015
「あ、おかえりクロスケ!!」
「また待ってたのかお前は、先帰ってろって言っただろ?」
「あははっ、わたしも終わったばかりだったし、ここで待ってれば
クロスケと一緒に帰れるかなーって、ね?」
あの出来事から2週間、色々あったものの俺とアリスは都市に
帰ってきた。
久しぶりに帰ってきた時、あの宿屋の一室がなぜか俺名義で賃貸から
購入したことになってたり、見たことのないような家具が増えてたり。
「はぁ・・・しっかしお前の親父さん、人使いに容赦がねぇな。
今日だけでどんだけの領地まわったんだか・・・」
「お父様、能力がある人ほど使いたがるからねー。
きっと、クロスケには期待してるんだよ?」
「はぁ・・・公爵家に付けば楽して生きていけるって思ってたのに・・・
あぁ、はやく休暇こねぇかな・・・遺跡荒らししたい・・・」
「そ、それはどうかと思うんだけど・・・あははは・・・」
呆れつつもアリスは、腕に抱きつき、指と指を絡め合うように手を繋ぐ。
「・・・どうした、アリス?」
「んっ・・・こうしてるの、夢じゃないんだよね・・・?
わたし、ちゃんとクロスケの横にいるよね?」
「・・・あぁ、大丈夫だって。
俺も、アリスもこうして一緒に居る、間違いねぇよ」
「うんっ・・・あのね、今でも時々思うの・・・
あの時、本当にクロスケを喪ってたら?二度と、会えなかったら、って」
言った言葉に、アリスはまた怖くなったのか抱きつく強さをつよめる。
離れないように、存在を確かめるように。
「・・・『まだ悲しいかい?なら、その涙を俺は盗んでいこう』、
心配すんな、お前が悲しいってなら、俺は何度でもソレを
盗んでやるから、な?」
言って、思いきり撫でてやる。
「っ・・・『ありがとう、おにいさんが涙を盗んでくれるなら
わたしは笑顔でいられます』、うん・・・ありがとう、クロスケ。
わたし、貴方に会えて良かった・・・これからも、よろしくね?」
言葉の代わりに、アリスに優しくキスをする。
アリスは、赤面すると顔を伏せ、絡めた指をキュッと握り締める。
少しだけ寒く、でも誰かといるだけで温かい星空の下。
いつもの仕事の帰り道、隣に銀の星ひとつ。
偶然の再会で手に入れたこの宝物、繋いだその手は離さずに歩いて行こう。
第一章、終了といったところです。
第二章は改訂していく内に本文がガラリと変わってしまい
もはや別物になりました。




