試験。
※青春のバカさがゆるくかかれています。
※多少、普通の中学校とは違うシステムかと思われます。
※スポーツドリンクでも飲んで、ごゆるりと読んでください。
雨降りの六月上旬。
解らない…何もかも。
xがyとどんな関係にあるかだと?付き合ってはいるが、yが浮気して気まずい関係に一票だな。
ってバカ!数学の問題にそんな人間性が絡んでくる訳ないだろ!
自分の部屋に閉じこもって一人で考えるからいけないのか…?
ここはやっぱり頭のいい奴から知識をさずけてもらうに他ならない。
「ってわけで真姫!タスケテ…」
明日は今期最初のテスト、定期テストである。
中学校の勉強はやたらと難しくて、あとやたらとXとYが出てくる。
XとYって何の略なんだ…Yはや行の名前の人だと考えてもXってなんだ!?ローマ字でもそんなに使われないよ!文字を小さくするだけならlに任せとけばいいじゃん!
「いろは…それ考えすぎだよ。いろはのノートを見れば一発で何考えてたか解るよ…」
「そんなさぁ、XとかYとか言われたって解んないんだよぅ…。ずっとフォア・バック・ドライブしかやってないんだよ?どっちかって言えばf・b・dだよ!」
「まず数学を考えようよ…」
真姫が苦笑いをしていろはに説いていると、部屋のチャイムが鳴った。
ピンポーン。
「卓球か!!」
瑠璃がドアごしにツッコんでいる。別に卓球部だからと言って流行っているギャグではないのだが。
訪ねて来たのは瑠璃と望花。やっぱり考える事は一緒らしく、真姫に教えてもらおうと言った理由だった。
「ここはコレをかけて…そうするとXが消えて…どう?こうやって解くんだけど…」
「おお!真姫!先生より解りやすいよ!」
先生に謝ってください。
まあ、そんな感じで真姫の教え方は優しくしかも解りやすい。
真姫先生の授業もおよそ一時間…。
望花以外は飽きて夢の世界へ行きかけていた。
その時、またしても部屋のチャイムが鳴った。
ピンポーン。
「って、卓球じゃない!」
声の主は茜先輩だった。
茜先輩でもこんなくだらないギャグ使うんだな…とか思いつつ、茜先輩の話しを玄関で聞いた。
「明日、テストで全員四百点以上点を取りなさい」
「え…なんでですか?」
「四百点以上取ると、いい事あるわよ?」
「そんな誘拐犯みたいな説明じゃ、誰もついて行きませんよ…」
「…そうね。じゃぁ、四百点以上取れなかった人は一週間多球の刑ね」
その言葉には私だけじゃなく、真姫も望花も意識が飛びかけていた瑠璃でさえはっとなった。
「よろしく~」と茜先輩は軽く言うと可憐に去って行った。バックでは雷がピカっと光る。
「瑠璃、ここで伸びてちゃ私達全滅ね」
「そうだな、いろは。四百点以上取れないのって私達二人だもんな」
「大丈夫よ二人とも。私がみっちり教えるわ」
「頼みの綱」
四人は必死に、それはもうノートが擦り切れるまで勉強した。
皆が一段落ついた頃、二年生側の部屋から茜先輩の怒号がすごい勢いで聞こえて来た。
「そこは違うでしょぉ!?なんでそうなるのぉ!解らなければ百回ノートに書きなさい!千回でもいいわ!これは卓球部の危機なのよ!?」
そこの部屋にはもう立ち入りたくないと思った瞬間。
しかもその怒号の話しには少し宗教っぽい会話までもが含まれていた。
「さぁ、復唱しなさい!リピートアフターミーよ!神よ我が卓球部に栄光あれ!」
もう英語の勉強なのか宗教の押し付けなのかわからない。
しかもそこに紗々先輩、利絵先輩、美子先輩が居合わせて居るならまだしも、これが独り言なのであればとてつもなくアイタタターな人になってしまう。
そう思った一年生の四人組。
もう一冊のノートを取り出すとそのノートも消費するくらい勉強した。
テスト成績発表の日。
テストは思ったよりもスラスラ解けたが凡ミスがあった。
成績発表は部活ごとの平均成績によって順位が決まる。
――卓球部、二位。
惜しくも一位は二年生首席が居るソフトボール部に取られてしまった。
でも、卓球部は全員が四百三十点以上だったためか、茜先輩は上機嫌だった。
上機嫌だった理由はそれだけではなく、この学校では定期テスト三位までに入賞した部活には部費がアップされるという約束がされている。
茜先輩はそれを狙っていたのであろう。
「皆、よくやったわ!さすが私が見込んだ部員達なだけはあるわね!」
最終的には上機嫌だった茜先輩以外、全員三日間も寝っぱなしだった。
頭がヒートアップして部活どころではないためである。
その後、「次は一位を狙うわよ!」とか茜先輩が言い出して、自力であの宗教のような怒号を録音したテープを卓球部全員に配ったのは言うまでも無い。
どうも、天井です!
今回はその後の茜と部員の様子を…。
茜はソフトボール部部長で二年生首席の子に頭が良くなる秘訣を聞き、あのテープを作った。
もちろん、首席の子が宗教のような怒号をしているはずもなく、みんなに手取り足取り勉強を教えていた事に気付くのは数ヵ月後のテストの時の話しなのだが。
その後の卓球部。
一時的に頭が良くなったものの、体調をくずしてしまっては元も子もない。
おかげで三日間練習は出来ず、体は鈍って頭は真っ白になり部員にとってははた迷惑な話しとして語り継がれた。