2章プロローグ2
今回短いです。
惑星パンツの大陸のひとつ、ラスト大陸は、その成り立ちから南側の海に面する部分が殆ど直線になっている。しかし少しだけムラスト大陸時代のなごりが残っていて、小さな半島が2つ程存在している。
西側に位置する半島は、近海の海上貿易の拠点となっているので栄えているが、東側の半島は中央部から半島の先端にかけて活火山地帯の影響で普通の生き物が生活出来ないような場所になっている。
そんな東側の半島の根元に位置するくらいの場所から半島の先を目指して30人程の集団が歩いている。
その集団は、老若男女入り交じっていて疲労困憊であり、大人達の中には大怪我をしている者、血が止まらずそれでも歩き続ける者も混ざっていて、さらに全員がボロボロの服装をしている。
現在ラスト大陸東部は、人間至上主義の国が力を付けて来て他種族を追い出すなり、隷属化させるなりの政策を取っていて、それは苛烈を極めていると言っても過言ではない。
4万人に及ぶ歩兵部隊、1万を超える騎馬隊、それに加えて異常とも言える数の五千人にも及ぶ魔法部隊を動員して国内をしらみ潰しにしている最中である。
この国の総人口が約25万人という事を考えると、その数がどれだけ異常なのか分かって貰えるだろうか?
そんな事をすると、これまでは全種族融合主義を掲げている西側の隣に位置する獣の王国が攻め込んできて人間以外の種族を助けて回るのが慣習となっていたのだが。
近年その国も世継ぎ争いで弱体化してしまって、国を維持する事で精一杯のようだ。
生き物の住めない半島を南に向かっている30人程の集団に目を向けてみる。
この部族は、ラスト大陸でも古くから続く部族なのだが、様々な伝承を口伝や書物で伝えていて、歴史の紡ぎ手とも言われる部族であるが、国によっては、都合の悪い事も多々含まれる伝承を為政者側からすると許せるはずもなく、逃げる事も出来ず、駆逐せよと命令を受けている将軍率いる全軍で追われている最中である。
このままだと半島の先にある活火山地帯に追い詰められてしまう事が分かっていても、既に半島の大陸側の出口は歩兵部隊が埋めつくしており、今まさに騎馬隊と魔法部隊とで殲滅作戦行動に移ろうとしているので全種族融合主義の国に逃げることも不可能である。
逃げた所で生きれる保証等無いのだが。
その集団の中の1人が呟いた。
「戦える者は、戦って死ねばいい事だ。だが子供達だけでも生かしてやりたい。神でも悪魔でも構わない、大人全員を生贄に捧げよと言うなら喜んで捧げる。なんでも良い、助けてくれ……」
悲痛な呟きがその集団の大人達に伝わったのか涙を流す者まで居る。
そんな中で火山性の水蒸気だろうか?あたり一帯に霧が立ち篭める……
霧が晴れた後に騎馬隊と魔法部隊で半島をしらみ潰しに探し回ったが30人程の集団は、どこにもいなかった。
まるでその存在をかき消されたかのように。
活火山の噴火の音だけが、あたりに響いていた。
次回から2章本編突入です。やっと主人公に隣人が出来ます。でもラブコメも無ければハーレムも出来ません。
だって普通のおっさんだもん。ハーレムとか無理だよねー。
読んでくださって感謝です。




