頭痛
三題噺もどき―はっぴゃくろくじゅうに。
肌を空気にさらすと、冷えた空気が一瞬で体温を奪っていく。
窓の外からは、ぽたぽたと雨が降る音が響く。
遠くから、警察か救急か、どちらかのサイレンが聞こえてくる。
「……」
外はきっと、暗くて重い夜空が広がっているんだろう。
ここ数日はずっと雨が降ったり止んだり、一瞬晴れたと思えばすぐに雲に覆われてたり。
そんな微妙な天気が続いている。
おかげで毎日頭痛と戦っている状態だ。薬もろくに効かないし。
「……」
今も、ズキズキと悲鳴を上げている。
なんというか、高校生になったあたりから、頭痛が酷くなっている気がする。
今までは低気圧で頭が痛くなることなんて、滅多になかったのに。
「……」
おかげで、ただでさえ無い気力が、底辺に落ち切っている。
普段のネガティブ思考に拍車をかけて、落ち込んでいる。
自分でも面倒だと思う程に、落ち込みすぎで、被害妄想が酷くて、いっそ死にたくなる。
「……」
これでも一応、気を紛らわせるための事はやってみたのだ。
本を読んでみたり、ゲームをしてみたり、やる気もない勉強をしてみたり。
そのどれもが、頭痛に遮られて、手をつけるまでもなく終わっていて。
「……」
こういう時に限って部活はなかったりするから、帰宅はいつもより早いのだ。
時間をつぶすのにも、何をするのにも、気力というモノがないからどうにも、思うようにいかないのだ。
「……」
学校にいる間は、比較的平気なのに。
授業を聞いていれば、嫌でも耳に音が入ってくるので聞かざるを得ないし。
黒板を追いながら、文字をノートに写している間は、忘れられるし。
「……」
あの子と、いる間は、頭痛なんてしたこともない。
なにせ、あの子も、あの子の方が、私以上に低気圧とかによる偏頭痛に悩まされている。
そんな子を目の前に、私も痛いなんて言える訳もないし、言いたくもない。
「……」
自分の体の事で精一杯なのに、他人の事まで気をつかわせたくない。
薬を飲めば落ち着くと言うし、まぁ、昼間に少々眠くなるくらいだから平気だと、あの子は言うのだけど。
見るからに辛そうだし、話していてぼうっとしていることが多く見える。
私もぼうっとしていることは多いけれど、それとは話が違う。
「……」
でも、話していると気が楽になると言われたり。
隣にいるだけでもありがたいと言われたり。
冷たい指先が心地いいと言われたら。
そりゃ、自分の事なんてどうでもよくなる。
「……」
まぁ、今は関係なく。
布団の中で、微妙な寒さと痛みに耐えながら。
眠る気にもなれずに、どうにもなれずに。
遠くから聞こえるサイレンに記憶を呼び起こされながら。
ぐるぐると考えてはやめ、考えてはやめ、死にたくなって、どうにもならなくなっているだけなんだけど。
「……」
明日は生憎、土曜授業もなく。
普通に休みなので。
別に夜更かししてもいいのだけど。
「……」
さすがに、この状態で寝ないままというのもつらい。
身体が思うように動かないと言うのは、誰もが思う以上に、もどかしく気持ち悪く死にたくなるものなのだ。
何もせずに一日を終えることが、どれだけなものか。
「……」
それでも、そう思っても。
何もせずに、何もできずに。
ただぼうっとして、終わる一日を見送る事しかできないんだから。
「……」
あぁ。
頭が痛い。
ズキズキと。
吐き気までしてきた。
「……」
もうしばらくしたら、日付が変わる。
明日なんて、来なくていいのに。
お題:夜空・ネガティブ・ゲーム




