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三題噺もどき5

頭痛

作者: 狐彪
掲載日:2026/04/24

三題噺もどき―はっぴゃくろくじゅうに。

 




 肌を空気にさらすと、冷えた空気が一瞬で体温を奪っていく。

 窓の外からは、ぽたぽたと雨が降る音が響く。

 遠くから、警察か救急か、どちらかのサイレンが聞こえてくる。

「……」

 外はきっと、暗くて重い夜空が広がっているんだろう。

 ここ数日はずっと雨が降ったり止んだり、一瞬晴れたと思えばすぐに雲に覆われてたり。

 そんな微妙な天気が続いている。

 おかげで毎日頭痛と戦っている状態だ。薬もろくに効かないし。

「……」

 今も、ズキズキと悲鳴を上げている。

 なんというか、高校生になったあたりから、頭痛が酷くなっている気がする。

 今までは低気圧で頭が痛くなることなんて、滅多になかったのに。

「……」

 おかげで、ただでさえ無い気力が、底辺に落ち切っている。

 普段のネガティブ思考に拍車をかけて、落ち込んでいる。

 自分でも面倒だと思う程に、落ち込みすぎで、被害妄想が酷くて、いっそ死にたくなる。

「……」

 これでも一応、気を紛らわせるための事はやってみたのだ。

 本を読んでみたり、ゲームをしてみたり、やる気もない勉強をしてみたり。

 そのどれもが、頭痛に遮られて、手をつけるまでもなく終わっていて。

「……」

 こういう時に限って部活はなかったりするから、帰宅はいつもより早いのだ。

 時間をつぶすのにも、何をするのにも、気力というモノがないからどうにも、思うようにいかないのだ。

「……」

 学校にいる間は、比較的平気なのに。

 授業を聞いていれば、嫌でも耳に音が入ってくるので聞かざるを得ないし。

 黒板を追いながら、文字をノートに写している間は、忘れられるし。

「……」

 あの子と、いる間は、頭痛なんてしたこともない。

 なにせ、あの子も、あの子の方が、私以上に低気圧とかによる偏頭痛に悩まされている。

 そんな子を目の前に、私も痛いなんて言える訳もないし、言いたくもない。

「……」

 自分の体の事で精一杯なのに、他人の事まで気をつかわせたくない。

 薬を飲めば落ち着くと言うし、まぁ、昼間に少々眠くなるくらいだから平気だと、あの子は言うのだけど。

 見るからに辛そうだし、話していてぼうっとしていることが多く見える。

 私もぼうっとしていることは多いけれど、それとは話が違う。

「……」

 でも、話していると気が楽になると言われたり。

 隣にいるだけでもありがたいと言われたり。

 冷たい指先が心地いいと言われたら。

 そりゃ、自分の事なんてどうでもよくなる。

「……」

 まぁ、今は関係なく。

 布団の中で、微妙な寒さと痛みに耐えながら。

 眠る気にもなれずに、どうにもなれずに。

 遠くから聞こえるサイレンに記憶を呼び起こされながら。

 ぐるぐると考えてはやめ、考えてはやめ、死にたくなって、どうにもならなくなっているだけなんだけど。

「……」

 明日は生憎、土曜授業もなく。

 普通に休みなので。

 別に夜更かししてもいいのだけど。

「……」

 さすがに、この状態で寝ないままというのもつらい。

 身体が思うように動かないと言うのは、誰もが思う以上に、もどかしく気持ち悪く死にたくなるものなのだ。

 何もせずに一日を終えることが、どれだけなものか。

「……」

 それでも、そう思っても。

 何もせずに、何もできずに。

 ただぼうっとして、終わる一日を見送る事しかできないんだから。

「……」

 あぁ。

 頭が痛い。

 ズキズキと。

 吐き気までしてきた。

「……」

 もうしばらくしたら、日付が変わる。

 明日なんて、来なくていいのに。











 お題:夜空・ネガティブ・ゲーム

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