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チーム語劇  作者: ガンベン
結びあう離れた光たち
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巡りくる縁の連鎖

 中国語劇が終わり、同窓会のレセプションパーティーが開催された。中国研究会の初代部長の奥田弘道が挨拶をした後、様々なイベントが行われた。立食パーティーの周辺を囲むようにして、展示部門が作った各年代ごとの中国語劇、展示、そして店舗部門の風景を写真や文字で表現したパネルが立てられていた。広川は、後輩や同級生や先輩たちと、自分たちの年代のパネルを見たりしては、昔を思い出しながら、楽しい時間を過ごしていた。

 そうしていると、圓谷の奥さんの広恵が広川に話しかけてきた。その隣に少し年配の男性が立っていた。

「広川さん。今日の中国語劇本当に良かったです。運営委員長をしてくれて、本当にありがとうございました」

「礼を言うのは、こちらの方ですよ。圓谷さんやみんなのおかげで、なんとか上手くできました。本当にありがとうございます」

「いえ、私は何もしてませんよ。英一君も今日の中国語劇は、きっと喜んでくれていると思います」

 そう言うと、隣にいる方を広川に紹介した。

「こちらの方は、英一君の会社の専務で、露木壮太さんです。生前、英一君がお世話になった方で、英一君の大学の同窓会があると話をしたら、一度行ってみたいと話があったので来ていただきました」

「そうでしたか」

 露木は、広川に丁寧にお辞儀をし自己紹介をした後、言った。

「本当に素晴らしい劇でした。圓谷君は、こんなに素晴らしい仲間と一緒に活動していたんですね。惜しい方を亡くしたと思うと、本当に残念です。ただ今日の劇を見て、なんか心の重しがとれました。

「そう言っていただけると、私もうれしいです。」

「ええ、ところで、広川さんは、趣味で劇団や何かをやっているんですか?」

 広川は、笑いながら言った。

「いえ、普段は普通のサラリーマンをしてて、関西に本社があるSKゴム会社のSK商事というところで働いています」

「え、SK商事ですか…」

「どうかされましたか、誰か知り合いでもいるのですか?」

「ええ、まあ。なんというか昔の知り合いがいてね。」

「そうですか、偶然ですね」

「はい。この機会に一度連絡してみようかと思います」

「そうですか、何かのきっかけになってよかったです」

 そうこうしていると、他の出演者の関係者が広川に話しかけてきた。露木は、遠慮して、「広川さんは、人気者ですね。それでは、私は失礼します。また機会があればどこかで会いましょう。今日は本当にありがとうございました」と言うと、また深くお辞儀をして、その場を離れた。

 その後も、広川は参加者と久しぶりの再会や新たな出会いを楽しんでいると、あっという間に時間も過ぎていき、レセプションが終わった。参加者は名残惜しそうにしながら、会場から一人二人と離れて行った。

 広川は、関係者を見送った後、また語劇をした大会場に戻り、ゆっくりと通路の緩やかな階段を下りながら、壇上に一番近い椅子に座った。そして4カ月間にあった出来事を振り返りながら、数時間まで舞台だった大きな空間を見つめ一人一人の演技を思い出しながら、あっという間に過ぎて行った時間とそれまでの話し合いを思い出していた。

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