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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
1章 始まりの1年
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神々と、国の決まり事

ふう……


 夜中に起きて散歩してくると言って出ていったガンモも朝日が登る前にちゃんと帰ってきた。


全部の月が沈んで東の空に朝日が顔を出している。こんな時間に日本に行ってもホームセンターなんて開いてないと思う人も居るだろうが、田舎のホームセンターは、24時間営業の店だってあるんだ。なので。


「ガンモ、ちょっとだけ前の家に帰るけど。ガンモも来る?」


と聞いてみたら。


「朝ごはん食べて、もう一度寝て起きたら縄張り確保するから行かない。」


そう言われて少し寂しく感じながらも。


「それじゃできる限り早く帰って来るけど、起きた後にあんまり遠くに行ったらダメだよ?」


「うん!分かった!近くを確保しとく!」


カリカリと焼きカツオとミネラルウォーターを用意して実家に帰省を起動する。

指定した時間は、前回の2日後まぁこっちで過ごした日数を足しただけだ。軽く視界が歪んだ後に、自室に到着した。


時計を見ると朝の5時28分、タブレットを操作してジーパンとロンTに着替えて廊下に出る。

誰かが既に起きているようだ。居間の電気が付いてる。

少し気になって居間の方を覗いて見るも、テレビが付いているが誰もいない。

ん?

電気もテレビも付いてるけど誰も居ないのか?

一応マルトさんに連絡を入れるつもりだったが、まだ朝早いので迷惑かな?とコールするのは控えておいた。

外に出るのに靴下とスニーカーを履いて家の裏手の畑に続くあぜ道の方に歩き出す。


マルトさんは、人間の姿をしていて。既に起きていたようで。道祖神の像の横で、何故か体育座りしながら畑の方を見ている。


「おはようございます、だいぶ日が登るのも遅くなりましたね。」


そう声を掛けたらマルトさんがこっちを見て。


「おはようございます!どうなされましたか?」


なんてちょっと焦った感じがしたが。


「ちょっとホームセンターに買い物に行きたいのですが、お金の入手方法と……あと他所の神がふらふらしてもいいのか?ってのを聞きに来ました。」


「そうですか、でも時間が早すぎじゃありません?」


「ちょっと必要に迫られまして。あそこのホームセンターなら24時間営業のはずなので朝早くても大丈夫かなと。」


「一応ですがお金を手に入れる方法が、10時くらいにならないと使えないのですよ。とりあえず前回に来られた時に頼まれた事の詳細でもお伝えしますね。」


頼んだ事?と考えたが、あれかな兄夫婦の事かな?

どうやら正解だったようで、両親や兄と妹夫婦の事を色々と報告された。


死亡保険付きの傷害保険の受取人を妹にしていたので、それはそのまま妹夫婦に。

生命保険は両親に。

兄夫婦は、俺の貯金から150万円(ほぼ全て)を現金で渡したらしい。

しかも昔から嫌いだった親戚の爺さんが兄夫婦に向かって凄い剣幕で。


「貴様らが何をしたか覚えているのか!あれがどれほど苦労してそこまでの金を貯めたのか分かっておるのか!戯言も大概にせい!わからんと言うのなら、ワシがぶっ殺してやる!」


と、額に青筋立てまくって床の間に飾ってあった大身槍を持ち出して兄貴に突き付けたらしい……何やってんだよ。

兄夫婦に150万円叩き付けて、これが手切れ金だ、ワシらの目が黒いうちは、この土地に帰ってくるな!と叫んだらしい、そして親戚一同から羽交い締めにされたとの事だ。


すぐに怒ってゲンコツが出る気の短い人だったので、昔からあの爺さんが嫌いだった……

でも少しだけ見直した……好感度アップも死んだ後かと思うと少し切ない。


「そうですか、そんな事になったんですね。でもある程度両親に残せたんで良かったです。」


色々話を聞いていたら既に午前9時を回っていた。


「それじゃお金を手に入れる方法でもお教えしましょうかね?」


と言ってマルトさんが実家の表側の方の県道の交差点に向かって歩いていく。


交差点で一旦停止した軽トラの荷台に颯爽と乗り込んで、早く早くとこっちを手招きしている。なので俺も乗り込んだ。


しばらく軽トラの荷台で揺られていると、着きましたよとマルトさんが言ったのは、田舎のドライブイン的な感じの自動販売機が沢山並んでいる場所だった。

そしておもむろにマルトさんがしゃがみ出して。自動販売機の下を漁っている……もしかして……


「拾うのですか?もしかして小銭を拾って集めるのですか?」


と聞いたら。


「これは、準備なんですよ。」


そう言って100円玉2枚と10円玉6枚を手に入れていた。どうやらそれだけあったら充分なようで。


「次に行きましょう、あの軽トラの荷台に乗ってください。」


と軽くデコレーションされた軽トラを指さす。


「そう言えばさっきから誰も居ないのに車が動いてますけどどう言う事でしょうか?」


そうなんだ、運転席に誰も居ないのに車が動いているんだ、と言うかここまで生き物と言えば猫とカラスしか見てない。


「タブレット操作で現世干渉度の項目の視覚をオンにしてください。」


そう言われたのでタブレットを取り出す。今度は、脇の下からポロっと落ちてきた。


「タブレットの取り出し方法は、ランダムのままなんですね。」


と言われた、つまり変えられるらしい。

設定の部分で取り出し方法とあったので先にタブレットの取り出し方法の項目から左手の上に出現するを選んでみた。

でも殆どの取り出し方法がちょっとどうかと思うようなのばかりだったのが気になる。

その後に、現世干渉度の視覚をオンにしてみた。そしたら人間だけじゃなくて、虫や鳥なんかも見えるようになった。


「やっぱり、このタブレットって大切なんですね。住居確保より先にタブレットを細かく調べた方がいい気がしてきました。」


そう言うと。


「ぼちぼちで良いと思いますよ。気になった時に調べたら大丈夫ですから。あと現地に到着するまで少し時間が掛かりますから、その間に未来眼をオンにして欲しいのですが。」


そう言われたのでアプリの目をタップして未来眼をオンにしてみる、左目に少し違和感を感じた。


「左目にほぼ確定している未来が写りますから、今のうちに慣れてくださいね。」


そう言われたので周りを見渡してみる。

2重に風景が見えるので気持ち悪い時や、両目とも同じ物を見ている時や様々だった。


そうこうしていると、軽トラが駐車場に止まった。どうやら現地に到着したようだ……


「えーとサテライト??競輪ですか?」


「ええ、さっき拾った小銭を未来眼で確定している未来を見ながらかけるんですよ。」


「なんですかそれ!ダメでしょ!そんなのいんちきじゃないですか!良いんですか神様なのに!」


「いちおうですが、競馬、競輪、競艇、オートレースなんかは、神とこの国の決まり事で大丈夫となっています。でも過剰なまでにお金を手に入れる事は、禁止でして罰則もありますから数万円くらい手に入れる程度にしてくださいね。」


そう言いながら、慣れた手つきで車券を購入していくマルトさん、時代劇に出てくる汚い農民の姿なのに誰も違和感を感じて無いんだろうか……


「あのー。人間から我々は、見えてないんでしょうか?」

そう聞けば。


「我々のやっている行動も姿も認識出来てませんね。まぁ見えたら大変な事になるのですが。」


三連単を一点買いで200円……当たるのか?

あっ未来眼で見たら当たってる……ずるい……

どうやらそこまで配当が高かったわけじゃなかったので8200円になっていた。それでもなんか納得行かない……


「慣れてください。昔は、宝くじとかバンバン当ててたらしいのですよ。でもそれだと大金を持ち過ぎて色々不都合があるって事になりましてね。以前ありましたよね?竹藪に1億円とか……。

あれから公営ギャンブルから必要な分だけ手に入れるって神と国で決めましてね。無茶にお金を手に入れる神々もいなくなったので、平成に入る少し前からこの方法で神々はこの国の現金を手に入れてるんですよ。」


なるほど……


「いちおうガンモ貯金から1万円持ってきたのですが、それを使ったらダメなのでしょうか?」


「使ってしまえば、なくなりますよね?所有者が自分になっている現金なんて凄く貴重なんですよ。お(やしろ)を持っている神々ならお賽銭で何とかやりくり出来ますが。持っていない神々だと現金を手にするのは、とても難易度が高くて。」


「なるほど、神界も世知辛いですね……」


「そうなんですよ……とりあえず今手に入れた現金から軍資金を渡します。如何程必要なんですか?」


「えーと、エンジンチェーンソーを1つと缶に入った混合ガソリンを数本と猫用ミネラルウォーターを数本欲しいので10万円ほど欲しいのですが。」


そう言うと。


「ギリギリ限界をいきなり攻めて来ますね、一度に手に入れて良い限界が10万円なんですよ。次のレースだと配当が2万4800円なので400円掛けたら10万円くらい手に入れる事が出来ますね。私の手に入れたお金から使ってください。その1万円札は、とても貴重なので残しておいた方が良いですよ。」


そう言われたので有難く千円借りてその中から400円使って未来眼で見えている、ほぼ確定未来にかけてみる。普通に当たった……


手に入れたお金の中から千円マルトさんに返してサテライトを後にする。

サテライトの前の交差点で赤信号で止まっている軽トラを指さして、マルトさんがこの軽トラに乗ってくださいと言うので、軽トラの荷台に乗り込む。


そのまま田舎の郊外にある大型のホームセンター

に到着した。

ホームセンターに到着する前にマルトさんが今風の普通の服に着替えていた。髪型も普通のハゲ頭でちょんまげも無くなっている。


「あっそうです、現地人に分からない顔に替えてくださいね。軽トラを降りたら実体化しますから。そうしないと買い物出来ないですからね。」


そう言われたので、田崎和信の顔だとまずいのか考える。

確かに死んだ人間が近くのホームセンターでチェーンソー買って居る姿とか笑えないな。知り合いに会ったら困るからと、タブレットで使えそうな顔を選んでみる。

4回目の人間だった時の顔が28歳位の青年だったのでその顔を選んで、髪型も令和の日本に違和感の無いものに替えておいた。


「そのような顔も持っているのですね、アバター課金でもしました?」


「アバターも課金出来るんですか……この顔は、過去に経験したものなので課金しなくても使えますよ。」


「おお!羨ましい、私だとこの顔以外の人間の顔を手に入れるのにランダムガチャに1回転10万円課金しないとなので。」


「10万円課金して1回ですか、しかもランダムなんですね。」


「そりゃ顔が色々あったら便利ですからね。いい事も悪い事もどうとでもなるじゃないですか。」


「あぁ確かに、善神と悪神両方に配慮してるんですね。」


「ええ、そうですよ。私の上司なんかだとアバター課金にハマっていてフルコンプした、若武者アバターのイケメンの若武者姿ですよ。」


「うわぁ、元は外国の方ですか?なんかサムラーイとか言ってそうな……」


「いえいえ、まだ武士が誕生する前のお産まれなので、単純に武士に憧れているだけのはずですよ。」


「うわぁ……」


そんな話をしながら、有名メーカーのエンジンチェーンソーと1リットル缶に入った混合ガソリン1箱12本入りと猫用ミネラルウォーターを10リットル分とマルトさんにお礼にとリンゴとレタスを購入してホームセンターを出た。


「1度行った場所なら転移出来ますから、次回からお1人で大丈夫ですよ。」


「転移ですか?チートですね。」


「まぁ私の場合転移の神力なんて使えないので、毎回こんな感じで移動してるんですがね。」


そう言われたのでタブレットを操作して神力項目から転移を探してみると普通に同行者もOKと書いてあった。

ただ宇宙の壁は、超えられないとも書いてあった。

マルトさんを伴って実家の倉庫の入口前をマップで選んで転移して帰ってきた。実家に帰省よりも視界が歪むのは少なかった。


倉庫から大工道具の皮剥きとちょうなを持ち出して鑑定してみたら、持って帰れそうだったので購入した荷物とその2つを羽衣にくるんだ。


マルトさんの像の前にレタスとリンゴと500円とミネラルウォーターをお供えして手を合わせて、マルトさんにお礼を言って帰宅した。


タブレットの時間表示で午後1時35分となっていたのでガンモを呼んでお昼ご飯食べるかと聞いたら。


まだ遊んどく!と言いながら、尻尾が2つに別れているタヌキをクンカクンカしていた。


読んで頂けて感謝です。後書きまで読んで貰えたらもっと感謝です。

釿が分からない方はググってくださいね。


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