構想。
※青春のバカさがゆるく書かれています。
※わからない表現はできるだけ補足していきたいと思います。
※卓球のわかる人から初心者の方まで、お茶でも飲みながらゆっくりしていってください。
中学校の授業は難しい。
でも、授業中はぼーっとできるからそれはそれでいい。
真姫は黒板に数学の解答をすらすらっと書いてる。
瑠璃はいつ見つかるか知れないが、ケータイをいじっている。
望花は「空色のチーズ」と言うなんとも言えない本を読んでいる。
私は、先生に勝つ方法をずっと考えている。
でも卓球の事なんてさっぱり分かんないし、「先生の戦型はカットだ」と茜先輩に教えられたが、なんのこっちゃさっぱり分かんない。
第一、ラケットの握り方も知らないのだ。
勝てなんて無茶な話である。
「いろは、何ぼーっとしてんの?」
瑠璃が私の横に立っていた。
「あれ?授業は?」
「何ねぼけてんの?さっき終わったじゃん。もう昼だし、早く食堂行こ!」
そう言ったとたんに真姫が「おーい」と呼んだので、私は席を立った。
食堂。
私はハンバーグ、瑠璃はサンドウィッチ、真姫はおにぎりセット、望花はオムライスを食べていた。
四人で色んな話をした。
「真姫って、勉強してる時メガネかけてるけど、コンタクトとかにしないの?」
「私、小さい文字が見えなくて。でも別に生活に支障はないから普段はメガネかけないよ。だからコンタクトもいらないの」
「そうなんだー」
と言う質問をしたり。
「瑠璃ってなんで卓球部に入ったの?」
「は?運動量が少なそうだからに決まってんじゃーん。あ、メール来た」
自分と言葉は違うが、入部した理由が同類なのでちょっと焦る。
と思ってみたり。
「望花はミステリアスだよね~」
「なぜ?」
「だって、口数も少ないし、何考えてるかわかんないんだもん」
そこから私、瑠璃、真姫で望花が何を考えるか当てると言うゲームをした。
「わかった!」と瑠璃が叫ぶ。
「望花は今、好きな人の事考えてる!」
「…ちがう」
次に私も言ってみる。
「んじゃ、卓球のこと!」
「…ちがう」
最後に真姫が言う。
「うーん…さっき呼んでた本の事かなあ?」
「…ちがう。なぜ、このオムライスにはケチャップがついていないのだろうかと考えていた」
『解るかッ!』
三人のツッコミが一番さえたような気がした。
五時間目も清掃もHRもあっという間に過ぎてしまった。
何も考えないまま、部活へ直行。
すると先生がジャージ姿で待っていた。もちろん、先輩も。
私達もジャージに着替えて、ラケットを持って集合した。
「さあ、準備はできただろう。誰でも来い!」
しーん。
先生の意気込みも空しく、辺りは沈黙につつまれた。
先生は少し考え込むと、真姫を指した。
「高尾 真姫。お前からかかって来い」
真姫は少し動揺しながらも、台についた。
「おねがいします」と挨拶を交わし、先生が鋭いサーブを出してきた。
先輩方も驚いたらしい。
「一年相手に本気!?」
「先生、大人気ないぜー!こんなか弱い…」
美子先輩がそう言いかけたとたん、真姫の何かが変わった。
真姫はラケットを下ろすと、思いっきり早いスピードでラケットを上に振り上げてボールを擦り上げた。
(ドライブの事です)
また先輩方はそれにも驚いていた。
「ループドライブ!?」
私にはなんのこっちゃさっぱりなので、茜先輩に訊いた。
「先輩、ループドライブってなんですか?」
「山なりに近い軌道を描き、ものすごい回転をボールに与える打法の事よ」
「真姫、計算高い子と見た」
利絵先輩が呟く。
真姫が打ったボールの回転はすごく、先生はとることができなかった。
「さすが、小学生でベストエイトまで行っただけはあるな」
先生は真姫にそう言った。
「ベストエイト!?」
黙っちゃいない、他のメンバー。
真姫は照れくさそうに返事をした。
「私、小さい頃から卓球してたの。でも、県のベストエイトだからそんなにすごい事でもないんだけど…」
十分すごいだろ…と心の中でツッコんだのは私だけではないはず。
「次…来石 望花!」
先生の指名と同時に台の方へと歩きだし、「おねがいします」と挨拶をしてゲーム開始となった。
一球目は先生のドライブが見事に決まり失点。
次の球、先生のサーブを望花は真姫の動きと同じ動きでボールを打った。
「カーブドライブ…決まったわね」
紗々先輩はニコっとしてそう言った。
望花の放ったカーブドライブとやらは見事に決まった。
やっぱり業界用語らしいが全然わかんないので訊いた。
「真姫ちゃんと同じフォームで出すんだけど、ボールの擦る位置で微妙に違うの。右利きの人なら取りやすい回転だけど、望花ちゃんの場合は左利き。先生も左回転のボールなんて滅多に来なかったでしょうから、たじたじね」
紗々先輩はいつも笑顔だ。何故だろう。
と言うか、なんでみんなそんなに卓球うまいの!?
「望花、まさかベストエイトだったなんて言わないよね!?」
「まさか」
望花は私にボソっとそう言うと、真姫に
「真似させてもらった」
とあやまった、っぽい。
「次、天野 瑠璃!お前だ」
先生は瑠璃を指名した。瑠璃は「かったりーな」とか言いつつ、台についた。
「おねがいします」の挨拶をすると、先生は今までよりも鋭く低いサーブを出した。
やはり、中学生にポンポン点数を入れられたんじゃ、先生も気分は悪いだろう。
だが、それを裏返したかのように瑠璃はネットギリギリに小さく返した。
ボールは2バウンドしたため、瑠璃はあっさり勝利した。
またまた、黙っちゃいない先輩方。
「瑠璃、やるわね」
今度は利絵先輩だ。
「ストップだなんて、ヘタすればチャンスボールにもなりかねないのに」
利絵先輩はニヤっと笑った。
私は帰ってきた瑠璃に感想を聞いてみる。
「瑠璃すごい!どうやったの!?」
「え?ただ力抜いただーけ」
利絵先輩。コイツがそんなすごい技、できるわけないです。
「最後、橘 いろは!」
「は、はいいい!」
いきなり呼ばれたんでびっくりした…。
この先生声が大きいんだよ…。
一応台について「おねがいします」と挨拶をしたはいいが、ラケットの握り方もわかんないし、打ち方もわかんないし、どうしたらいいんだろうー?
なんて思ってるうちに先生はサーブを出してきた。
「無回転!?」
「先生、サーブを変えたわ!」
先輩がそう言ってるけど、何かおかしなサーブが来る事以外はわからない。
きっと卓球部も入れなくて退学…なんだろうな。
ええい!こうなりゃヤケだ!!
私はラケットをブンッと振って、思いっきりボールを斜め上から叩いた。
ああ、終わった。と目を閉じた瞬間に、コツンとボールが台に入る音がして、とっさに目を開けた。
入った…。
「一往復もせずに…スマッシュを決めた!?」
「亜矢先輩の再来…」
美子先輩が驚く中、茜先輩はそう呟いた。
「あーあ、完敗だよー!全員合格。これから頑張れよー」
先生は手をひらひらと振って職員室に帰ってしまった。
合…格?
どうも、天井です!
まさかのベタな展開でサーセン(笑)
スポコンは漫画でみると迫力がありますよね!
小説は迫力にアレだな…とかおもいつつ。
それでわ~