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命名。

※青春のバカさがゆるりと書かれています。

※メロンパンでも食べながらごゆるりと読んでください。

「いい?一年生。見ときなさい」


ひなげし寮、練習所。

茜先輩は練習所にある三台の台の中の二番目の台に着いてこう続けるのだった。


「今から一人千本ノックを開始します!」


「まぁ、ノックって言うか多球ね」


利絵先輩が補足する。

茜先輩が言うにはこう言う事らしい。

茜先輩が出す色々なボールを一人確実に千本打ち返すまで寝かせない…らしい。


「まずは…」と茜先輩は目を細めて美子先輩を見た。


「ええ!?美子かよ~勘弁してくれ茜~!」


「問答無用。さぁ、台に着いて構えなさい!」


十五分後。

あの体力勝負だけで生きていそうな美子先輩が倒れた。


「ちょ…タンマ…やっぱりキツイぜぇ~…」


皆の目が一瞬にして薄目になった。

見てない、何も見てない…と言った感じに。


「さ、お次は…」


茜先輩がニヤリと笑った次の瞬間!


「にゃー…」


にゃー…だと!?

誰だ!猫なんぞ飼っていた奴は!?

ってか猫!?なんでこの寮内に猫が…


「あら、小三郎こさぶろう。また来たのね」


茜先輩はそう言って、キャラメル色の小さい猫を抱き上げた。

すると、さっきまでぶっ倒れていた美子先輩は元気を一気に取り戻して猫に駆け寄った。


「おー!みーにゃん、来てたのかー!餌、餌…」


話しを整理しよう。

全然分かんなくなった、みーにゃんなの?小三郎なの?

まあ、結論から言うと場が和んで多球どころの話題がなくなってほっと一息だったと言ったところか。


「美子ったら何言ってるの?小三郎よ」


茜先輩はめちゃめちゃ和風の名前だし。


「茜こそ違うぜ。みーにゃんだろー?」


美子先輩はありきたりな名前だし。


「二人とも、コイツは利絵二号だっつの」


利絵先輩も口をはさんで、ちょっとした取り合いになっている。

こう言う時は、一番頼りになりそうな紗々先輩に訊いてみる事にしよう。


「紗々先輩、この猫なんですか?そして先輩方の取り合いは何ですか?」


「この猫は私達がこの寮に来たと同じ時期に敬像先生が連れてきたの。でも気まぐれでたまにしか寮に姿を見せないのよ?ちょっと三人とも…猫ちゃんは『アルファニア・キャラメル・ストロング』だって名前決まったじゃない?」


ちょ、紗々先輩?

え…紗々先輩のネーミングセンスに一番ビックリなんですけど…。


私が口をポカーンと開けて見ていると、瑠璃が話し掛けて来た。


「なぁ、いろは?あの猫どう思うよ?」


「どう思うって…何が?」


「なんかあの猫…どこかで見かけた事なかったか?」


「ん…そう言えばぁ…」


心当たりは無いでもなかった。

美術の時間にたまたまこんな感じの猫が入り込んで来て…確か先生がムツゴロウさんみたく可愛がっていた気がする。

その時確か名前を言ってた気が。


「もう!小三郎よ!」


「みーにゃんだぜ!?」


「利絵二号だっつってんじゃん!」


「アルファニア・キャラメル・ストロングでしょ?」


そんな意味不明な争いを止めたのは真姫だった。


「せ、先輩方!この猫は『リンゴ』ちゃんだった気がします!」


場の時間が止まった。

一瞬だけ皆の動きが硬直し、次の瞬間には元通りの和やかな雰囲気になっていた。


「…そうね。確かそんな名前だったわね」


茜先輩は抱っこしている猫に優しくほほ笑んでそう言った。

「そうだな」「そうよね」など、先輩方も納得しているようだった。


「まず、小三郎には餌を与えといて、私達は多球を続けましょう」


三秒くらいして一年生の三人は真姫を細い目で見た。

お前が解決させなければ多球はストップしたのに…と。


「さぁ!次はそうね…いろは!貴女よ!」


「ええ!?私ぃぃ!?」


「運動オンチだなんて言い訳は通用しないわ!さ、台に着きなさい!」


さて、さっきの騒動は一体なんだったのだろうか。

本当、なんだったんだろうね?


寮からはいろはの気の抜けた叫び声と猫の鳴き声がこだましていたとか。


どうも、天井です!

そろそろこのほんわかした空気もなんとかしないと…なんて思ってはいるのですが、なかなか抜け出せないですね(笑)

今回の猫は私の家の実家で飼っていた猫がモデルです。

私は「リンゴ」って呼んでたんですけど、お父さんがずっと「小三郎」って呼んでて(^^;)

その出来事は頭から離れません。

今年でリンゴは十三歳…長生きしてもらいたいです。

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