第107話・わたし流の地獄を味わうがいい!
わたしの足元には大粒なわたしの唾しぶきが降り注いだ。
しかも鮮血の混じった血生臭い唾である。
手の平に載った哀れな惨殺体を投げ捨てたわたしは、残りのパイロット達を跨いだ状態で立っていた。
恐怖のあまりもう誰も逃げ出す者などいなかった。
そこでわたしは残りの奴らをブーツのつま先で軽く蹴りつけながらゆっくりと歩き出した。
辺り一面には先ほどわたしが蹴り壊したり踏み潰した戦闘ヘリの残骸が無数に散らばっていた。
少し先にはまだ壊されていないヘリが10機ほど駐機している。
わたし的にはこれも全部壊してやりたかった。
そしてヘリを破壊した後でゆっくりと残りの奴らをイジメてやろうと思っていた。
これは単なる小人イジメではなく、殺す事を前提としたわたしの復讐だ。
それにしてもコイツらイライラする位にトボトボと歩いている。
わたしのゆっくりとした一歩に追いつくのに数分かかってしまう。
だからわたしは腰に手を当てながらブーツのつま先に神経を集中させて、男達の背中を小突くように軽~く蹴りつけてやった。
わたしに小突かれた瞬間にもんどり打って倒れる者や、むち打ちのように背中が曲がる者など可哀想なくらい哀れな連中だった。
そんな中ブーツが当たった瞬間に睨み返す奴がいた。
❝生意気!❞ と思ったわたし。
そういうネガティブな事を決して見逃さないわたしは「チッ!」と舌打ちしながらいきなりヒールでこの男を蹴り倒した。
ひっくり返ったコイツに少し太めの黒いヒールが襲い掛かる。
❝ギュッ!❞ と軽く踏みつけた後に力を込めて❝ギュリッ!❞とにじりつけた。
生意気な男は声を上げる間もなく一瞬で踏み潰された。
「いい気味!」と口元に笑みを浮かべながら尚も歩き続けるわたしと彼ら。
それでもゆっくりと歩き続ける彼らにわたしのイライラは頂点に達した。
「ああっ、ウザい!」
❝ドスッ!ドスッ!ズブッ!ズブッ!❞
固まって歩いていた二十数名の彼らの両端にいきなり両足で交互にヒール打ちを喰らわした。
左右のブーツが両サイドで歩いていた7~8名づつを一気にすり潰した。
あまりの事に慌ててわたしの進行方向に向かって走り出す生き残った10名の男達。
「それでいいのよ、あんまりわたしをイライラさせないでよね!」
そんな事をしている内に生き残った10機のヘリの前にやってきたわたしと彼ら。
「いいこと!逃げたら踏み殺すからね!」とキツイ口調で彼らに向かって釘を刺すわたし。
そんな彼らを跨ぎ越してからわたしはヘリを右足で乱暴にかき集め始めた。
「ソレ~!ホラホラッ!」
❝ガッチャ~ン!バキバキバキッ!ブシュ~!❞
わたしはヘリの胴体をできるだけ踏み潰さないようにしながら一箇所に蹴り集めた。
それでもレインブーツの直撃を受けた戦闘ヘリは回転翼が吹っ飛び、ガラスは砕け散り、テールブームもへし折れて無残な姿をさらしていた。
一箇所に集めたヘリの前でしゃがみ込んだわたしは1機づつ掴んでは積み上げ始めた。
そして程なくヘリのスクラップの山が出来上がった。
「よし!できたっと。」
ヘリの山の脇には航空燃料が漏れ出していた。
わたしは燃料の広がった地面をブーツのつま先で踏んづけてから勢いよく蹴り上げた。
❝シュッ!❞といってブーツと地面が擦り合された瞬間に❝ボッ!❞と勢いよく炎が上がった。
火はたちまちヘリの山を覆い尽くし他の機体の燃料にも引火して更に勢いよく燃え上がった。
凄まじい火炎にたじろぐパイロット達だったが、わたしにとっては程よいたき火のようだった。
「ちょっと、ごめんなさいね!」と言ってわたしは男の足を1人づつ摘み上げた。
わたしの両手の指先には逆さ宙づりになった可哀想な男が2人ぶら下がっていた。
「焼けちゃっても知らないぞォ~!」と笑いながら男達を炎の先端にかざす。
灼熱地獄が彼らを襲い、顔中真っ赤な状態になってもがき苦しんでいる。
「アラアラ、ちょっと熱かったかなァ?」
優しそうに笑いながら苦しむ彼らを見つめるわたし。
「あんまり火に近づけると焼け死んじゃうわ・・。」
と元々焼き殺すつもりはないから、程よく炎からの距離を保ってあぶり続けるわたし。
時々ユラユラと揺さぶってみる。
それでも男達の足だけはガッチリと指で掴んでいたから火の中に落ちる心配はない。
「ちょっとだけ、休憩させてあげるわね。」と言って妙に優し気に彼らを手の平に載せ替えるわたし。
わたしは左手の上に2人を載せて全裸になるように右手の人差し指で小突き回した。
「早く服を脱ぎなさい!ほらァ!」
といって急き立てるわたしに急いで全裸になる彼ら。
彼らの脱ぎ捨てた服を“フゥ~!”と吹き飛ばすと再び両手で摘み上げるわたし。
全裸の男が逆さまにぶら下がって火あぶりの刑を受けている様は異様そのものだった。
「もっともっとあっためてあげるからね!」
そういうと再びユラユラと炎にかざして男どもを揺さぶり続けるわたしだった。
わたし流の地獄はまだ始まったばかりである。
その事に彼らは誰一人として気付いてはいなかった。
「ふふふっ!」と冷淡に微笑みかけるわたしだった。