表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/28

第1話 没落した貴族

 私の名前は、サフィナ・コルニサス。ドーサス王国に暮らしている公爵家の令嬢である。

 私は今日、お父様に呼び出されていた。それは、ある事件に関することを相談するためである。


「お父様、例のことですね?」

「ああ、あの事件のことだ」


 私達が話しているのは、コルニサス家を大きく変えた事件だ。

 それは、つい先日起きたばかりの事件である。


「我が息子にしてお前の兄であるサンドロは、この度殺人の罪を犯した。そのことで、我らコルニサス家は没落することになるだろう」

「はい……」


 私の兄であり、コルニサス家の次期当主であるサンドロが、殺人事件を起こした。それが、今回の事件だ。

 サンドロは、とある貴族の男性を殺害した。なんでも、とある女性を巡っての事件であるらしい。

 その事件により、コルニサス家はその地位を剥奪されることになってしまった。次期当主が起こした重罪に対する罰としては、そこまで不当なことではないだろう。


「当然のことではあるが、お前が結んだ第二王子との婚約は破棄される」

「はい、当然のことだと思っています」


 それに伴い、私と第二王子ザルバステとの間に結ばれていた婚約も破棄されることになってしまった。

 ただ、それは当然のことだ。没落した貴族が、王族と婚約を結んでおける訳がないのである。


「我々は、かなり窮地に立たされている。だが、諦めることはない。必ず、我らの手でコルニサス家を再興するのだ」

「はい、必ず……」


 そのように、コルニサス家はかなり窮地に立たされていた。

 しかし、お父様も私も諦めるつもりはない。コルニサス家を必ず再興させるのが、私達の使命なのである。


「サフィナ、そこでお前には一つの役目を果たしてもらいたい」

「役目? なんでしょうか?」

「お前と婚約したいという者が、現れたのだ」

「私と……婚約!?」


 お父様の言葉に、私は驚いた。

 今のコルニサス家に、そのように婚約を結んでくれる相手がいるのはかなり意外なことである。罪人がおり、没落してしまったコルニサス家と婚約するなど、メリットはないはずだ。

 それなのに、婚約してくれる。それは一体、どこの家なのだろうか。


「お前と婚約したいと言ってきたのは、レインズス家の現当主リンドラだ」

「レインズス家……?」

「ああ、レインズス家は、かつて我らが手助けしたことを覚えていたのだ。そのため、我らに手を貸してくれるらしい」


 お父様の言葉で、私は少しだけ理解した。

 しかし、昔の恩だけで、今のコルニサス家を助けることは、中々できることではない。

 私は、レインズス家に感謝しなければならないだろう。コルニサス家の人間として、これ程嬉しい手助けはない。


「わかりました。私は、リンドラ様と婚約を結ばせて頂きます」

「感謝する。これからお前は、レインズス家の方で暮らしていくことになる。すぐに準備するのだ」

「はい」


 私は、その婚約を受け入れた。それが、コルニサス家の再興に繋がると信じて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ