義父の思惑2
幸せな結婚を夢見て…
でも…佐和子に待ち受ける試練
結婚話しはトントン拍子に決まり…
専務の弘さんとデートする事もなかった。
私には両親もなく…
友達と言える人も高校の時の同級生が1人2人…
招待状を送ると温かく受け取って貰ったが出席には至らなかった。
会社の女性陣からは嫉妬の眼差しばかりで何故、あの女なのか…
私の勤める建設会社は…
今の社長が一代で築き上げた会社だ。
しかし、不景気な時代でも好調をキープして関東、関西、東北に支店を持つほどの会社だ。
いわゆる玉の輿なのだ。
結婚式は盛大に行われ…
私は歓喜の涙でこの先に待ち受ける試練など考えてもなかった。
社長…
あっ…お義父様…
不束者ですがどうぞ、宜しくお願い致します。
佐和子さん…
もう、貴女は大切な家族だ…
幸せにしますよ。
その言葉を聞いていると…
義父と結婚したように聞こえてしまう。
私と専務の弘さんは…
仕事の関係で新婚旅行も熱海に2泊3日の短いものになった。
弘さん…
どうか宜しくお願いします。
忙しかった準備などで…
まともな会話もなかった2人…
戸惑った顔で私を見つめる旦那様…
佐和子さん…
こちらこそよろしく。
2人は車で観光しながら熱海のホテルに到着した。
私はホテルに近付くにつれ…
今夜の新婚初夜が頭から離れなかった。
この歳まで何も経験がなくて…
結婚が決まり、いろいろなサイトや本で調べても分からない。
ただ…初体験は痛いとしか…
佐和子は緊張と期待と不安で押しつぶされそうだった。
食事は豪勢で美味しく…
大浴場のお風呂は泉質から露天風呂から見える景色は最高だった。
部屋に戻ると…
目の前に布団が2組敷いてある。
弘さんはベランダで煙草を吹かし…
ビールを飲んでいる。
ごめんなさい…
あまりにもお風呂が素晴らしくて遅くなってしまいました。
私は浴衣の位置を直しながら…
どうしたら良いか分からない。
明日もあるので…
寝ようか…
慌ただしい結婚式で疲れただろう。
今日はゆっくり休みなさい。
そう言うと弘さんは1人布団に入り寝てしまった。
えっ…
私はどうする事も出来ない…
あんなに不安や緊張で押しつぶされそうになったのに…
旦那様は…
1人布団に入りイビキをかき始めた。
私…
ひとり隣の布団に入り…
何も考えない様にした。
やっぱり…
弘さんはこの結婚を望んでいなかったのだ。
こんな私と…結婚したいはずがないもの。
溢れる涙を押し殺し…
私は枕に顔を埋めて眠りについた。
親父…
俺に結婚しろなんて…
親父の魂胆なんてお見通しだ。
この女をずっと気に入っていたから…
調教したいだ。
俺は…
親父の言うことを聞くしかない。
続く…