婚約破棄する王子に転生した
初投稿です!
学園の廊下で女生徒とぶつかった。
そこで思い出した。
あっ!俺は…公爵令嬢と婚約してたのに、ヒロインの男爵令嬢と浮気して冤罪で公爵令嬢を断罪して婚約破棄するバカ王子だ!
友人から無理矢理に読まされたWeb小説の登場人物。
多分、ヒロインとの出会いのシーンだ、今。
ぶつかった女生徒を助け起こしながら、チラリと顔を見る。
ピンクの髪、ピンクの目。
ヤバい…ヒロインだ!とりあえず医務室へ連れて行こう。
そして医務室の先生に渡したら即逃げよう。俺は浮気したくない!
俺は、ストーリーを思い出す。
確か、婚約者の公爵令嬢はヒロインに、嫌がらせされたと因縁つけられて断罪されるから、王家の影をつけよう。
第三者視点からの、無罪の証拠が必要だ。
公爵令嬢は、どんな人かな?
人に危害を加えるのは良くないけど、そもそもはバカ王子が浮気するからいけないんだし。
何をするか分からないけど、犯罪に手を染めないように、手を回さないと。
婚約者がどんな人か、側近に聞いたりメイドに聞いたりしてみた。
婚約者と交流のための茶会で様子を見たりもした。
王子妃教育を真面目に受けてる。
ちゃんと王子を支えようとしてる。
ちょっと態度がでかくて気が強いけど、公爵令嬢っていう立場あるし、上に立つ者の責任とかあるから、舐められないようにしないといけないもんな。
あとは、婚約者と信頼関係を築かないと…
こまめに話しかけたり
花束贈ったり
お菓子贈ったり
アクセサリー贈ったり
とかかな。
前世は彼女すらいなかったから、よく分からない。
でも、学園の勉強と王子妃教育で忙しい彼女に、一息入れろとたまにお茶に誘うと、頬を染めて喜んでいた。
とても可愛い。
婚約者は大切にしないとな。
大事なことだから2度言う。
婚約者は大切にしないとな。
ヒロインは、宰相の息子や、騎士団長の息子や、公爵令息などを攻略して取り巻きにしていた。
他にも色んな、婚約者がいる男に声をかけまくっているらしい。
はて?乙女ゲームだったっけ?
逆ハーレムでも狙っているのか?
しかも、俺にも絡んできた…
男爵令嬢が俺に声を掛けようとしているのを、気付かない振りして、側近でもある幼馴染と話しながら通り過ぎて、男爵令嬢から距離を取る。
1日に何度も近付こうとするから、正直に言って鬱陶しかった。
そんな時に見る婚約者の笑顔は癒しである。
こんな美人で努力家で優秀なのに、何で浮気したんだよバカ王子。
「婚約者のいる相手に近付いてはいけません」
公爵令嬢が男爵令嬢に注意をする。
「酷いわ!お友だちなのに…」
潤んだ目で、公爵令嬢に言い返す男爵令嬢。
宰相の息子と騎士団長の息子の間に挟まり、両方と腕を組んでるのに友だちとかあり得ないだろ。
後ろに公爵令息と侯爵令息と伯爵令息もいるな。
そんなにくっついてたら歩きづらそうだな。
「そうだそうだ」
「嫉妬か?醜いな」
宰相の息子と騎士団長の息子も男爵令嬢に同調する。
何に対しての嫉妬だよ。
公爵令嬢は俺の婚約者だから、関係ないだろお前達は。
アホらしくて俺は声を掛けた。
「どうしたんだ?」
「公爵令嬢にいじめられるんです」
男爵令嬢が、宰相の息子から渡されたハンカチで目元を拭いながら、潤んだ目で俺を見つめる。
泣いたからって、ヒロインの話を鵜呑みにするのもおかしいだろ。話は両方から聞け。
俺は公爵令嬢を見た。
「婚約者のいる相手に近付くなと言っただけです」
公爵令嬢が俺の視線に気付いて答えた。
「いじめだろう?」
騎士団長の息子が割り込む。が、俺も言いたい事を言う。
「常識を教えただけだろう。それのどこがいじめなんだ。それに、男と友だちになる前に女生徒と友だちになれば良いじゃないか」
常識を知らない男爵令嬢に、わざわざ教えてあげたんじゃないか。そもそも友だちがほしいなら女同士が先だろ、普通は。
「女生徒には、いじめられるんです」
それは自分の行いのせいだろ。
自分の婚約者にわざと擦り寄られたら、気分は良くないからな。
あと、悲劇のヒロインぶって、男に媚うってるのが分かるから仲良くしたくない。
同性に嫌われていて、男にだけいい顔する女なんて、俺も仲良くしたくない。
何で皆気付かないんだろうって小説読みながらいつも思ってた。
「具体的には?」
本当にいじめの可能性もあるから一応聞いてみた。
「え?」
男爵令嬢は目を瞬いた。
「具体的に何された?いつ、どこで、誰に、何された?」
「えっと…」
俺の質問に、男爵令嬢は、しどろもどろになった。
いつも男を連れていて、いじめられる暇ないと思うんだが。
俺は思っていたことを男爵令嬢に言う。
「婚約者のいる相手に近付くなって、俺もそう思うよ」
「え?」
「友だちになりたいならせめて婚約者のいない男からだろ」
「えっと…」
「誰か、ヒロインがいじめられるところを見たのか?」
男達に向かって言う。
「いいえ…」
男達が顔を見合わせた。
「お前達も、自分の立場を弁えろ。学園にいる間は良いが、卒業したらどうする?」
男達は、何が言いたいのか分からないという顔をしていた。
「ヒロインを囲うのは良いけど、卒業した後に婚約者と結婚して、ヒロインは愛人にでもするのか?」
「まさか」
「そんなことは」
男達が言う。
「本気で結婚する気なら、婚約者とは婚約解消してからヒロインと付き合えよ。ただし、ヒロインと結婚できるのは1人だ。今の状態だと、ヒロインは誰か1人と結婚し、残りは愛人になるな」
俺の発言に、男達が争いを始めた。
「ヒロインは俺を好きだと言っている!」
「いや、俺だ!」
「いいや私だ!」
「誰を選ぶんだヒロイン!」
「俺だよな」
「私だよな」
「えっと…」
男達に詰め寄られ、戸惑う男爵令嬢。
「私…王子様と仲良くなりたいから…皆…協力してくれる?」
「どういうことだ?」
「俺のこと好きって言ってくれたよな?」
「俺といると幸せって言ってたよな?」
「まさか王子様に近付くために私に近付いたのか?」
男達がショックを受けたような顔をしている。
今頃気付いたのか?本当に好きだったら、男を何人も侍らせないだろうに。
「ヒロインだからって、何でも許される訳じゃない。常識で考えろよ」
男達を宥めようとする男爵令嬢に向かい、俺が言った。
「何でそんなこと言うの?私はヒロインなのに!」
「だいたい婚約者がいる相手に絡むとか、頭おかしいよ。男侍らせてさ、逆ハーレム狙い?気持ち悪いんだけど。2度と俺に話しかけないで」
冷たくヒロインに言うと、公爵令嬢に向かい手を差し出す。
「行こうか。婚約者殿」
「はい…」
公爵令嬢が嬉しそうに、俺の手に自分の手を乗せた。
俺は公爵令嬢をエスコートして、ヒロイン達の前から去った。
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