表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
2章 隣人が出来ました。
40/347

米も調味料もあります、令和の日本製ですけどね

猫まっしぐらです


 緑の肌をした鬼の集団の中から、手に弓を持った鬼が走ってきた。


「どうやらここは、猛る山の近くでは無い別の場所のようだ。」


それに棍棒を持った鬼が答える。


「やはりか、この人間の服装を見れば戦う格好をしていない。無益な殺生をしてしまった。申し訳ない。」


そう言って頭から胸板まで潰れてしまった人間の死体に手を合わせる。


「ちょっと!あんた達!その死体まだ動いてるよ!」


女の鬼が叫んだ。死体の傷が蠢いて、再生されて行く……


「何だこれは……」


そうして死体が元の形に戻ったかと思えば、むくりと起き出し。


「うわぁちょービックリした!まさかいきなり殺しに来るって予想外だわ、日本の感覚に慣れすぎてたな。」


大きな声で確認するかのように声を出した。


それを見ていた鬼達の口が開きっぱなしになっている。子供の中に泣き出す者まで出るしまつだ。


「あのー、警戒なさってるのは、分かるんですが。いちおうここって安全なので。武器は、収めて貰えませんか?」


唖然とする鬼達をどこ吹く風と気にもせず、起き上がった人間の男が話しかけてきた。



 まさか、いきなり殺しに来るって予想外過ぎるよな……

これが地球なら、侵入してきて見つけた相手をいきなり殺すとかまで無くて。

武器を突き付けて脅して身ぐるみ剥いでから殺すとかだし。

てか身ぐるみ剥いで殺すってのもなんか野蛮だな……

でも鬼だよなぁ、どう見ても鬼だよ。


「あのー、聞こえてます?通じてます?あの〜何かしら返事をして欲しいのですが?」


唖然とする鬼の集団に向かって話しかけてみる。

そう言った瞬間、後ろから大きな黒い塊が鬼の前に飛び出し、その尻尾から電撃を放ち大人の鬼達を行動不能にして行く。子供の鬼達には、当てて無いようだが。びっくりしたのか子供の鬼達は、力が抜けて座り込んでしまったようだ。


ちなみに大きな黒い何かとは、ガンモである。

この1年、どう育ったらそうなるのか?ってくらい猫の枠からはみ出たと言うかネコ科の枠からはみ出たと言うか。

尻尾なんか九本になって全部超もふもふで、それを普段は一本にまとめてたり。

あと自分でサイズ調整出来るらしく中型犬くらいのサイズがお気に入りなんだが。今だとアフリカ象くらいの巨体になっている……


「ニノ!襲われた!こいつら敵!危ない!ニノ死んじゃうとこだった!ガンモは、ニノたすける!たすけて美味しいマグロの缶詰貰う!」


食欲かよ!ってツッコミたい所だが、それは無視して。


「大丈夫だよ、これでも神様なんだから。簡単に死なないよ。ほら怪我してる人が居るから、治してあげて。治すのがガンモのお仕事でしょ?だから着いて来たんでしょ?」


そう言うと、ガンモが怪我をしてる鬼達に向かい九本の尻尾を膨らませて、うんうん唸っている。

この1年でガンモは、治癒魔法を自由自在に使いこなすようになっていた。

なんでかって聞かれたら、よく他の動物達とじゃれあってるから怪我させたら治してあげなさいと、スキルオーブを使って治癒能力特上ってのを付与したからだ。ちなみに治癒能力をスキルオーブに出来たのは、ガンモにあげた1つと、部屋に置いてある治癒能力小だけだった。


そんな事を考えてたら、見てる間に鬼達の怪我が治っていく。

最後方に居る少し小さめの重症の鬼もちゃんと治せたようで一安心である。


この集団の代表っぽい1番大きな鬼に向かって。


「どうです、傷治りました?不調な所って残ってません?なんか見た感じ大変そうですよね?もう少し開けた場所に移動しません?多少ですけど食べ物とかもありますし、お分けしますよ。お腹空いてないですか?」


こんな感じで良かったかな?と思いつつ聞いてみる。俺の言葉の後に、アフリカ象サイズのままのガンモが。


「ゴハン!ゴハン食べるの?ガンモもマグロ食べたい!お仕事したから高級缶詰のマグロ食べたい!シラス入りのやつ食べたい!」


なんて言いながら顔を擦り付けてくる。デカくてこっちが耐えられないから、何時ものサイズに戻ってと言うと。嬉しそうに缶詰缶詰と呟きながら中型犬サイズに戻って家の方に走っていった……

空中を駆け抜けて……。


どうやら鬼の人達も、あれ以上暴力に訴えかけて来る気も無いようで。大人の鬼達が子供の鬼達を背負い着いてきてくれるようだ。


とりあえず家まで行って、食べ物でも振舞おう。お腹が空いてると冷静な判断が出来ない人も居るし、この鬼の人達がそうじゃないとも限らないし。

いちおう日本に行った時に買って持ち込んできた米も調味料も鍋もあるから、少し柔らか目のおじやとかなら食べやすいかな?と考えながら森を抜ける。


帰る途中で最長老が、手に武器を持つ鬼の人達を見て。

やれ侵入者だ簒奪者だと騒いでいたが。

この方達は、俺のお客さんですって答えたら大人しくなった。




鬼ですね、緑色の鬼ですね。

ファンタジー生物の定番のゴブゴブ言ってる奴じゃないです。知的です。


ここまで読んで貰えてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ