海の上を歩く
今回は、会話がメインです。
「4人とも暴れないで下さいね!そのままで!ほんとに少しだけそのままで居てください!」
大慌てで浮島から砂浜まで浮きながら走り抜ける途中で神気を抑えて、砂浜に付いてすぐに鬼さん達に向かって発した言葉が。
「アオさん、ベニさん!2人の服を1組ずつ下さい!チャとパンが裸なんです。子供達の教育によろしく無いので大急ぎで!」
体系的にアオさんとベニさんくらいだから2人に言って大急ぎで服を持ってきてもらった、それを受け取って浮島まで神気を半分解放しながらダッシュする。精神的に疲れるよコレ。
「とりあえず2人はこれを着てください。あとそちらの2柱の方々には、少しだけお話が……ってなんでひれ伏してるんですか?」
九本の尻尾の先に焔を灯した狐と大きな螻蛄が俺の方に向いてるけどひれ伏して頭を下げている。
「おいら達は罰を受け入れます。どうか御容赦を。」
「あちきもおんしに逆らうような事はありやしやんせん、そやからどうか堪忍しておくんなまし。」
ん?あれ?
「罰ってなんですか?俺はパンツァー様から解放しといてってお願いされたので解放しただけですよ。」
あちゃー、神気解放し過ぎたかな?めちゃくちゃビビってるよ……
こりゃ話にならないと思って神気をさらに半分まで落とす。
「おいら殺されるかと思ったよ。」
心外な!
「あちきも終わったと思ったでありんす。」
どんだけ〜!
「暴れられたら困るんで、パンツァー様にお伺いしたら半分くらい神気解放しときなって言われただけなんで、罰なんてありませんよ。」
そんなに辛いのかな俺の神気って……
おいら暴れる気力なんか残ってないよ。わっちもでありんす。なんて言っている。
チャとパンの方を見ると服を着てくれたようなのでそちらにも話しかける。
「お二人共大丈夫ですか?こちらの2柱の神が暴れる事ってもう無いので少しだけゆっくりしていて下さい、この御二方に少しお話を聞きたいので。」
そう言うとチャが頷いた後に二人とも座り込んでしまった。
オドオドしている2柱に向かって優しめな感じで話しかける。
「お互いの認識の齟齬の部分は既に訂正済なんで、もうそこは問いません。6千年近い時間を封じ込められていたのですから反省なんかし過ぎなくらいしてるでしょうから。」
そう言うと2柱共々首をブンブン縦に振って同意してくれた。
「自己紹介が遅れましたね。私は、パンツァー様の直属の部下で惑星パンツとその周辺の管理運営を任されているニノと言います。」
そう言うと狐の方が。
「なによ!なによ!さっきから何度も大いなる主を名前呼びとか!ちょーウザイんですけどぉ!あんた日本人でしょ!それなら私の事くらい知ってるでしょ!ちょっとは気を使いなさいよ!何その名前!中二?中2臭いのよ!」
と言いながらグイグイくる!
ええーーーー!なんだよ!何この喋り方!俺がどうしても理解できない若い女の子っぽい!
「ちょっとホム様!口調が素に戻ってるっす!マズいっす!直属の部下って言ってたじゃないですか!オイラ達と違って眷族じゃなくて、いずれ同格まで上がる柱なんだから、その口調はヤバいっすよ!」
そう言いながら大きな螻蛄が狐を押さえ込んでくれてる……もう帰りたい……
しばらくわちゃわちゃして螻蛄の方が。
「このままの見た目だと、あっちの2人が警戒し続けてるからオイラ人間の姿になるよ!」
そう言って狐を押さえ込んでいた螻蛄の見た目が小学校高学年生くらいの日焼けした元気そうな男の子の見た目に変化した。
「オイラ螻蛄の神でカン、皆からこの見た目のせいでカンタって呼ばれてます。よろしくお願いします。」
そう言って深々と礼をしてくれた。あらま!すごく礼儀正しい!
「早くホム様も挨拶しなよ。」
そう言って九尾の狐を窘めてくれる。
「玉藻の前……ふんっ!」
尻尾の先に灯っている焔が揺らめいたと思ったら10代後半〜20代前半くらいの超絶可愛らしい女の人になってムスッとした顔で自己紹介してくれた。うん、知ってる。
「とりあえず陸に戻りましょうか?握り飯と香の物と飲み物くらいしか無いですけど、お腹減ってません?」
そう聞いたら2人共同意してくれた。
だからチャとパンにも同じ事を言ったら、同じく同意してくれたから、2人にスキルオーブを渡して浮けるようになってもらってから陸に向かった。
んで陸に向かう途中の会話がこんな感じ。
玉「あんた日本人から神になったのよね?だって日本語喋ってるもんね。ならあれでしょ!私の名前を聞いたら恐れおののくのが普通の日本人でしょ?なんで私の方がひれ伏さないといけなのよ!変でしょ!超絶ムカつくんですけど!それになんで大いなる主の部下が人神なのよ!」
ニ「見た目は日本人のアバターですけどね、実は人間だった事なんて数回しか無いんですよ。まともに全部揃ってる人間の見た目ってのがこれしか無くて日本人アバターなんですよ。」
カ「ええっ!解脱するのに何回も転生してから解脱した口なの?凄く大変でしょそれって!」
二「殆ど微生物でしたけどね、昆虫や動物だった事も多々ありますよ。」
チ&パ「…………」
二「見てみます?動物アバターなら色々揃ってますよ、まあ狐は経験した事が無いですから狐になれないですけどね。」
玉「うわ!ピグミーマーモセットじゃん、ちょー可愛いんですけど!何よそれアライグマ?うわ!モフモフじゃない!えっ!タヌキ、それなんかムカつく!」
カ「色々アバター持ってるんですね、羨ましいなあ。今だと課金してガチャ回さないと手に入らないもんな、お金なんて持ってないから揃えるのとか無理だ。」
二「こんなのもありますよ。」
カ「うわ!カマキリじゃん、こわ!蜘蛛!でもオス蜘蛛なんですね食べられちゃいますね。ゲンゴロー♪」
チ&パ「……………………」
玉「あんた人間だったんでしょ?あたしの事責めないの?」
二「責める理由がありませんよ、そうするしか無かったんでしょ?」
カ&チ&パ「………………」」
玉「そう……ふーーん。向こうに着く前に少しだけ愚痴を聞いてくれない?」
二「いいですよ、まだ5kmくらいありますからね。」
玉「私の尻尾、この1番大きな尻尾の先に灯っている焔ってね……私の子供の中でも1番大きな体をしていた子供の魂なのよ。ちょっと前までね、ずっと痛い痛いって泣いてたのよ。」
二&カ&チ&パ「………………」
玉「人間って残酷よね?そう思わない?だってさ私の子供達って狐でしょ、自然界でそんなに強い方じゃないでしょ?だから食べられて死んじゃうのって仕方ないのよね、弱肉強食って言うの?」
二「ですね。」
玉「最初の子供って虎に食べられたわ。でもね、その子は虎の命を繋ぐ糧になったのよ。当然の事だわ。生きる為、次の世代に繋ぐためだもん怒ることも無いわ。」
二「食べる事って生きる者の原罪ですからね。」
玉「でもね人間だけは違ったの毛皮だけを持っていくのよ。凄く優しい子だったのよ、この子……」
二「………………」
玉「乳離れしてからね。狩りが凄く下手っぴでね、小さな昆虫すら狩らなかったわ、いつも木の実や草の実を美味しそうに食べて、お気に入りの木の洞でお昼寝ばっかりしている子だったのにね……」
カ「ひっぐっひっぐっ……」←泣いている
玉「でもその大きな毛皮を襟巻きにしたいって人間が居てね、殺されちゃったわ……狐の肉は臭いから要らないって……
毛皮以外は森に打ち捨てられてね……森に残された肉や骨は森の生き物達が食べてくれるもの、次に繋ぐ糧にしてくれるもの、だから良いわ。」
二「確かに、そうですね。」
玉「でもね、許せると思う?食べもしない生き物を毛皮が欲しいって理由だけで殺す人間を……」
二「私だったら許しませんね。」
玉「そう、あなたも同じ事言うのね。人の見た目をしているくせに。」
二「見る方向が変われば正しい事なんて簡単に覆るものですからね。」
玉「ふーーん。そう言うの経験したくて解脱前に何回も転生したの?」
二「そうじゃないんですけどね。必然的にそうなったって感じですね。」
玉「ふーーん。そっか。」
カ「なあ!握り飯って言ってただろ?麦か?赤米か?黒米か?」
二「白米ですよ。」
カ「え!白米ってあれだろ?昭和以降に食べれるようになったあれだろ?オイラ未来眼借りた時に見た事しかないや!美味いのか?美味いのか?」
二「口に合うかどうか分かりませんけどね。鬼さん達は、美味い旨いって食べてくれましたよ。」
カ「うわ!すっげー楽しみ!」
そんな会話をしながら陸に向かって海の上を浮きながら歩き続けていた。陸から2kmくらいの所まで来たくらいで鬼さん達がハッキリと見えてきた。
鬼さん達がボーリングのピンみたいな感じに並んでいる、先頭に立つのはハクさんだな、その後ろに子供たちが背の低い順から高い順に並んでいる。後ろに大きな鬼さん達が並んでる。
聞こえてくる、いさおしの歌……
あれだな、ラグビーのニュージーランド代表のハカみたいな感じのあれだな。
身長3m後半くらいのムキムキマッチョの鬼さん達がやると凄い迫力だし、2kmくらい離れててもその声が聞こえてくる。
どの世界に行っても、こんな感じの歌ってあるんだよな。
それを見ながらチャとパンが大号泣している。
玉藻の前と螻蛄のカンタ君は、すげー!超すげーって大興奮してるよ。
空中を駆けながらガンモも近付いて来る。
新しい青い月が静かに青く光っていた。
うーん、三人称で書くとえげつない文字数になる。だからといって片方の視点から書くのも……
と迷った結果こうなりました。まるで台本のセリフのようです。
読んで貰えて感謝します。




