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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
2章 隣人が出来ました。
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金ピカに輝くあんちくしょう!

相撲好きですか?俺は好きです。


 俺の家と鬼さん達の家がある場所の、ちょうど中間くらいに作った空き地に、今日の夜飯が用意してあって。そこに2柱の神と2人の鬼を招いた所で食事会が始まった。


「なあニノ様、さっきのアレ凄かったよな!オイラめちゃくちゃビックリしたもん!凄かったよな。」


オケラ型の神のカンタ君が言ってるのは、陸で捧げてた鬼さん達の方じゃなくて、一緒に歩いていたチャの事だ。

鬼さん達が捧げてくれた祖霊のいさしおを讃える歌の後に、チャが返した子孫の幸せを願う歌の方だ。


俺もビックリしたもん、だってさ急に両足を広げて腰を軽く落としてさ、めちゃくちゃ低くてええ声で、さらに超絶デカい声で、まだ1kmくらい距離が離れてる鬼さん達に、ちゃんと聞こえる声量でたった1人で歌い切ったからね。テノール歌手もビックリってくらいええ声しとった。


カンタ君の匂いを嗅いでフレーメン反応しまくってたガンモもビックリして俺の後ろに隠れて耳を塞ぎながらも、ちゃんと聞いてたくらいだからね。


ちなみに玉藻の前は、さんざんガンモに匂いを嗅がれて同族扱いされてた。

尻尾が九本あるから同族扱いなのかな?と思ったら。生命ある神の獣を略して神獣って言うんだけど、どうやら玉藻の前も元は神獣から神に至ったらしくてそこを同族扱いしたみたいで、やけにガンモが懐いてしまった。


玉藻の前も、まんざらでも無いようで。ガンモの喉や耳の後ろをわしゃわしゃしたり、お腹のモフモフに顔を埋めたりしてた。いちおう見てないフリはしておいた。


「気になるんだったら鬼さん達に聞いてきた方がいいんじゃない?」


俺の横でうずうずしてるカンタ君にそう言うと、握り飯を両手に持って子供達の方に突撃して行った。オイラも覚えるって言いながらね。


オケラの七つ芸って言われるくらいオケラって多芸だからさ、あんなの見せられたら覚えたくてしょうがないんだろうな。


子供達が人間の子供サイズのカンタ君に戸惑ってるけど、額に残してあった触覚を3度振って鬼の子供達と同じくらいのサイズに変化してた。肌の色が違うのと角が無いのを除けば、なんの違和感も無くとけ込んでる。



 鬼さん達がウォームアップを始めた、何が始まるかって言うと相撲大会だな。

ルールは殆ど日本の物と変わらないと言うか日本の大相撲そのまんまだった。


ただ大人の鬼さん達全員参加、女性も参加で、土俵に上がれるってだけだね違うのは。


チャとパンは、不参加だ理由は後で。


男の鬼さん達全員が回し姿、女の鬼さん達は回し姿に胸にサラシを巻いて今朝から用意した土俵の周りに集まっている。


なんでもパンツァー様が世界を治めてた頃から殆どルールは変わってないらしい。あれだな、日本の相撲そのまんまって、パンツァー様が新しくルール考えるのがめんどくさかったんだろうな。


平成後期から令和にかけての大相撲みたいに手つき不十分で取り直しになる事も(ほとんど)無いようで、昭和後期から平成前期くらいの大相撲を参考にしたんだなって分かる。


なんでそんなのが分かるのかって言われたらさ、ベニさんがね……不知火型の土俵入りを披露してくれたからさ。

俺のイチオシの横綱と同じ型でさ。


相撲に限って言えば、何気に1番強いのは女性のベニさんらしい。まぁあの体系的に強いだろうなって思ったら睨まれた……

女性の体型の事を考えたらダメだな後が怖いや。


 そんなこんなで相撲大会もベニさんが全勝して終わったんだけど、玉藻の前が要らない一言を……


「あんた日本人だったんでしょ?国技なんだからあんたも出来るでしょ?あんたも参加しなさいよ。」


なんて言ってくれた。


ほら!そんな事言うと鬼さん達が目をキラキラさせてこっちを見てるじゃないか!あんまりやりたくないんだよなぁ……


まぁでもカンタ君含めた他の子供達も目をキラキラさせてるから仕方ないや。


「それじゃ公平になるように神気は完全に抑えますね。あと体もこれじゃダメでしょうし。」


と言って鬼だった頃の見た目にアバター操作して変化する……

ほらこのアバター使いたく無いんだよ!めちゃくちゃ皆から見られてるし!


「あら?あなたって金鬼?ねえ、あの金鬼?」


そう玉藻の前に聞かれた。


「私の他に金鬼が居ると聞いた事も無いですからね。あのと言われても金鬼って私ですとしか言えませんよ。」


このアバターが嫌な理由がさ、見た目が超絶派手派手の金ピカピンの金色の鬼アバターなんだよ。


「ホントに千方の四鬼の金鬼?え?マジ?」


驚いた顔で玉藻の前がこっちを見ている。


「そうですよ、それです。」


「何!知り合いだったんじゃない、先に言ってよ!えーーあんた神になったの?あんなしょぼい見た目してるからわかんなかったし!」


「しょぼいって言わなくても……まぁそうですよ、お久しぶりですね。」


「なんだ、緊張して損しちゃった。さっさと緑鬼全部投げ飛ばして来なさいよ。」


そんな事を言ってくれると。ほら!鬼さん達の目付きが変わったじゃなイカ!




 昭和後半バブル経済の少しだけ前に産まれた男の子だったら誰でも憧れてた国民的英雄ウルフと言われた大横綱の得意技ウルフスペシャルを駆使してバッタバッタと鬼さん達を投げ飛ばしていく。


どんな怪我を負ってもガンモが居るから直ぐに治るんで思いっきりどうぞと言ってあるから鬼さん達も全く遠慮なしにマエミツを取りに来る。マエミツが分からない人はググってくれ。股間がヒヤッとするから。


何気に男衆で1番強かったのがアオさんだった。

技のデパートと呼ばれた小兵力士を代表する彼のように多彩な技に翻弄されたけど左下手を何とか取れて辛勝だったけど勝てた。


そしてついにベニさんとの対決になった。


ここまではウルフスペシャルを駆使して戦ったけど、この一戦は、戦い方を変えないと絶対勝てない雰囲気がしてる。


なので田崎和信時代に1番好きだった力士、ウルフキラーと呼ばれ連勝記録更新を阻止したり、何度も優勝争いに勝利したり、対戦成績も最終的に国民的英雄ウルフが負け越した横綱のように。


それまでの取り組みは、頭から行った後に四つに組むと左下手を取る形で勝利してきたのを、左上手を取った。

下手出し投げだったのを吊り出しに変えて、ベニさんを土俵の外に吊り出した。


叫ぶ鬼さん達、土俵に投げ込まれる丸太の椅子……

座布団どころじゃ無いぞそれ!丸太を投げないで下さい!


大盛況だったよ。まぁこのアバターも偶には使っても良いかな、皆が笑顔になれるんならさ。ベニさんだけは悔しがってたけどね。




 玉藻の前とカンタ君は、やっぱり本調子じゃないみたいで疲れて俺の家のベッド(自作)で寝てしまった。


俺は鬼アバターから人間アバターに戻っている。

鬼さん達も酔い潰れて笑い疲れて帰って行った。


今この広場に残っているのは、俺とチャとパン。

ガンモに最長老を呼びに行って貰ってるから今のうちに聞いておかないとな。


「お二人はどうします?若返れますよ?」


この2人ってさ六千年の間ずっと頑張ってたんだから、それくらいしても良いと思うんだ。


2人が相撲に参加しなかったのも、浮き島で座り込んだのも、スキルオーブを渡して浮いて貰ったのも2人がどう見ても100歳近いご老体になってる、全部これが理由だ。


「ギフトを発動した当時の身体に戻れますよ。」


少しの沈黙の後にパンが。


「最早朽ち果てるのも時間の問題だと思っていました。私達2人の最後の力を振り絞って子孫をこの地に導いたので。」


それにチャが続く。


「もう数ヶ月もすれば檻も壊れ、我ら二人とも宇宙(そら)の藻屑となる所でした。」


さっきのええ声と違い掠れるようなか細い声だった。


「ええ、知ってました。知っていたから急いだんですよ。」


青い月をさっさと入れ替えようと行動した理由がこれだ。


「もう頑張らなくていいです。耐えなくていいんです。あなた達お二方とラスト大陸全土の約束も既に終わっていますから。」


既に見えてない目を開いてチャがこちらを見ている。目に涙を溜めて……


「しかし既に知り合いの1人も残っていない世界で生きていくと言うのは……」


そう言われたから、単発説教Rushだ。


「残ってないと思います?あなた達の血を受け継いだ、子供の子供の更に子供の、ずーっと遠い子孫も居ますし、それに……」


来た来た!っておい!キモイよ最長老、その走り方!普段と違って乱れ過ぎでしょ!


「ちゃんと残ってますよ、あなた達2人をずーっと待ってた人が。」


大興奮しながら、声にならない声を出して根っこを振り乱して走ってくる最長老の声を聞いて。チャとパンの2人のしわくちゃな顔がもっとしわくちゃになって目に溜めた涙が溢れ出てた。


六つの月も旧友の再開を祝うように、静かに光を湛えていた。



ガンモお願いだから感動のシーンなのに後ろでオシッコしないで……だいなしだよ……。






相撲の事を書いても、なんの事かわからんって人も居るかもです。と言うか分からない人が多いと思います。

そんな時は、便利なインターネットの世界で動画とか探してください。

筆者は、体格が小さかったのでどうやってもお相撲さんになれませんでした。でも大きな体に産まれてたら、1度はお相撲さんを目指してたかもってくらい好きです。

まぁここで語るのも野暮ですし、これ以上は止めておきます。


次回2章のエピローグです。




ここまで読んで貰えてありがとうございます。

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