を見下ろしていた。
「まずは、コイツから叩き潰してやろうかな。」
そうつぶやきながら少ししゃがみ込んで足元の大型クレーンを両手で鷲掴みにして引き抜いた。
❝ジュヴァッ!!❞
「え~い、こんなもの!」
❝キュリキュリキュリ~!❞
シルバー手袋をはめた手でクレーンをグニャグニャに折り曲げる彼女。
❝グッシャーン!❞
❝ジュヴッ!ズリズリ!❞
もはや原型を留めないほど揉み潰されたクレーンを足元に叩き付けた後ブーツで踏みにじった。
「わかった?わたしの力。」
「無駄な抵抗は止めなさい!」
「わたしの邪魔をするのなら、みんな踏み潰しますよ!」
彼女にとってはちょっとした脅しのパフォーマンスをしたつもりだった。
ところが足元やドックの反対側からの守備隊による射撃は止むどころか激しさを増していた。
「しょうがないわ、これでも喰らいなさい!」
「えい!」
❝ズヴッ!❞
彼女の右足のすぐそばのトーチカから盛んに機関砲を撃ちまくっていた連中に向かって、シルバーブーツのぶっといヒールを打ち込んだ。
一瞬目をつぶってうつむいた彼女はゆっくりと足を上げた。
すると、そこには蹄鉄型のヒール跡がくっきりと刻まれてトーチカは消滅していた。
「ごめんなさい!」
「わたしに逆らうとこうなります。」
「これ以上わたしに殺させないで!」
懇願するように語り掛ける正美だったが守備隊の反撃は一向に止む気配が無かった。
「仕方ない、とにかくこの軍艦を処分しなきゃ。」
初めて明確に小人を踏み殺した正美だったが、罪悪感を抑えながらも任務を果たそうとしていた。
そしてドックの縁に足を掛けた瞬間だった。
❝ブシューン!❞
船をすっぽりと囲む壁の一部を踏み崩しながら前のめりになってバランスを崩した正美。
「いやだァ!」
そう叫びながら両手で巡洋艦の艦橋付近を無造作に掴みかかっていた。
❝グシャ~!❞
巨大な正美のシルバー手袋をはめた手が艦橋や煙突を押しつぶした。
そして無意識のうちに2m近い大きさの巡洋艦に馬乗りになっていた。
「え~い!それ~!」
テンションの上がった彼女は重巡に馬乗りになったまま体を前後に激しく揺り動かし始めた。
彼女の履いているジーパンがみるみる内に重巡の中央部分に喰い込んでいく。
跨った瞬間にジーンズに覆われた彼女の巨大なヒップが艦中央部の煙突や構造物や対空砲をグシャグシャに押し潰した。
巨大な正美が渾身の力を込めて下半身を艦体に押し付けて揺さぶり続けた結果、艦首と艦尾が少しづつ持ち上がり始めた。
「やったねェ~!」
更に両足で踏ん張りながら一旦お尻を持ち上げてから艦体に尻もちをつく彼女。
❝ズーン!❞
凄まじい轟音が響き渡り、艦はくの字に折れ曲がり始めた。
そして今度は艦に抱き着くように上半身を艦体の前半分に押し付けてから、両足を揃えて艦尾の辺りでバタつかせた。
❝ギュリリリーン!❞
❝ジュヴォ!ジュヴォ!ジュヴォ!❞
彼女の両手で押し潰されてへしゃげた状態だった艦橋や艦首砲塔は正美の巨大な胸に完全に押しつぶされた。
そしてシルバーブーツのつま先が艦尾やその周辺にボコボコと穴を開けた。
「わたしの力、思い知ったかよォ!」
❝グワーン!❞
裏返った声で叫びながら艦首を両手で掴んだまま立ち上がった彼女。
グシャグシャになった2m近い重巡を垂直に立ててしがみ付いたような恰好になっている。
ジーパンに包まれた股間にしっかりと艦中央部を挟み込んで両手でガッチリと艦首をホールドしている。
「こんな船、二度と使えないようにしてやるわ!」
「喰らいなさい!」
「それ~!!」
そういうと彼女は再び艦体に抱き着いてグイグイと締め上げ始めた。
❝ギュワーン!ギュリギュリ~!❞
鋼鉄のへしゃげ曲がる鈍い音が響き渡り、まるで吐き捨てられたチューインガムのようにグシュグシュに変形した状態になった哀れな巡洋艦。
「エ~イ!」
❝ヴォッカーン!❞
散々いたぶり壊した艦を持ち上げて発砲を続ける機銃陣地に向かって投げつけた彼女。
もはや多少の犠牲者がでるのは仕方がない。
とにかく巨大な自分の圧倒的な力を見せつけて諦めさせるしか方法はないと悟った。
だからわざと守備隊員がいるところに向かって投げつけたのだ。
「本当にごめんなさい!」
「でも、こうするしかないの。」
そういいながら更に次のドック内の艦船に向かっていく彼女。
今度は慎重にドックの縁に両足を載せて勢いよくジャンプした。
「え~い!」
❝ジュヴォーン!!❞
殆ど整備が終わって再塗装された綺麗な重巡洋艦の中央部分にシルバーブーツに包まれた正美の両足が着地した。
もの凄い粉塵が噴き上がり、一瞬辺りが真っ白に覆われた。
正美自身も自ら巻き上げたねずみ色の噴煙に両手で顔を覆った。
煙が収まると、そこには艦中央部を完全に踏み砕いて直立する巨大な白バイお姉さんがいた。
綺麗に両足で着地した彼女。
正美のシルバーブーツの靴底は重巡洋艦の煙突とその周辺部分を完全に踏み抜いて艦底部にまで達していた。
「ちょっとやりすぎちゃってゴメンね!」
舌をペロリと出しながら両手を腰に当てる彼女だった。