第106話・とにかく、いたぶり殺したいわたし!
全身に怒りがみなぎるわたしのブーツのつま先の前に、その男は立ちすくんでいた。
茶色いパイロットスーツに黒い革のジャケットを着ている。
まだ若い金髪のパイロットだった。
わたしの足元には彼を含めて30人程が集まっていた。
攻撃ヘリ1機あたりに操縦士と副操縦士、それに機銃手と3名1チームで10機のヘリが出撃しようとしていたらしい。
ところが、彼らの攻撃の対象である巨大ヒロインのわたしがあっという間に彼らのところにやってきて、3機のヘリを粉々に蹴り飛ばしたから一気に形勢は逆転していた。
その事に今頃になって気付いた可哀想な彼ら。
これからわたしによるどんな仕打ちが待っているのか想像すらできなかったろう。
「コイツめっ!エイッ!!」
❝ズーン!❞
わたしの掛け声とともに巨大な白いレインブーツのぶっといヒールが先ほどの男を直撃した。
思わずとっさに飛び出したわたしのヒール打ちだった。
ゴム製のヒール底が5cm丈の男を抹殺した。
土煙がおさまった後、ゆっくりとブーツを上げてみるわたし。
そこには浪打模様の入った蹄鉄型のヒール跡がくっきりと刻み込まれていた。
しかし男の体はどこにもなかった。
少しだけブーツの靴底を確認してみるわたし。
「いたいた、コイツ!」 とヒール底に男の遺体がへばりついていた。
それを見たわたし、更に怒りが込み上げてきた。
「コノッ!コノッ!コノッ!ソレッ!」
❝ズブッ!ズブッ!ズブッ!ジュボッ!❞
無残に潰された男の遺体をくっつけたまま、わたしは渾身の力で何度もヒールを地面に打ち付けた。
打ち付ける度に男の体は細かい肉片となって辺り一面に飛び散っていく。
最後には地面にわたしのヒールが突き刺さった。
小人1人を殺すのにこんなにエネルギーを使ったのは初めてだったかもしれない。
しかし、この恐怖のパフォーマンスはその他の連中を凍り付かせるのには十分だった。
わたしの足元で一歩も動けなくなった29名の兵士達。
そこでわたしは出発準備を整えていた内の2機のヘリのテールブームの部分を両手に1機づつガッチリと掴んで持ち上げた。
「こんなものっ!エイッ!」
❝グッチャーン!ヴォヴォーン!❞
わたしは両手に掴んだそれぞれのヘリをわたしの胸の前で打ち付けて粉々にしてやった。
「わたしの力、思い知ったか!」
そう叫ぶとわたしはその脇に並んでいた攻撃ヘリの群れを乱暴に踏み荒らし始めた。
「エ~イ!コノ~!」
❝ズヴォーン!ガッシャーン!ヴァコーン!パラパラパラ!❞
とにかく美脚ブーツを高々と上げては哀れなヘリを次々と蹴り散らかしていくわたし。
鋼鉄製の戦車や装甲車でさえもわたしの強烈なブーツキックの前では紙くず同然なのに、ただでさえもろい造りのヘリコプターなど、分子単位まで粉々になったかと思うくらいに一瞬で消滅していく。
「ホント、手応えがないんだからァ!」とあっと言う間に20機ほどのヘリを血祭りにあげたわたし。
そんな光景を目の当たりにしたパイロット達の内数名が全速力で逃げ出した。
それに気付いたわたし。
薄ら笑いを浮かべながら叫ぶ。
「マテッ!!」
そして大股でズンズンと逃げた奴らを捕捉するために歩き出す。
「わたしから逃げられると思ってんのかよっ!」
少しきつい口調で怒鳴りつけるわたし。
先頭で走っていた男を大股で跨ぎ越すと、少ししゃがんでから右手で掴み上げた。
恐怖で引きつった顔がよ~く分かるように、わたしの顔の前まで持ち上げる。
そして睨み付けるわたし。
「よくもわたしを怒らせてくれたわねェ。どうなるか教えてやるわ!」
そういうとわたしは男の頭をわたしの口元に持ってきて前歯でしっかりと噛んで抑えた。
そうしている間にも男の顔にはわたしの生温かい息がかかり続けている。
男にとっては巨大なわたしの上下の歯でしっかりと噛み止められ、歯から滴り落ちてくるわたしの唾と生臭い息とですでに生き地獄だっただろう。
そんな男の頭部を噛んだまま、わたしは上下の歯を少しづつ左右に動かし始めた。
かすかな悲鳴が聞こえてきたがお構いなしに続けるわたし。
やがて男の頭が“プチッ!”ともげてわたしの口元から地面に落っこっていった。
「ペッ!」とすぐに唾を吐くわたし。
男の鮮血が混じったわたしの唾の固まりが地面に立ち尽くすパイロットの1人に引っかかった。
男の胴体をポイっと投げ捨てると次の男を掴み上げるわたし。
今度は「服を脱げよ!」といって無理やりジャケットを引き剥がし始めるわたしだった。
わたしの意思が伝わったのか、わたしの手の平の上で全裸になる可哀想な男。
脱ぎ捨てられた服を“フゥ~!”と息で吹き飛ばすわたし。
するといきなり「いただきまァ~す!」と言ってわたしはコイツを口の中に頬張った。
わたしの口の中で激しく抵抗する男。
しかしわたしの舌と歯が容赦なく男の体を噛んだり圧迫したりしながら翻弄する。
❝なんか塩っぽい嫌な味!❞と感じながらもわたしは徐々に上下の歯に力を加えていく。
そして最後には奥歯で男の胴体を噛み千切ってやった。
わたしの口の中に生温かい鮮血の味が広がる。
その瞬間、微動だにしなくなった男。
手に唾まみれの男を吐き出すと、頭は潰れて判別できず、胴体も腹部の辺りから千切れて背中の皮膚で辛うじて繋がっていた。
「カッカァ~ッべッ!!」とまたしても足元の奴らに向かって唾を吐き散らすわたしだった。