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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
2章 隣人が出来ました。
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チョメチョメ

ニカラチャとパンチョモの物語の後日談って、多少書かないと進まない事に気付いたので書きます。


 空中に浮かぶチャとパンの物語を見終わって、興奮覚めやらぬ中ちょっとしたお祭り騒ぎになったので、これ幸いと日本で買ってきた自分用のペットボトルに入った安い焼酎を大人達に、子供達に最長老の実を搾って作ったジュースを用意して鬼さん達に振舞った。


子供達なんか満面の笑みってやつでキャッキャッ言ってるし、大人達なんか喉を焼く焼酎に唸っている。


コップなんて、もちろん使い捨ての紙コップだけど使い終わったら竈に火をつける時に使うから捨てる訳じゃない。


「あたしもあんな命懸けの恋がしてみたかったねえ。」


とは、ハクさんの言葉だ。似合わぬ。


そう思っていたけど……実は、ハクさんって既婚なんだよ。旦那さんは、食料管理をしていたエンジさんで子供も居るんだ。


「あれの激しさは、あんな物じゃなかった……」


ボソッとエンジさんが呟いている。

それを他の男衆が、うんうん頷きながら聞いている人がいたり、肉を食わない筈なのに肉食獣に見えたぞとか、殺されるか嫁にするか選べと求婚したのを初めて見たぞとか言っている人も居る。


確かに色々と激しそうだよなあハクさん……


そんな話は、置いておいて。


「皆さん、1度私の認識と、皆さんの知識をすり合わせましょうか?」


そう問いたら。


「すり合わせですか?」


って俺に1番近い所に座ってるアイさん(男)が頭にはてなマークを付けて首を横に傾げてる。


「ええ、皆さんニカラの氏族の誕生ってどう伝わってます?」


それに勢い良く答えたのが、子供達の傍で面倒を見てくれてるコンさん(女)が。


「そりゃあ、大いなる大地の神から直々に名を受け取った御先祖様から続いてる由緒正しき歴史を紡ぐ民なんだから、大昔からあったんだろうよ。今更なんだってそんな事聞くんだい?」


「さっきの映像ですけど。チャは、自分の事をニカラのチャだって言ったシーンありました?なかったでしょ?」


そう言うと、全員がそう言えばそうだってざわついている。


「えーとですね。ニカラ氏族のニカラってのは、ダンジョン最深部の攻略を達成したチャとパンの2人に与えられた苗字なんですよ。」


そう、ニカラを漢字で書くと二辛……難易度2級って意味だ。


ざわつく鬼さん達を無視して続ける。


「それと、あの映像の後なんですけど。私の上役であり、この銀河の大いなる神から声を掛けて貰って、直々にニカラの姓を名乗る事を許されたんですよね。その時に、2人は特別なギフトを授かっています。」


その部分は、とある理由でカットしてある。

まあ盛り上がった2人が安全になったダンジョン最深部でチョメチョメしてたからなんだけどな。


その部分は、お互いをまさぐるくらいの所で俺も気付いて、見たらダメだって思って見てない。


「それでですね、ニカラ氏族の巫女ってチャの子孫ってなってますけどね。実はニカラ氏族全体がチャとパンの子孫なんですよね。」


絶句している鬼さん達をよそに続ける。


「パンチョモの正式な名前なんですけど、ニカラパンチョモ。ニカラ氏族のパンでチョモの血族って意味なんです。」


何故か後世にニカラパンチョモって名前は、伝わってない、パンチョモだけになっている。


「そして内向きの魔術なら使える鬼族の皆さんの中で外向きの魔法を使える巫女が生まれる理由が、パンチョモの血が色濃く出たからなんですよね。」


そう言うとハクさんが。


「あたしゃチャの子孫なんだよ、パンチョモって魔族なんかの子孫じゃないさね。」


なんて言うから。


「チャの嫁さんってパンチョモ1人なんですよ、どんなに他の鬼族の女性に言い寄られてもチャは嫁が大事と言ってキッパリと断ってますから。そして結婚した後に16人の子供を授かります。鬼の皆さんからは異常でしょうが、ゴブリンだった頃の多産の特性ですね。その子達が全員健康に育って、他の地域の鬼族の方と結婚してニカラ16氏族を構成して行くんです。」


ニカラ氏族の誕生の歴史を掻い摘んで説明したら、アオさんがボソッっと一言。


「我々は、神に祈っていたのではなく、先祖に祈っていたのか……」


と呟いた。たぶん皆に聞こえたんだろう。全員黙祷している、子供達も含めて。


黙祷した後に、アイさんが。


「聖なる大地に導いてくれたのは、案外御先祖なのかもなあ。」


と言ったので。


「そうですよ。元々ニカラのダンジョンがあった場所が、猛る山・ニカラ山ですし。パンとチャの意思が何かしらあったんでしょうよ。そうじゃないと、あんな場所に聖域への門なんて絶対に開きませんから。」


そうなんだよな、聖域への門って各大陸に2箇所ずつしか無いんだよ。なのに突然何も無い場所に門が出来るなんて、何かしらの人為的原因が無いと無理なんだ。


エーテル素粒子(日本人にわかりやすく言うと魔力)の揺らぎを調べてみたけど、パンチョモの魔力が少しだけ検出されたんだ。


「どうでしょう、田植えが終わったくらいに、チャとパンを解放してあげて良いでしょうか?受け入れてくれますか?」


そう聞くと、1番否定的だったアオさんが。


「あんな物(映像と動画)見せられて、こんな話を聞かされて、嫌だと断る奴が居るなら……俺がぶっ殺してやる。」


そう言ったアオさんに向かって、全員がいいぞ!もっと言え!と大騒ぎになった。


明日田植えだから早く寝て欲しいんだけどな。




安全だからって盛り上がった後に余韻に浸っている2人に、パンツァー様ことテューポーン様が気まずそう声を掛けたシーンは、割愛します。


ここまで読んで頂いてありがとうございます、ブックマークや評価の方もよろしくお願いします。

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