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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
3章 調味料が欲しいです
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所持金7円

石臼作り始めます。


 ガンモが走って行った後に、カツオの食べ過ぎは財布的に痛すぎる事に気付いて大岩を1つ抱えて家まで走って帰った。

在庫も少なくなってきてるし、簡単に買ってくるのに罪悪感を覚える貴重な日本製だもんな。


走った理由だけど、椅子で移動するより早いからだ。

でも家に帰り着いた時には、時すでに遅しって奴で。しかもカンタ君じゃなくてニカラのギン君に焼きカツオを(ほぐ)して貰ってる。

他の子供達とカンタ君は、丸太の椅子でクルクル回る遊びをやりすぎたらしく、気持ち悪くなってのびている。子供って好きだよね下らない遊びに全力投球なのが。まあ俺もだけど。


身長1mくらいの小さな(鬼さん達の中で)子供が普通サイズの猫(尻尾が九本あるけど)に焼きカツオをあげてるシーンなんて永久保存しなきゃだろ!

そう思ってタブレットのカメラを起動して動画に収めといた、無言で。令和の日本だと変質者扱いだろうな。


(ちな)みにガンモが普通サイズになっているのは、大きな体だと1口で食べ終わっちゃうからと言う理由らしい。相変わらず美味しい物を沢山食べる事を考えるのは全力なんだなと思った。頭良いじゃん。


俺の財布と今の光景を秤にかけたら、今の光景の方が重いと思った。これが萌えなのか!萌えなのか!大切だからもう一度言う、萌えなのか!


そんな感じで悶えてたら、カンタ君が気持ち悪い物を見るような目で見てくる、令和の日本じゃないのに。だけど華麗にスルーしておいた。

飼い猫を溺愛している飼い主の精神力を舐めんじゃねえよ、と心の中で思っておく。


「ニノにい、なんで岩なんて持ってんだ?」


状態異常が治った俺にカンタ君が聞いてくる。


カンタ君が俺の事をニノ様って呼ばないのは、この聖域で神と言う存在が俺とカンタ君だけなので、同じ神なんだから気にせず好きに呼んで良いよと伝えたらそうなった。だけど聖域の他の生き物達は、相変わらず(あるじ)とかニノ様とか呼んでくる。

ガンモは呼び捨てだけど、それはそれで嬉しいから気にならない。


「お饂飩さんを作るのに小麦粉作らないとなんだよね。小麦粉を作ろうと思ったら、粉にする道具が必要でしょ?だから石臼でも作ろうかなと思ってね。」


そう答えると、アホだコイツって目のカンタ君が。


「お取り寄せで出来合いの麺を買ったら良いのに。」


そんな事を言うもんだから。


「俺の財布の中身って知ってる?最近日本に行ってないのと、この間の散財で7円しか入ってないんだよ……だからそれを言わないで。」


凹むよな……

惑星圈1つを任されてる神の財布の中身が7円ってさ……

まあガンモ用貯金は手を付けてないけどな。


 さあ気を取り直して、自作しよう。

石臼の細かい説明って必要?不必要だと思った人は次の段落まで飛んでくれ。必要だと思った人はそのまま読んで欲しい。


石臼って物を考えた人に敬意を覚えるね。

だってさ、大きい物を小さい物にすり潰していく。ただそれだけの事なんだよ。

でもさ、それだけの事に様々な工夫が詰まっているんだ。

真ん中に空いてる穴、それをまともに工作機械も無いのに開けるとか凄いと思わないか?(たがね)石鑿(いしのみ)で作ってた時代の人に昭和以降の工作機械を見せたら驚くだろうな。

鏨と石鑿の時代を(さら)(さかのぼ)って、石同士を擦り合わせて作ってた頃の人達からすると鏨と石鑿に感動すら覚えるだろうよ。


俺はと言うと、石器作成技能があるからな。

初級だったろ?って思った人は覚えてくれててありがとう。

だけどな、鬼さん達の家の壁を石組みで作るのにお手伝いしたり、自分の家の束石を作ったり色々してたら中級までスキルレベルが上がったんだ。

おかげで何処に鑿を入れたらどんな感じで割れるってのが感覚的に分かるようになった。それでもまだ一流の石工の人のように石の目がハッキリ見える訳じゃ無いけど。


石臼の上下の擦り合わされる部分に至っては、ここで説明すると超長い短編1本書いても足りないくらいだから割愛する。知りたい人は世にも奇妙なインターネットの世界に飛び込んで検索してくれ。掘ってある筋とか合わせ面の角度とか、手作業で良くこんな物作れたよなと、物作りが好きな人なら感心する事間違い無しだから。



 読み飛ばした人は、ここから読んで下さい。



 とりあえず石臼の細かい話は置いておいて。

手作業で作るにあたって、日本製の鏨と石鑿があるからって素人に上手く作れるわけがないだろ。

失敗しまくって、もう作り始めて5日程が経過している。ほとんど無言で作業している俺を見て、鬼さん達とカンタ君から、またやってるよって目で見られてるけど気にしない。


この数日ガンモにご飯を用意して、食べてるのを見てる時間だけが癒しの時間だった。







本当に昔の人の工夫に頭の下がる思いです。

1つの道具に様々な工夫が練り込まれている。

凄い事だと思いません?

安易に現地の出来合いの小麦粉を使って饂飩を作る異世界物にひとこと言いたい!

パンを作る小麦粉と、うどんを作る小麦粉って全然違うからな!


因みに上記のフレーズは似たようなセリフを本編に出します。


こんな所まで読んで頂き感謝してます。


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