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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
閑話 鬼の目に涙
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エピソード1 人の手に刃

人間視点


 神の呪縛から人が自由を手に入れようと神に抗った神棄歴、人類が自由を得た際に独立を宣言した日から数えられる独立歴、その積み重ねた年月も既に四千と三百を超えている。

既に、この世界に神の姿を直接見た者などおらず、神は伝承と神書の中でのみ存在する姿も分からぬあやふやな物となってしまった。


世界の中央、遠い昔に聖なる大地と呼ばれ。時が過ぎるにつれ、何者をも受け付けない禁断の大地と呼ばれる、世界の中心に位置する大地から見て北東に位置する大陸。


その大陸の名はラスト。神の怒りを買い、その一部を宇宙(そら)に打ち上げられた世界で唯一の大陸。


そんな大陸の最東端からやや南に位置する国、ヤポーネ王国。多種多様な人種の住むこの世界において、人間の比率が9割を超える世界で唯一の国である。


神奴期と呼ばれる古の時代に建国されたその国は、世界でも最も古き国家の1つに数えられ、その長い歴史の中、ついぞ国の悲願が叶うかどうかと言う時が来ている。



 その国の王城は、王の権威を示す城などで無く、有事の際に守る事を念頭に置いた戦の為の城の造りをしている。

そんな王城の謁見室の中で王の介助役を含む、この国の各部門の長が、玉座に座る王の前に1人を残し(ひざまづ)き、その国の悲願を成就するための上奏文を行政の長が読み上げた後に、さらに軍事の長が言葉を付け加える。


「人間が人間として、その尊厳を何者にも踏み躙られる事の無き国を作る、その為の全ての好機が今一度に訪れておりますれば。何卒、我が王よ、ご決断を。」


その問い掛けを受ける王と言うと。王が纏う権威を示す衣は汚れ、更に腐臭を隠す為の香を焚き込め。

その顔は既に生者のそれと言えない程に青白く。

焦点の合わぬ、虚ろな目を揺らしながら、凡そ人の形を保っているだけの肉塊の如くである。


しかしその肉塊が生きている証とも言うように、言葉が発せられる。


「ついぞ悲願成就の時が来たのか、この身が朽ち果てる前によくぞ間に合わせてくれた。皆の者、大義であった。」


謁見室と呼ばれる部屋としては、あまりにも簡素な造りの部屋の中に、唯一立っている男。

軍事の長であり、王より絶大な信頼を寄せられる将軍である。その男に向かいさらに王が言葉を放つ。


「動き出せば成就せぬままに終わる事など無く、確実に達成せねばならぬ今回の戦だが。達成するに如何程の損失が出ると予想する?」


その王の問いに対して、軍事の長と言うには飾りも少なく、仕立ても上等と言えぬ服を纏う金毛碧眼の男が答える。


「あの一族を残し、他の種族全てを制圧する事に出る損失など皆無でしょうな、しかしあの一族に対して出る損失は……3割……」


3割と声を放ち、言葉に詰まる男……

その男の言葉を聞いて跪く男達は、それまでの静寂を破り、ざわめく。

3割で済むのなら、3割以下で抑えられるなら、3割の損失が……など互いで確認し合うように小声で話し始める。

しかし……


「現在の我が全軍で挑んでも、3割生き残れば上出来かと……」


その言葉を受け、王が発言しようとした時に。王の眼前に跪く男達の中から白髪の混じった頭の、やや細身の男が立ち上がり。


「何を言うておる、3割以下しか生き残れぬと言うのであれば、その後に国防をどうする?西の獣共や北の狂った狂信者共に国ごと喰われてしまえとでも言うのかカイゼル。」


言葉を放ったのは医療の長。その言葉が跪く全員の総意とでもわんばかりだが、その他に言葉を発する者も居ないとなると総意なのであろう。


「ジョゼッペ、私を誰だと思っている?軍事の長であろう。国防に割く人員を減らす行為を軽々しく言葉に出来るとでも思っているのか?」


医療の長に向かい、カイゼルと呼ばれる軍事の長が問い掛ける。

その問い掛けに答えたのは、医療の長では無く、横で立ち上がった行政の長。


「現在の我が全軍とお主は言うた。と言う事は、隠し玉でも忍ばせておるのか?いや、確実に忍ばせておるな。なあジョゼッペよ、アレが国を滅ぼす戦を始めると思うか?」

「いや、思わぬ……」


消え入るような声を出し、また跪く医療の長。それを見て行政の長も跪く。


「この度、あの一族に対応するために冒険者を雇い入れました。どうか王よ、この部屋に冒険者達を招き入れる事をお許しください。」


真っ直ぐに王を見てカイゼルと呼ばれた軍事の長が問い掛ける。


しかしその問いに答えたのも王では無かった。


「カイゼル、冒険者などと何を血迷うておる。この部屋は簡素なれど、この国の権威その物だぞ。そこに根無し草の冒険者達などを招き入れる。そんな事が許されると思うてか。」


立ち上がり静かに言葉を放つも、その言葉に怒気が含まれている事をこの場の全員が理解出来るほどに顔を歪ませたのは、外交の長……

その男が言葉を続けようと口を開きかけた所で……


「よいダナウェル。権威なぞとうの昔に棄ててしもうた。連れて参れ。」


どこを見ているのか分からぬ焦点の合わぬ目つきのまま、その口から少し涎を零しつつ玉座から外交の長の続く言葉を遮る王。軍事の長に冒険者達を連れて来いと言った声には、棄てたと言ったはずの王としての権威と覇気が宿っていた。




 王の指示を受け、カイゼルと呼ばれる将軍が合図をする、部屋の外に待機している近衛の者達と既に打ち合わせ済みのようだった。


「してカイゼル、その者達は人間であるか?」


冒険者を招き入れる為に各部門の長が謁見室の中央を開け左右に並ぶ中で、司法の長が話しかける。


「間違い無く人間だと言える。」


「そうか、ならば良い。」


司法の長は、それ以上何を聞くことも無く半眼を閉じて口を噤んだ。




 それから数分後。


「冒険者パーティー・ディグニティ御一行入室されます。」


謁見室のドアが開き、入室したのは4人の冒険者。

1人は全身隙間なくフルプレートメイルに包み。

1人は顔に仮面を付け帽子を被り黒一色の革の鎧を着込む。

1人は布を目の位置も開けず顔に巻き付け軽装の革鎧を着込み。

1人は顔に包帯を巻き付け西方の装束を身に纏っているが露出する部位全てに包帯が巻き付けてある。


背の高さや体格などは人間のそれと言ってもいいのだが。おおよそ王に拝謁する姿とかけ離れているその4人に対して祭事の長が。


「王の御前であるぞ、冒険者と言う事を考えれば、鎧に身を包んでいる事に文句など言わぬ。しかし顔を見せることすら出来ぬのか?」


その問い掛けに答えたのが、冒険者の中で包帯を巻き付けている者。


「ァァァ、申し訳ない、言葉づかいが汚いのは許してくれよな。無学の冒険者だからさ。それとな、俺達の顔なんて既に人に見せられるような顔じゃないんでね、それでも見たいと言うなら見せてやるが?」


その声は男の声をしているが、掠れ嗄れて聞き取るのが困難に感じる程の声であった。


「どこの馬の骨とも分からぬ冒険者が!場所を弁えろ!」


教育の長が大声で吠える。

その言葉を聞いて、軍事の長が制しつつ話し出す。


「とりあえず静まれ。皆に紹介しよう。こちらの4名の冒険者、パーティー名をディグニティ。北西の大陸の出自の冒険者のパーティーだ。聞いた事があるだろう?有史以来初めての、西大陸最高難易度1辛ダンジョン、人魔窟の最下層に到達した唯一の冒険者パーティーで4人とも紛うこと無く人間である。」


その言葉を聞いて王も含む部屋に居る全ての者の目付きが変わる。それまでは見た目その物にしか見えなかった各部門の長達が目の錯覚か一際大きく見えてしまう程に気を吐き始める。


それを見て、カイゼルと呼ばれた将軍が4人の冒険者に。


「お前達の顔が見たいとの事だ取れるか?」と聞く


それに答えたのも包帯を巻く男。


「いいぜ、見せてやるよ。」


最初に顔を晒したのは、フルプレートメイルを着込む者。

晒した顔は傷の無い場所も無く、さらに下顎や舌も無く涎を垂れ流している。ほとんど隙間も無く傷だらけの頭部に毛髪の1つも無く、耳すら根元を残して千切れている異形であった。


次に顔を晒したのは、顔に布を巻く者。

まず目に付いたのがその双眸、眼球が無く暗い穴が2つ、鼻も異常に曲がって上唇が無くそしてそこから見えるはずの歯も無く、喉に大きく傷があった。


3番目に顔を晒したのは仮面と帽子の者。その仮面を取れば頭部から顔に掛けての皮膚が無く筋繊維が剥き出しになって汁を垂らしており、それが首から下に掛けても続いている。そして喉の位置がぽっかりと5cm程の穴が開いていた。


最後に顔を晒したのは包帯を全身に巻き西方の装束に身を包む男、その包帯を解くにつれて現れる顔と匂いに、それまでの3人の異形を見ても身じろぎ1つもしなかった長達が顔を歪める。


言葉にしたのは玉座に座する王であった。


「辛くないのか?痛くないのか?見えているのか?腐っているのか?」


そう言って立ち上がろうとする。それを見て全ての長達が。


「立ち上がってはなりませぬ。」「お身体が崩れます。」

「なりませぬ王よ。」


などと、冒険者に近付こうとする王を止めようとする。

その王を見て腐っているのかと問われた冒険者が。


「後ろの3人は、もう喋る事も出来ねえ。だから俺が聞かれた事だけ答える。腐ってるかだって?見てわかるだろう、腐ってるよ。これが人魔窟最深部に、その場所がどう言う場所かも考えずに挑んだ者が受けた呪いだ。」


掠れた声を先ほどより大きく放つ。


それを見て近付こうとする王が、止めようとする長達に向かい。


「止めるな、あの者の前に行きたいのだ。」


そう言ってその身体から腐臭を室内に撒き散らしながら歩く。


「なんだ王様、あんたも呪い持ちかよ……」

「我の呪いは全て我のギフトによるもの、しかしこの呪いは呪いであると共に我の誇りでもある。気にするな冒険者よ。」


そして冒険者の前まで歩み寄った王が、腐っている顔に手を伸ばす。


「なりませんぞ王よ!それ以上ギフトを使っては!なりません!なりません!」


そう言って必死に止めようとする医療の長に、冒険者の顔に手を伸ばしたまま王が答える。


「あと数日もてば良い、首から上が綺麗であれば使い道もあるであろう。後ろの3人もこちらへ、これ以上歩くとアレが煩くて叶わぬ。」


冒険者達が王の傍まで近付いた時に王のギフトが発動する。

この国の初代国王と、その妃。異界より召喚されし最初の勇者と聖女から受け継いだギフト・等価交換(劣化版)

そのギフトは、全ての物を等価交換出来ると言わたギフトであるのだが、受け継がれる度に劣化していて、今は自分の身体の健康な部分を贄にして、交換して受け取る物を呪として受け取るしか出来物になっていた。


「少しだけマシになったであろう。聞かせてくれぬか?住んでいた大陸を離れ、このような僻地の国に何を望む?どうして我が国の悲願成就するのにそのような身体でも受けてくれるのだ?聞かせてくれぬか?」


そう言う王の顔に、冒険者達を癒して交換した呪いが移っていく。それを見て医療の長がまた吠える。


「王よ、何卒今は治療を。そのままでは崩れてしまいます。何卒!この場でも良いので何卒治療を受けてください。」


「相も変わらずジョゼッペが煩くて叶わぬ。話を聴きながら治療を受けよう。」


そう言われ医療の長が大慌てで魔術を発動しつつ、懐に包んでいた霊草の乾燥したものに発動した魔術を込める。


「話せるか?」


真っ直ぐに冒険者の目を見て問い掛ける王に。

唯一話せる冒険者が答える。


「あんまり気持ちいい話じゃねえけどな、どこにでもある普通の話だ、それで良ければ。」


先ほどより幾分聞き取りやすくなった声が出たのに驚いたようだ。少しだけ腐った顔の表情が歪む。


「ああ、ありがてえ。これだけクリアになれば十分だ。」


その場に居る全ての人間が静かに耳を傾ける。


「まず、俺達のディグニティの望みは金なんかじゃねえ。俺たち4人とも身内は1人も残ってねえ。それにこんな身体だ、あとひと月もすれば呪いが全身に回って朽ち果てるだろうよ。だから金じゃねえ。」


「金でないのなら何を望む?」


「あんた達は、人間が人間らしく人間の尊厳を誰一人損なわれることも無く、王も民も奴隷までも同じように同じ高さで盃を交わせる国を作るんだよな?」


そう問われて王が答える。


「ああ、どんな他人種にも虐げられる事の無い人間の理想郷を、必ず作る。」


「それが望みだ。んでよ、なんでそんな事をこんな身体になってまで望むのか?って理由だけどよ何処にでもある普通の胸糞悪くなる話だぜ。それでも聞くか?」


先程まで虚ろだった王の目に今は生気が宿っている。そして……


「お前達の想いを背負わせてくれぬか?この場に居る全員に。背負う為にも聞かせてくれぬか?」


ああ、いいぜ……と頷いた後に話し始める。


「アレはよ20年とちょっとくらい前だったかな、もう正確な日付なんて忘れちまった。俺っちはよ、西大陸の小さな開拓村で小さな森の傍で畑を耕してる百姓だったんだぜ。今じゃ世界一の人間の冒険者だけどな。」


その場の全員が息を殺して冒険者の声に耳を傾けている。


「昔馴染みの嫁と4歳になる娘と、嫁の腹の中に宿った子と、貧乏だったけど毎日幸せな時間を過していたんだよ。でもよ、あの日に全部が崩れちまった。」


腐った顔が少しずつ怒りの色に染まり始める。


「悪阻が酷くてよ、それでも飯の準備とか無理してやってくれてた嫁を見てよ。娘が森に嫁の好きな花を取りに行くって言うんだ。優しくていい子だろ?

んでな、森の入口と言うか、うちの畑の端っこが森の端っこだったんだよ、そんで嫁の好きな花ってのは森と畑の境目に咲いてたからよ、クワ振って畑を耕してる俺から見える場所だったから気にもしてなかった。

下を向いてクワ振って畑耕して、そんなしてたら俺のすぐ側に居て、夕飯のジャガイモ掘ってた嫁が急に走り出したんだ。その時、蹄の音が聞こえてな、嫁が走った方向を向いたんだ。」


「それで、何があった?」


「振り向いた時に。花を摘むのにしゃがみ込んでいた娘が人馬(ケンタロウロス)に背中から踏み抜かれる所だった。クワを握ったまんま俺も走り出したさ。でも遅かった……

人馬の足が背中から胸を貫いてな、娘は死んじまったよ……」


「そうか……」


「人馬の野郎がな、娘から足を引き抜いた後に娘を踏み抜いた足を見て言ったんだ、胸に穴が開いた娘に縋る嫁と俺に……

ああ(きたな)らしい、下等な人間の(けが)れた血肉で我が蹄が汚れてしまった。そう言ってな、踏み抜いた足を振ったんだ……

蹄に詰まった、俺の娘のちっちぇ心臓とその周りの肉を嫁に向かって飛ばしながらな……

腹が立って、クワ振り回して向かって行ったけどよ。

下等な種族が崇高な人馬の駆ける場所に居る事が許せぬ。おお、怖い怖い下等な種族が怒っておる。

そう言って走って行きやがった、追い付けるわけが無えだろ、そん時は只のどん百姓だったからな。でも走って追い掛けたさ、でもよ、見てる間にいなくなっちまった。

その後は、あんまり覚えてねえが、冷たくなって血だらけの娘の体を嫁と2人で抱いて寝たよ。悔しくて悲しくて辛くて、なんて言っていいかわかんねえ感情がよ、溢れて来てよ……次の日泣きながら墓を作ったさ。

数日してよ、娘が殺された事が相当に参ったんだろうな、嫁が体調を崩しちまった、そんでな嫁の腹に居た子供は流れちまった。

そんで嫁は気が狂っちまったさ。

その後は半年くらい殆どなんも口にすること無く、ずっと娘の名前を言いながら。ごめんごめんって呟きながら枯れ枝みてえになって死んじまった……」


この場に居る全ての聞く者が、拳をにぎりしめ憤っている。


「嫁の墓を作ってからな、その後はあんまりハッキリ覚えちゃいねえんだ。呪いの影響かもな。いつの間にか冒険者になって、いつの間にか人魔窟で人型の魔物を殺しまくって。気がついたら呪われていて、腐っちまった。こんな感じだ、これ以上でもこれ以下でもねえ。何処にでもある普通の話だろ?」


その時に王が冒険者の目を真っ直ぐに見つめ


「何処にでもある話だ。そうだな……

あってならない、何処にでもある普通の話だ。」


そう言って涙を浮かべる。既に数人の長は涙を流して居るようだ。


「そいつら3人も、俺と同じような、何処にでもある事がきっかけで、そんななっちまった。そいつらなんて喋る事すら出来ねえ、だから聞かないでくれねえか?」


その言葉が終わると同時に教育の長が冒険者に近付き深深と頭を下げ。


「お前達の想いも知らず先程とった態度、その非礼謝罪する。背負わせてくれその想いを。」


その言葉に数人同じように頭を下げている。その光景を見て腐っている冒険者が。


「こんな見た目だ、言われ慣れてる。謝罪なんていらねえさ。

でもよ俺達の望みは叶えてくれるんだろ?俺や後ろの3人みてえな人間が1人も居ない国を作ってくれんだろ?もうそんなに長持ちしねえ命だ背負わなくていい、叶えてくれ。」


その言葉を聞いて、各部門の長を見渡し王が答える。


「勿論だとも、必ず、必ず叶える。その命を貸してくれ。皆の者、この後カイゼルを最高指揮官として全てを預ける。戦を始めよ。駆逐せよ。」


その言葉を最後に王は気を失った。大慌てで数人の長が担架に乗せ王を寝室まで運んで行く。


残された者は、それぞれの仕事に戻っていく。戦の準備に駆られる者、戦の後処理の為の準備に掛かるもの、近隣の国の奴隷となっている人間を解放するための外交のカードを用意する者。それぞれに誰一人今回の戦が失敗に終わる事など考えることも無く。

残ったのは軍事の長カイゼル将軍と冒険者3人。


「お前達の出番は最後の鬼の一族だ。それまで待機出来るか?」


「最後まで温存しとかなきゃなんねえくらいヤバい奴らなのか?」


将軍の問いに問いで答える。それに対して将軍は嫌な顔1つせず。


「青い月ニカラチャの血を受け継ぎ、その力を継承し続け、当時のままの風習を変えず。その武は未だ最強の一角を担うほどだ。」


その言葉に何か納得したようで。


「子供ん時に聞いた御伽噺の一族か……

そりゃ俺達が必要だな、知恵の回る人型の魔物がわんさか湧く魔窟に慣れ、その中でも特に鬼に特化した俺達がな。」


パーティー名ディグニティ。最高難易度のダンジョン最深部までたどり着いた現在唯一の冒険者パーティーであると同時に、4人とも神器オーガキラーの所有者である。人の身で振るえば、振るう度に自身の身体に呪いを受ける、使う者をも食い殺す呪われた神器の。




次回エピソード2 人の目に涙

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