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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第122話・殺さないで暴れるなんて無理っ!

 ❝ジュリジュリッ!❞

足元に大量に並べられた軍需物資を踏みつける奈美江。

「まずは、これを踏み潰せばいいのかしら?」

そういいながら奈美江はつま先から蹴りつけるように物資を踏み砕いた。

「なんか、いい感触かも!」

❝ジュブ!ジュブ!ズリッズリッ!❞

と美由紀も小刻みに両足で軍需品やドラム缶、小型車両などを踏みしだいていく。

❝シュボーン!❞

うず高く積み上げられた燃料缶を踏み潰した美由紀。

その瞬間、炎が噴き上がった。

「ウワッ、やったね!」

せせら笑いながら念入りに燃え上がった場所を物資もろとも踏みにじる彼女。

「こういう任務ならいつでも歓迎って感じですゥ~!」

と奈美江がトラックや野砲などが並べられたエリアにやって来た。

「それ~っ!」

❝ガッシャーン!パラパラパラパラ!❞

ブーツのつま先で車両列線のはじからまとめてなぎ払った彼女。

一瞬で蹴り飛ばされた細かい残骸が空中高く舞い上がった。

可愛らしい顔に似合わずやる事は大胆で強烈だ。

❝ジュリリ~!ジュリジュリ!❞

更に踏みつけてはニジリ回しながら破壊の限りを尽くす彼女達。

1m×2m四方に並べられていた軍需物資はわずか5分程でリリンズの餌食となった。

「この辺はこのくらいにして船をやっつけに行きましょ!」

と言って奈美江が歩き出した。そして後に美由紀を続いた。


❝ズシーン、ズシーン、ズシーン!❞

ドイツ軍艦船が接岸している桟橋にやって来た2人。

❝ジュッヴォーン!ジュッヴォーン!❞

いきなり海の中にそのまま足を踏み下ろした奈美江。

凄まじい水しぶきと共に轟音が辺り一面に響き渡った。

彼女の手前に接岸されている駆逐艦は左右に大きく揺れた。

この艦にはまだ乗組員が多数残っているようだった。


❝ボーン!ボーン!❞

目の前の巨大なシルバーブーツに向かって発砲を始めたこの艦船。

しかし水深はわずか20センチほどしかなく、奈美江のブーツのふくらはぎの部分までしかなかった。

大砲の弾は奈美江のブーツの筒の部分を直撃したが相変わらず少し黒くすすけるだけで何の威力もなかった。

「何よ!こんなもの!」

「えいっ!」

❝ブッシャーン!!!❞

いきなり駆逐艦の中央部分を思いっきり踏みつけた奈美江。

彼女のシルバーロングブーツが1m程の長さの駆逐艦を一瞬でくの字にへし折った。

ブーツの靴底が艦艇の中央部分の煙突を踏み潰しながらそのまま水中に踏み沈めて、艦の先端と後甲板だけが水面に残っていた。

❝ギュリッ!ギュリッ!ギュリリ~ッ!❞

海中に沈んだ艦中央部を踏みつけながらにじり潰す彼女。

やがて中央部でねじ切れた艦の前半分と後ろ半分が僅かに水面に浮かび上がるとブクブクと音を立てて沈んでいった。

「やり~!よしっ!!」

そういってガッツポーズをきめる奈美江。

「正美先輩は誰も殺すなって言ったけど、そんなの無理っ!」

と小さな声でつぶやいた。

そんな光景を目の当たりにしていた身長175mの巨大美由紀もがぜん興奮し始めた。

「わたしも負けてられないわ!」

そういうと美由紀は反対側の桟橋に接岸されていた駆逐艦の前方と後方に手を掛けた。

そして軽々と持ち上げた。

「よいしょっと~!」

❝ザッブーン!❞

こちらの船にもまだたくさんの人が乗っているのが見えた。

美由紀の胸のあたりまで持ち上げられた駆逐艦の乗員はなす術もなく発砲すらできない状態だった。

彼女が握りしめている部分は既にシルバーロング手袋によって手すりが押し潰されて艦体も少しへしゃげていた。

「正美先輩!この中にまだ小人がたくさんいるみたいですけど~!」

そう呼びかけると正美が言った。

「ちょっと待って!」

しかし正美が応えるより一瞬早く、掛け声と共に艦中央部をジーパンに包まれた膝に叩き付けた彼女。

「それっ!」

❝グッシュ~ン!!!❞

美由紀の膝で真っ二つにへし折られた艦は中央部分から凄まじい炎を吹きだしながら黒煙に包まれた。

膝に打ち付ける瞬間に余程手に力が入ったのか彼女が握りしめていた艦の前方と後方の部分は手形が残るほどグシャリと握りつぶされていた。

「待ってって言ったのに~!」

と正美が顔を曇らせる。

「ごめんなさ~い!つい勢いでやっちゃいました~!」

そういうと美由紀はへし折られた艦体をそのまま海に投げ捨てた。

❝ジャッヴォーン!ボッチャ~ン!❞


「いいこと!彼らの兵器は破壊しなくちゃいけないけど、できるだけ犠牲者は出さないでね!」

正美が厳しい口調で注意する。

だが彼女とて、もはや誰も殺さないで使命を果たすのは不可能だということに気付き始めていただろう。

注意された2人は破壊された足元に沈む艦船を見ながらうなずいた。


「わたし達、正義の味方なんですから悪党に少しくらい犠牲がでても仕方ないと思います!」

攻撃の手が緩むといけないから、わたしが毅然としてリリンズの3人に向かって言った。

「やっぱり、そうかも・・。」と正美がかすかにつぶやいた。


まだリリンズによる襲撃は始まったばかりである。

大量の軍需物資を踏み潰され、艦船を一瞬で2隻葬られた軍港全体に非常警報が鳴り響いた。

軍港の反対方向からドイツ軍機甲部隊がやって来るのが見えた。

軍港破壊もまだ途中だというのに、次から次へと見せ場がやって来る展開に満足そうな笑みを浮かべるわたしだった。






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