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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
終章 新世界
334/347

ヒーローは遅れてやってくる 2

遅れます。


 離れてと言われて、離れるわけが無い。巻き込むと言われても、もう巻き込まれている。


 そんなマルトさん……なのだが。


「白い月ですよね?白い月に入るんですよね!私もついて行きます。ニノさんが元通りになるまで癒して差し上げますとも!私の産まれ持った権能は癒しですから!」


 そんな事を叫ぶ。


「マルトっち、よく言った。見たぜ、お前の覚悟。」


「まるどざんにば……ほんどじがなわないなぁ……よろじぐだのむよがんだぐん……」


 ここまで巻き込まれたのだ、今更地球に帰ってもオリュンポスの神々に狙われる事は間違いないのである。覚悟は決まっているようだ。


「行きましょうニノさん!お願いしますカンタ様!うわっ!なんです!何んですかこれっ!」


 それまでマルトさんの体には覆い被さないように必死にニノが抑えていた腐った触腕達がマルトさんを飲み込む。


「なんですかこ……れ……」


 そして……


「ペッ………………がみのおじ……あじがどうごさぃまじたまるどざん……」


 ニノの口から吐き出されるマルトさん、吐き出されると同時にニノの発動した神の檻に閉じ込められてしまう。


「うん。それでこそニノにいだ。いつかまたな。」


 なんですか!何してんですか!と飛ばされながらマルトさんが叫ぶのだが、ゼウスの放った最後の雷霆がニノだった物に突き刺さり、微かに残っていた意識も全て粉砕されてしまう。


「ニノさん!ニノさん!何してんですか!何してくれてるんですか!こんな時まで遠慮なんてしないでください!何してんですか!出して下さい!」


 もう何も聞こえてはいない。


「ニノにい、帰ってくるまで責任持ってパンツノ惑星はオイラが預かるよ。安心して無に帰りなな……」


 地上では降り注ぐ祟りに悪戦苦闘している生き物達、雷霆本体を飲み込み更に膨れ上がる祟り神。


 檻に閉じ込められて叫び続けるマルトさん、そして……


「バイバイ。どっせいっ!」


 ゼウスと白い月が一直線上に重なっている、今この時を狙って、ニノだった物を宇宙(そら)へとカンタ君が打ち上げる。


 ゆっくりとゆっくりと空に打ち上げられた祟りが、ロケットの打ち上げの時のように、少しずつ少しずつ速度を上げて上って行く。




「ぬう!まだ足りぬ……足りなかったか!」


 出せる全てを出し切ったのだが、消滅まではさせられなかった、しかし完全に祟り神へと変質させる事が出来たゼウスは……


「ぐぬぬ。界渡りすら出来ぬか……神気が回復するまでは走るしか無いな……。」


 自分に向かって速度上げる祟り神を見て走り出す、牡羊の姿になって……




「見てみろよロキ、ハデっちゃん。またゼウスのやつ羊になって逃げてやんの。」


「相変わらずだな。」「あれはあれで癒しだと思うのだが。」


 それを見ている3人なのだが。


「なあ、今回の記念にさ……俺の銀河に負け羊座って星座でも作ってやろうか?逃げ羊座の方が良いかな?」


 テューポーンがそんな事を言うと……


「エロ羊座の方がよくね?ゼウスって……変態羊座じゃ呼びにくいし……」


 ロキが更に酷い被せをして……


「ロキ、ポンおじ。弟を虐めてやるな。アレが目の前に迫ればロキもポンおじも逃げるだろ?」


 ハーデスがフォローする。


 既にロキは配達員の格好に戻ってロン毛のイケメンに。

テューポーンも神気を抑えて今までのようにあやふやな存在に。

ハーデスはまだ冥王として動いてはいるが、どちらかと言えば弟を助けようとしている。


 なんでこの3人が余裕なのかと言うと……



「なあ!なんで休んでんだよ!まだ祟は降り注いでんだろ!示芽慈!白虎!まだ気を抜くな。」


 カンタ君が叫んだのはシメジにだけじゃない。

聖域中の回復役をしていた猫系の生き物達がシメジもハルちゃんも、にゃん族も猫又達も含めて、立ち止まって上を見ているから。


「大丈夫。もう大丈夫だよ。だってパパさんが来たもん。」「ガンモ君が居るなら大丈夫。」


 上を見続けている猫達が一斉に唸り出す。


 音にすると……

にゃーーーーごーーーー にゃーーーーーごーーーーー うーーにゃーーーーーー


 としか聞こえないのだが……


『ヒーローは遅れてやってくる!お迎えするぞ!若芽彦様のおかえりだー!』


 なんて叫んでいる。


 そう、ヒーローは遅れてやって来る。



やってきます。


読んで貰えて感謝です。

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