第7話 雪の町の事情
「領地の管理は、領主として一般的なことです。サフィナ様も、それなりにわかっていると思いますが……」
「はい、父の仕事を補助していたので、それなりには知っていると思います」
領主の仕事については、私も少しは知っていることだった。
コルニサス家の娘として、父の仕事を手伝っていたからだ。
「それで、サフィナ様には私の補助をお願いしたいのですが、問題ありませんか?」
「はい、もちろん、大丈夫です」
リンドラ様の言葉に、私は頷く。
この仕事なら、それなりに慣れていため、あまり問題はないはずだ。最も、土地が違えば管理も違ってくると思うので、その辺りを聞いておくことは必要だろう。
「この土地特有の注意した方がいい点などはありますか?」
「そうですね……色々とあるかもしれません」
「色々と?」
私が聞いてみると、リンドラ様はそのように返してきた。
どうやら、色々とあるようだ。それは少し、困ることかもしれない。
「どのようなことがあるのですか?」
「寒い地域ですから、色々とあるのです。恐らく、普通の地ではあり得ないような問題が発生すると思います」
「そうなんですね……」
リンドラ様の語る内容に、私は納得した。
確かに、寒い地域であるため、普通では考えられないようなことがあるのは当然だろう。
それの対応などは、私にはわからないことかもしれない。
「まあ、その辺りは暮らしていけば、わかっていくことですから、そこまで心配する必要はないかもしれません」
「そうですね……」
私が不安そうな顔をしていたからか、リンドラ様はそう言ってくれた。
やはり、リンドラ様はとても優しい人である。
「あ、そういえば、メイドさんからハーブティを頂きました。リンドラ様の指示だったのですよね? ありがとうございます」
「え? ああ、そのことですか」
そこで、私はハーブティのお礼を言っていないことを思い出した。
私のお礼に、リンドラ様は少し驚いている。急に話題を変えてしまったので、それも当然だろう。
「すみません、リンドラ様が優しい人だと思ったら、そのことを思い出してしまって……」
「そ、そうですか……なんというか、ありがとうございます」
私の言葉に、リンドラ様は少し照れていた。焦りからか、何故かお礼まで言っている。
もしかしたら、意外と褒められるのに弱いタイプなのかもしれない。今の様子を見ていると、そう思えるのだ。
そんな風に話しながら、私はここでの暮らしについて教えてもらうのだった。