表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
118/278

第118話・わたし流の取り締まりなんだから!

❝ヴァヴァーン!❞

88mm砲が一斉に火を噴いた。

とっさにうつむき加減になった正美の白いヘルメットに多数の砲弾が着弾した。

「ちょっとっ!何すんのよォ!」

さすがに怒りをあらわにする彼女。

一旦立ち上がって無人になった戦車を右脚のシルバーブーツで乱暴に掻き分けた。

「邪魔なんだから、それっ!」

❝グシュ~!!❞

数台のタイガー戦車が正美のブーツによって路肩に押しやられる。

ポッカリ空いた道路上に足を踏み下ろす彼女。

「そ~れっと!」

❝ズシーン!❞

ちょうど設営された10門の88mm砲の前に躍り出た彼女。

標的であるはずの巨大正美が目の前で仁王立ちになったから、砲兵隊は慌てふためいている。

射撃が止んだので正美は遠慮なく巨大なシルバーロングブーツに包まれた右足を振り上げた。

「いいこと!覚悟しなさい!!」

「えいっ!」

巨大なシルバーブーツが高射砲を砲兵もろとも踏み潰しそうになった瞬間だった。

正美に狙いをつけていた砲身にブーツのソールが当たる寸前で全てが止まった。

今まさに振り下ろされた巨大な正美のブーツがピタリと止まり、踏み殺されることを覚悟した砲兵達の動きも止まった。

一瞬何が起こったのかわからなかったわたし。

しかし、すぐに時は動き出した。

砲身直前で寸止めされた正美のブーツを見ながら、砲兵達は持ち場を放棄して一斉に逃げ出したのだ。

先ほどから小人達を踏み殺すことに躊躇している彼女。

今回も一気に踏み潰そうとはせずに彼らを踏み潰すと見せかけて足を寸止めして彼らを逃がしたのだ。

「わたしの力、思い知ったか!」

「えいっ!それっ!」

❝ブイ~ン!ヴ~ン!❞

その後も大砲を蹴り上げるような仕草をしながら砲身の少し上あたりでブーツのソールを左右にスイングさせる彼女。

そのすぐ下にいた兵士達はたまらず皆散り散りになって逃げだした。

更に2両の装甲車の間に足を踏み下ろす彼女。

「よいしょっと!」

❝ズシーン!❞

まるでチョロチョロとアリンコのように逃げ惑う小人達を見ながら薄ら笑いを浮かべる彼女。

「ホラホラ~、握りつぶしちゃうぞォ~!」

更にしゃがみ込んで兵士達を掴み上げようとする彼女。

テカテカに輝くエナメルシルバーのロング手袋をはめた彼女の右手が執拗に兵士達に襲い掛かる。

しかし決して捕まえようとはせず、あくまでフリを繰り返す。

恐れをなした守備隊兵士達はおびえた様子をしながら、その場で武器を捨てて正美の足元に集まって来た。

数百人の兵士達が両手を挙げてわたし達に降伏している。

こんな光景はあまり見たことが無い。

いつもなら皆殺しにするわたし達だったからだ。

正美のシルバーブーツの周りにウジャウジャと集まりだした捕虜たち。

「そんなに近くに来たら本当に踏み潰しちゃうわよ。」

「あっちに並びなさい!」

そういって左足を少し上げてつま先で少し離れたビルの前に移動するように促す彼女。

小人達の一団は足早にわたしと正美の間に建っている商業ビルの前に移動した。

それを確認した正美が言った。

「これから、わたし達に歯向かった罰として、わたし流取り締まりを始めます!」

「皆さんの命だけは助けてあげます。」

「でも、この武器はわたしが処分させてもらいます。」

そういうと無人になった戦車や大砲、装甲車をブーツを履いた足で無造作にかき集め始める彼女。

❝ガシャーン!❞

❝グシャーン!❞

❝グシュグシュグシュグシュ!❞

シルバーブーツのアウトソールの部分が車両群を直撃するたびに鉄のへしゃげる音が響き渡る。

「そ~れっ!」

❝ガシャガシャガシャ~!❞

正美の足元には先ほどまで陣取っていたドイツ軍車両や大砲のスクラップの山が築かれた。

「こんなものォ~!」

「こうしてやるわっ!」

❝グチャッ!グチャッ!グシュッ!❞

ブーツで踏みつける度に鈍い音が響き渡り粉塵が舞い上がる。

やがて小刻みに両足で残骸を踏みにじり始めた彼女。

❝ギュリッ!ギュリッ!ジュリ~!❞

ペシャンコになった残骸を念入りに踏みしだいていく彼女。

「これでよしっ!」

彼らの武器を徹底的に踏み砕いた彼女。

今度は集まった捕虜たちの方を向いた。

「もうあなた達に用はないので解放します。」

「帰っていいわよ。」

優しい口調で前かがみになりながら指示する彼女だったが、日本語が理解できない彼らは立ちすくんでいる。

❝ズシーン!❞

「帰っていいって言ってるでしょ!」

いきなり兵士達の手前を踏みつけた彼女。

驚いた小人達は我先に踏み殺されまいと逃げ出した。

ビルの脇や、中には正美の股下を全速力で逃げていく者もいた。

そんな光景が妙に滑稽で面白かった。

「正美さんやりますねェ。」と言って苦笑いするわたしに照れくさそうに微笑み返す彼女だった。

「それじゃあ正美さん、最後の仕上げをしましょ。」

と言って市内中心部のナチスビルを指さすわたし。

「そうですね、あれも片付けますか。」

そういいながらナチスビルの前に歩いていくわたし達。

❝ズシーン、ズシーン、ズシーン!❞

噴水広場にやって来たわたし達は10階建てのナチス本部ビルを見下ろしていた。




 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ