配達員
今回の前書きは、何も書く事がありません。
鬼さん達全員が寝静まった夜中。まだまだ俺は、眠れない。
タブレットを操作しながら、マルトさんにメールで種籾を入手して欲しいとお願いしておく。ちゃんと日本円を添付しておいた。物が送れるメールって便利だ。ちなみにマルトさんにお礼にと、最長老になってる果実を2個もぎ取って添付しておいた、あれ美味しいんだよ。
あれだけ日本の米を喜んでくれた鬼さん達だもん、あの米を育てられると知れば喜んでくれるだろうよ。それにお裾分け貰えたら嬉しいし。
品種はヒノヒカリをお願いしておいた。なんでかって言われたら育ててたから。
つまり、育成の指導が出来るからって理由だ。気象条件も大丈夫そうだし。
それが終わったら今度は、アカシックレコード参照で、ニカラ氏族に何があったのか読んでみる。
まぁ何処にでもある種族紛争なんだよな。
ニカラ氏族みたいな人間以外の人種側から見ると散々たる有様だけどさ、一概に人間が悪いとも言えないんだよ。
人間至上主義に至るまでの経緯も読んで行くと、バチを与えるのもなぁってなるんだ。
ちなみにこの惑星で人種と呼ばれる者だけど、人間、魔人、獣人、空精人、森精人、地精人、魚人、鬼人、石人、木人、樹人なんかが居る。まあその他にも細かく別れるんだけど、大まかにこれくらいが人と呼ばれる種族だ。
ちなみに動物も昆虫も微生物も居るし、色々な生き物の特性を持った魔物だっている。ちなみにラスト大陸に木人と樹人って居ないんだ。
だから最長老は、魔物と間違われてた。
そんな中での種族紛争なんだよ今回のは。
特に外界の事だから俺が手を出して良いものじゃないしな。そこはメールでパンツァー様直々に指示されたから、外界の歴史に関わるような事は出来るだけしないでね、彼らの自治に任せてるから。だそうだ。
とりあえず、彼らをラスト大陸に戻すのもなあって感じなんだよ。何処に行っても狙われるだろうからさ。
権力者や宗教家に都合の悪い事を、それこそ無数に伝承してる種族なんて、権力者や宗教家側からすると排除したい奴らでしかないだろうし。
それにニカラ氏族自体が生き残った数が四分の一程度しか居ないし。このまま戻しても、他の大陸に移しても滅んで行くだけだろうしさ。
朝になったら、聖域に住まないか聞いてみる事にする。
さすがに今日は、聖域の動物達も警戒し過ぎて疲れたようだな。
夜中に元気なのは、ガンモくらいで、寝てる鬼さん達をこっそりクンカクンカして匂いを覚えている所だ。ちょっと臭いとか加齢臭が!とか、この匂い好き!とか色々反応してるのが面白い。
俺が漬けた高菜や人参も好評だったのが嬉しい。ちなみに材料は、日本から買ってきた物だけど。
そっちも種を手に入れようかな。
とりあえず森の木の実や草の実なんかをオカズにご飯でいいかな。
調味料を手に入れるのは、少し大変だけどね。その話は後々。
肉や魚なんかは、基本的に食べちゃダメ。これは聖域の主である俺が決めた。まぁ鬼さん達って見た目に反して菜食主義みたいだから大丈夫かな。
タブレットを操作してGmazonを起動する、いわゆるネットショップだな。
鬼さん達サイズの農具をある程度と、しばらくもつであろう食品関係と、ただの大きな布を何枚か注文しておいた。それでさ支払いって日本円でいけるんだ。
あと神界のお店って何も効果の付いてない道具ってのは安いんだよ、食べ物もね。全部合わせて3万2000円に消費税で済んだ、ポイントも今日は5倍の日だったから少し得した気分だ。
日本に行った時に手に入れてコツコツ残して貯めてたお金を大盤振る舞いする。
因みにネットショップってどうやって配達するのか?って疑問でしょ?一度頼んでビックリしたよ〇濃運輸のトラックに乗って配達員さんが来たんだよ……銀河が違うのに。
ちなみに神界担当の西〇運輸さんらしい……何処に支店があるのかは知らない。
違う銀河まで配達してくれるなんてさすが西濃〇輸だな。因みに今回の配達の時に来た配達員さんは、トラックじゃなくて絨毯に乗ってた。
閑話休題
全ての月が沈んで太陽が登って朝になった。何人かの女の鬼さん達が起きていたので。
「おはようございます。よく眠れましたか?代表の方だけに話すのも何なんで、全員が起きたら教えてください。朝ごはんも用意してますから。」
そう言って夜中から準備していた朝ごはんを運んでくる。
自家製味噌のお味噌汁、湯どうししたチンゲン菜を塩を振って軽く焼いたもの、あとは握り飯。
味噌汁の具は、これまた俺が育てた大根と大根菜。
女衆が男衆や子供達を起こすのと、朝ごはんを運ぶのを手伝ってくれるのに別れてくれた。
一番攻撃的な女の鬼さんは、男衆を蹴っ飛ばして起こしていた。アレ絶対痛いだろ……
「朝ごはんの最中ですけど、全員に聞いて欲しいのでこの場で話しますね。」
そう言って鬼さん達を見ると、全員が食べるのを止めて此方を見ている。
「食べながらで良いので聞いてください。」
そう言うとこちらを見ながら朝ごはんを食べてくれる。
「まず皆さんに理解して頂きたい事が数点、ここが中央大陸で聖なる大地と外界で呼ばれている大陸です。私は、聖域と呼んでいますけどね。まずこれが1つ。」
そう言うと、全ての鬼さんが頷いてくれた。
「次に、あなた達ニカラの氏族の生き残りは、ここに居るだけです。外界にニカラ氏族の生き残りは、もういません。辛いかもしれないけど理解してください。」
そう言うと、一気に雰囲気が暗くなった。
「そして、貴方達に問います。ここで暮らしませんか?聖域で暮らすなら数点ほど気を付けないといけない事がありますが、この大陸で農作業でもしながら生きて行きませんか?」
そう言うと暗かった鬼さん達の顔が少しだけ明るいものに変わっていく。
「別に収めてもらう税なんて無いですよ。ここに生きる物達の決まり事ですけど、意味もなく他の命を奪わない。あとは常識的に考えて悪い事は悪い。ただそれだけです。これだけです、どうでしょうか?」
そう言ったら鬼さん達が、ざわざわし始めた。
良い方に転んでくれると嬉しいな。
家の方を見ると、いみしかトンビがガンモのカツオを奪って逃げて行った。
それを追い掛けて朝から元気にガンモが空を駆けていた。
西〇運輸さんって異世界だろうが「ちわ!荷物お届けに来ました!」って元気に届けてくれそうじゃありません?何となく筆者にはそんなイメージがあります。何処でこんなイメージが付いたんでしょう?
クレームが来たらその部分は、削除しますね。
ここまで読んで下さって、ありがとうございます。




