01:お弁当
pipipipipipi...AM 7:00
枕元に置いてあった携帯のアラームが鳴り響いて目を覚ました。
あれから一週間。
あたしと春樹は未だろくな会話も交わしたことがない。
パパ(雅樹さん)とはけっこう打ち解けたんだけどね。
春樹は、とにかく感じ悪い。
春樹は違う都道府県から来たから、あたしと同じ高校に転入して。
隣のクラスだったりする。
それでも、まだマトモに喋った事がないのはあたし自身不思議に思う。
あたし、別に人見知りとかじゃないし。
だからやっぱり、原因は春樹にある!(断定。)
髪の毛を整えて、化粧もかるくして、制服に着替えると、あたしは1階のリビングに。
いつも通り、お母さんとパパが仲良さそうに話していて。
テーブルでは春樹が黙々と朝食を取っている。
あたしは、自分の席…つまり春樹の向かい側に座る。
お母さんが用意してくれたご飯を、あたしも黙々と食べる。
これも、いつもの事。
朝食を終えると、歯を磨いて、カバンを持って玄関に迎う。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、春樹くん」
あたしより先に春樹が家を出るのもいつもの事。
「ぁ。やだ春樹くんったらお弁当置いてっちゃった!」
…これは、いつもの事じゃない…。
嫌な予感。
「はい、桜花。これを期に春樹くんと仲良くなりなさい!」
お母さんがあたしに、春樹のお弁当を押しつけながら言う。
「ンな無茶な!」
「ンな事言ったっていつまでもこのままじゃいられないでしょ!?雅樹さんだって心配してるんだから!」
「…あぁもう!わかったよ、渡しゃいんでしょ!?行ってきます!!」
バン!
乱暴にドアを閉めると、あたしは学校に向かって歩きだした。
確かにこのままじゃいけないだろうけどさ。
これはあたしのせいじゃないもん。
言うなら春樹に言えっての!!
あーもう…。
イライラすんなぁ!!