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BANDIT!  作者: 望田 壱
BANDIT!
13/28

013


 

 013-1


 王宮内、それも国の重鎮が居る中での抜刀など、普通に考えれば

それは気狂いか、自殺願望の強い人間くらいなものだろう。


 それを、目の前の青年は、愛娘の初恋を奪っていった青年は

事も無げに実行した。

 彼にとっては恋人、私にとっては愛娘であるキュアリスを傷つけ、泣かした。

その理由だけで。


 公爵としての立場であれば、止めるべきなのであろう。

 父としての立場であれば、一緒になって創造主の代弁者を騙る下衆を

斬り捨てるべきだろう、許してはならない相手として。


「・・・アリスは、公爵と一緒にここを離れとけ。

 公爵とその令嬢が、王宮内での刃傷沙汰の現場に揃って居るのは

 不味いだろ?」


「そんな・・・っここまで来たら今更一緒だよ・・・クロスケぇ・・・」


「・・・クロスケ君、君はどうするんだ」


 彼の言うとおりにしたほうが最善なのだろう。

 だが、押し付けてもよいものだろうか?

 元はといえば、私と、あの司祭の因縁が発端なのだ。

 ならば、私自身の手で始末を付けるのが正解なのでは?


「あぁ~・・・俺の見せ場、取らないで貰えますかみたいな?

 ほら、めんどくさがりな俺が珍しくここまでやってるんだ、

 最後までキメさせてくれると嬉しいんだけどね」


 人の首筋に刃を押し当て、相手の命を握っているという凄惨な

状況のはずなのだが、彼はどこ吹く風で答える。

 私は、何か言おうとしたが上手くまとまらず、せめて頭を下げることで

感謝の意を示す・・・娘のために、ありがとう、と。


「っクロスケ!!・・・わたし、寂しかったんだからね!!

 たくさん、泣いたんだからね!!

 ちゃんと、ちゃんと迎えに来なさいよ、約束っ!!」


 その言葉に、こちらには振り向かず、手を降るだけで答えた彼をその場に

残し、私は娘の手を引いてホールを後にする。

 ・・・本来であれば、私達を止めるべきであろう、警備兵はあまりの

出来事に身動きが取れないで居る。

 ・・・当然か、あの短い時間で色々とありすぎた。

 公爵家の隠し子、魔種、伝承にある双子星の存在。

 陛下に変装して王宮に忍び込んだ盗賊、司祭の豹変、大臣の汚職。

 ・・・もし、もしもだ。

 それらが、すべて彼の思惑通りだとしたら・・・?


「・・・フッ、とんだペテン師、だな」




「・・・さて、そろそろいいかね、っと」


 俺は、司祭の首筋に当てている刃に、力を込める。


「ひぃ、い・・・っ!!や、やめ、やめて、くれ・・・・」


「いいや、止めない。

 ・・・どのみち、アンタのしでかしたことは全部バレるんだ。

 待ってるのは死罪か、よくて獄中死だぜ?

 ここで死んだ方が、楽じゃねぇか?」


 俺が連れてきた元地方領主は、その血筋をたどると王家の遠縁にあたる

人物で、今回謀反の疑いがあると言われた時も随分と議論があったという。

 結局は、司祭と大臣が強引に話を進め表向きは取り潰しにあった。

 ・・・実際には、領主含む関係者を一掃したあとで大臣の息が

かかった貴族に金鉱ごと取り込ませるつもりだったらしいが。


「おい、待て。その刃を外せ」


「ん?・・・あぁ、イケメン騎士か」


 この状況の中、俺を止める声が響いたのでそちらを見る。

先ほど、王様の姿だった俺をここまで先導してくれた護皇騎士だ。


「なんだ、あんたも司祭派なのか?」


「なんだそれは。

 俺はただ、ここが血で汚れると掃除をするのが大変だからやめろといったんだ。

 殺るなら中庭をあけてやるから其処でやれ」


 俺の行動を遮った騎士に、司祭は安堵した表情を浮かべかけたが

その後の言葉にまたも絶望的な表情になる。


「心配すんな、そんなに汚す事はしねぇよ」


「そうか、じゃあいいぞそこで」


 あ、いいんだ。

 じゃあサクっと片付けるか。


「じゃ、司祭さんよ・・・ここで終わりだ」


 無造作に刃を振り上げ、その首元へ一気に振り下ろす・・・っ


「っひ、や、やめ・・・」


 振り下ろした刃は、ギィィン・・・と、鋼を打ったかのような音が響き渡り


「・・・貴様、生きていたとはな」


「・・・よぉ、やっぱ出てきたか」


 上位魔種のヤローの腕によって、阻まれていた。




 013-2



「な、あ、き、貴様は・・・っ」


「はいはーい、司祭さまはこっちにいこか」


 相手の背後で、司祭はもう一人の男に助け起こされホールから逃げていく。


「・・・参ったね、いつの間にか誰もいないじゃねぇか」


「・・・あの時、我は確実に貴様の急所を貫いたはず・・・何をした」


「さぁ?なんだと思うよ?」


 さぁて、厄介なことになったな。

 まさかこの状況で、コイツの介入が入るなんて予想してなかったんだけどなぁ。


「ってかアンタ、あの司祭と手を組んでるのか?

 やめといたほうがいいぞ、アレはただの癌でしかねぇ」


「・・・アレとは、目的の方向が一致していたから、行動をしていたに過ぎん。

 その目的も、もはや意味を成さないがな・・・」


「はぁ~ん・・・んで、ここに来たって事は、俺に用事がある、って事でいいんだよな」


「然り。・・・先日は不意打ちであった為、我の望む結果ではなかった。

 機会はもう無いと思っていたが・・・ニンゲン、貴様が生きていたのであれば

 話は別だ・・・我に付き合ってもらうぞ!」


 めんどくせぇ・・・そのうち来るとは思ってたけど

まさかこのタイミングでくんのかよ。

 ・・・適当にごまかしてトンズラしたいけどそうもいかないか。


「っち、しょうがねぇな・・・ここでやんのか?」


「貴様と拳を交えるのであれば、場所はどこでも構わん・・・っ!」


 前々回と違い、相手は完全に構える。

 長身、尚且つ引き絞られたその体格は重量も相当な物だろうが

それを感じさせない足運びと、片腕はやや下げ気味で前に出し

もう片方の腕は腰だめで拳をきつく握りこんでいる。


「ッハ!俺みたいな人間相手に本気出すのか?

 上位とは思えねぇ慎重っぷりだなぁ、オイ?」


「・・・挑発には乗らんよ、貴様とて何かを隠しているだろう?

 見せてみよ、貴様の力」


 マジでめんどくせぇ。

 めんどくさいが……いいね、この緊張感。

 相手が折角本気出せって言ってんだ、久しぶりにヤルか……っ!


 腰に佩いた得物を、俺は逆手に握り引きぬく。

 現れる刀身は、黒。

 影や闇、夜といったそれらを塗り込めたかのような黒い刃。


「拘束術式解放、強化抑制レベル解除……

 黒の剣リベリオン、起動……汝が贄を、喰らい尽くせ……っ!」


 設定したキーである俺の言葉に、手の中の刃は応える。

 大気中の魔力を、貪欲に貪り始める。


「……なるほどな、貴様、契約者であったか……っ!!」


「どういう因果かはわかんねぇけどな、コイツに気に入られたんだよ」


 話している間にも黒の剣リベリオンは魔力を貪り続ける。

 そうして集められた魔力は、握った柄を介して俺の中を循環し始める。


「通常であれば、それだけの魔力はニンゲンの身体では扱いきれんが……

 そうか・・・契約の代償として、"不死の呪い"を受けたか、貴様」


「理解が早くて助かるぜ、アンタ。

 ……俺自身は、死なないだけのただの人間だ。

 けど、コイツのおかげでアンタみてぇな上位とも殺り合えるってわけだ」


 魔力の収束が終わり、黒の剣によって俺の身体が一時的に強化されていく。

 常人なら、身体が塵になりかねない魔力が渦巻いているのがわかる。


「フッ……行くぞ、ニンゲンっ!!」


「来やがれってんだぁっ!!」


 獰猛な笑みを浮かべ、一足で互いの間合いまで詰める。

 相手が魔力を纏った拳で振り下ろし気味に殴りつけてくるが、

手に持った刃をしたから突き上げる形で拳に叩きつけるっ!!


 ギャリィッ!!ギィィン!


 鋼同士を叩きつけたかのような音がホール内に響き渡る。

 が、互いに攻撃の手は休めない。


 顔のすぐ横を豪腕が通り過ぎ、俺の刃は相手の首元スレスレを通り過ぎる。

 当たれば腹に風穴が空きそうな蹴りを、腕で力ずくで逸らし

その動きのまま身体を捻り、回転の乗った裏拳を叩きこむ!


「ッフンっ!!」


「っらぁあっ!!」


 叩き込んだ裏拳を相手は額で受け止め、一瞬動きが止まりがら空きとなった

俺の脇腹へ、その拳を叩きこんできたっ!!


「ここだっ!!」


「っち、ぃ!!」


 まともに喰らい、肉や骨ごとそこだけが粉々に粉砕され抉られる……っ

 けど、それぐらいじゃ今の俺は止まらねぇ!!


「ドヤ顔すんじゃ……っねぇぇっ!!」


 拳を振りぬいたその体勢の隙を付き、力任せに刃を叩きつけるっ!!

 相手は、咄嗟に刃を防ぎ斬撃を止めるが


「まだ終わりじゃねぇぞ!!『迅雷よ、敵を穿て』ぇぇっ!!」


 刃を止めた相手の周囲に複数の雷球が生じ、一斉にターゲットへ殺到する。


「ぬぅっ?!バカな、魔導だとっ?!」


 流石というのか、とっさの判断で刃を離し後方へと飛び退くが

あまい、こっちは小細工好きな盗賊だ!!


「逃げ切れるなんざ考えんなよ、『迅雷よ、追撃せよ』っ!!」


 殺到していた雷球はまるで生物のように方向を変え、後方へと

間合いをとった相手を追尾し、その威力を発揮する。


「くっ、しまっ……ぐあああアァァ……っ」


 最初の一撃が当たれば、連鎖的に相手を捉えるその雷球は

全て威力を発揮したらしく、その衝撃で辺りに土煙が舞う。


「っはぁ、はぁ、どうだ……?」


 再生を始めている脇腹を抑えながら、俺は土煙の中に目を凝らす。

 いくら上位と言えども、無傷って訳にはいかないと思うが・・・


「……ックックック、面白い、まさかここまでやるとはな……」


「っげ、あれ喰らってもまだ立てんのかよ……さすがにタフだな」


 互いに構えたまま睨み合うこと数秒、もしかしたら数分はそうしていたかもしれない。

 フッと短い息を吐いた次の瞬間、相手が一気に間合いを詰めてくるっ!


「……っ!!」


 踏み込んでくると同時に、ごまかしようのないまっすぐなその一撃を

俺は横に飛ぶ事でどうにか躱す、が


「っづ、あ……っ!!」


 その拳圧だけで、俺の胸元に横一文字に傷が奔る。

 っく、さっきより速度と威力があがってないかこれ?!


「っふ!!」


 相手は、こちらに回復の猶予も与えずに攻撃を仕掛けてくる。

 対する俺はその攻撃を、どうにか躱し、受け流し、剣で防ぐ。


「ッォオオオオオオ!!!」


 連撃の終わりに、相手は渾身の一撃を仕掛けてくるっ!!

 躱しきれないと判断した俺は、剣に手を添え真正面に構え脚を踏ん張る。

 が、


「っぐ、ち、ぃ……っ!!」


 防いだ体勢のまま、ふっ飛ばされ壁にたたきつけられる。

 って、ぇ……

 叩きつけられたダメージからまだ立ち直っていない俺に、

相手は間合いをさらに詰め、その魔力をまとった拳を振り上げる。


「この程度で、死んでくれるなよ……っ!!」


 一切の手加減もなく振り下ろされたその拳は、

俺の右上半身を叩き潰し、骨を砕き、肺腑を飛び散らせ、完膚なきまでに

致死ともいえるダメージを、与えた。


「ッフ、ッフ、ッフ、ぅ……今ので3割程度だ・・・

 もう終いか……?」


「っづ、ぅ……これ、で……3割だと……っ

 冗談にしてはきつすぎんだろ……」


「……っくっくっく、そうでなくてはな!!」


 黒の剣リベリオンの力を借りている今は、

俺の再生能力はそれこそ、お伽話でしか聞かない"不死の王"めいた

事になっている。


 飛び散った肺腑は巻き戻されるように再生を始め、砕かれた骨は修復され

叩き潰された右上半身はダメージを負う前の状態に戻り、ただ

衝撃で破けた衣服だけがそのままだ。


「ってぇ、相変わらずこればっかりは慣れねぇな……」


「貴様、もはやニンゲンであるかどうか怪しいものだな。

 正直、ここまでとは予想していなかったぞ」


「あぁん?……誰がなんと言おうと人間だよ俺は。

 ただ、死なない、死ねないってだけの最悪な呪いにかかっただけだ」


 不死の呪い。

 生まれながらにして不死の特性をもつ種族と違い

後天的に課せられる、呪いといってもいい特性の一つ。

 不死の種族は、不死という特性に加え筋力の増加や魔力の増幅、

あらゆる病にかからず、あらゆる傷病すら無効化するというとんでも能力だが

不死の呪いは違う。


 ただ、死なないだけ。

 病にかかっても死なず、即死レベルの傷を負っても死ねず

ただ痛みと、苦しみを生きながらにして味わえるという最悪。


「……一つ聞こう、貴様は黒の剣をどこで手に入れたのだ?」


「んな事は忘れたな。気がつきゃコイツの持ち主になってた」


 言って、俺は腰のポーチから錠剤をいくつか取り出し、口に入れる。

 不死の呪いは確かに最悪の部類に入る呪いだが、

その特性は言い換えれば何をやっても死なない、と言う事。

 その為、錠剤の過剰摂取を行ない神経がイカれる事はあっても死ぬことはない。


「正直、これ以上はめんどくせぇんだけど、アンタまだ納得

 してないってツラしてんな?

 俺としちゃ、出来ればここで終わりにして帰って

 アリスの膝枕で惰眠をむさぼりてぇとこなんだけど」


「……アリス、あの娘か……どうやら、我の孫娘、らしい」


「は?あ、えーっと……はぁ?」


 何を急に言い出すんだコイツは。

 えーっと、孫娘?って事は……アリスの母さんが、こいつの娘って

事になるのか?


「……最初はあの司祭なぞに上手く騙され、感情のままに貴様らと接触した。

 騙されていたとわかっても、今度はあの娘が我が子がニンゲンとの間に生んだと

 知って、過去からのニンゲン共の仕打ちを思い、悩むままで何も出来なかった。

 いつか、あの娘もまたニンゲンに裏切られるのでは、人と魔双方に受け入れられず

 絶望するのでは、とな」


 訥々と話す相手に、俺は何も言わずただ、耳を傾ける。


「……案の定、あの娘は囚われてから手ひどい仕打ちを受けていた。

 捕らえてきた我が、何を言っているのかと思うかもしれんがな。

 ……先ほどの査問会とやらで、もしあの娘が絶望に打ち砕かれれば、

 我は今度こそ、あの場の人間どもを皆殺しにしてでも孫を連れ帰り、

 我が故郷で匿うつもりではあった」


「……今はどうなんだよ?」


「う、む……強い、な……あの娘。

 アレだけの責め苦を受け、まわりの殆どが敵と言っていい中、強い意志を

 見せた……思えば、あの娘の母、我が子もまた気の強い女だ。

 ニンゲンに興味を持った我が子を勘当し、後悔してはいたが……

 我が子は、間違った選択をしてはいなかったという事か」


「それは、どうだろうな。

 ……アンタが言うように大多数の人間は魔種を忌み嫌っている。

 表面上に出さないだけでな。

 一見、互いに仲のいい奴らだって、心の何処かで相手を見下してるもんだ。

 人間同士ですらそんなもんだしな」


「そうか……しかし、それは魔族であっても変わらない。

 我らは、力こそが物言う世界だけに強き者には従うが、腹の底では

 それこそ相手の隙を常に狙い、機会を伺っている者が殆どだ

 ……クックック、互いにぶつかり合う者同士、なぜこのような

 話をしているのであろうな」


「いいんじゃねぇか、別に?

 ……んで、アンタは一体どうしたいんだよ?」


「……気分が、晴れんのだ。

 我はあの娘に、非道な行いを見せた、貴様を殺すというな……

 貴様が生きていたとしても、あの娘を壊しかけたのは事実。

 とある老人に言われたのだ、

 『悪いと思った時は、たとえ許されなくても謝るべき』だと」


「じゃあ、謝ればいいじゃねぇか?何迷ってんだよ?」


「……確かに、あの娘は強き意志を見せた。

 が、我はまだ、ニンゲンには不信感しかないのだ。

 いつかまた、あの娘が、我が子が衆人の不快な感情に晒されないかと」


 先ほど、殴り合ってた時の苛烈な表情と違い、今のコイツからは

覇気が感じられない。

 そこにいるのは、ただ自分の行動に自信が持てない気弱な男がいるだけだ。


「あのよぉ、さっきから色々言ってるけど……違うだろ?

 アンタ、ほんとは気づいてるんじゃないのか?

 自分のその感情がなんなのか、わかってるんじゃないのか?」


「……どういうことだ?」


「アンタは、アリスを通して自分の娘を見た、何一つ変わっていない

 自分が知っているままの娘をな。

 ……ほんとは、悔しいだけじゃないのか?

 自分の元を離れ、人間と暮らす娘が幸せなことに。

 アンタのそれは、少しばかり捻くれてはいるけれど間違いない

 親が、自分の元を離れ独り立ちした子に対する感情そのものだ」


 嫉妬、ってやつだと説明してやる。

 相手はその言葉に愕然とする。


「我、が……ニンゲンに対して嫉妬などと、そんな馬鹿な……」


「それだよ、あんたはニンゲンを嫌ってるっていうのか?

 確かに、嫌ってる相手に嫉妬するって認められんわな、プライド高いと

 余計に……でもよ、アンタの発言を思い返すと、ニンゲンに嫁いだ娘を

 許さないみたいな事は言ってねぇんだよ。

 ただ、嫁いだ先で苦労してないか、嫌な思いはしてないかって、

 そんなふうにしか聞こえなかったぜ?」


 その言葉を受け、相手は呆然としたかと思えば俯き

肩をふるわせる。

 ……偉そうに言い過ぎたか俺?

 プライド刺激しすぎた?


「……っく、ックックック、ハハハハハ!!

 そう、か……そういうことか!!!」


「っぅお?!な、なんだどうした?

 もしかしてブチ切れ?土下座で許してもらえるか??」


「ックックック、ニンゲン、礼を言うぞ……貴様の言うとおりだ。

 貴様がいった言葉、受け入れたら腑に落ちたわ……

 そうだな、我はただ、勘当した娘が恋しかっただけかもしれん。

 いつか我の元に帰ってくると思っていた娘が、よりによって

 ニンゲンなぞに嫁いで、子供まで産んでいたのだ……いつの間にか

 我の手元を離れていた事に、納得がいかなかったのだな……」


「あ、あぁそうかよ、そりゃあよかった……じゃあ、これで

 問題解決ってことでいいな?」


「?何を言っているのだニンゲン、貴様は?」


「何、って……いやなんか今の流れだともう殺り合わんでいいだろ?」


 あれ?なんだろう、なんだこの雰囲気。

 流されたくない、むしろこのまま終われ。


「確かに我の気分は晴れた、貴様に事実を突きつけられたお陰でな。

 ……しかし今度は新たな問題が発生した」


「あの……その新たな問題って?」


 俺の質問に、相手は再び両拳と両脚に魔力を纏わりつかせ


「愛娘だけでなく、その孫まで、ニンゲンに獲られる事を考えるとな……

 我としても納得いかんのだ……ニンゲン、気の済むまで付き合ってもらうぞ?」


 気のせいか、さっきよりも魔力の密度が増してますね。

 何でしょうか、ヤブをつついたらヘビどころか龍がでたとかそんな気分です。


「そういえば、まだ我の名を名乗っては居なかったな……

 我が名は、アモン……72柱の魔神が一人、アモンなり!!」


 うわぁい、魔神とか名乗りましたよコンチクショウ!!

 借り物の力で不死なだけのニンゲンに魔神が本気出すとかありえねぇ!!



 ちくしょう、お家に帰る!!何もかもきっぱりさっぱり忘れて

お家に帰ってアリスの膝枕で寝るんだ俺はぁぁ!!帰らせて…… 


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