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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
終章 新世界
333/347

始まる変化


 聖域南西部の神の家のある草原を覆い尽くす程に膨れ上がった、祟り神を受け止めた青く輝く巨大な螻蛄。


 地面を見れば、垂れ落ちる腐汁を体で受け止める魔物や魔族。その隙間を縫うように癒し魔法を発動する猫又を背に乗せて走る動物達。


 神の家に張った結界に参加しなかったエルフは、植物と共に聖域の大地を支える為に、その足元を固めるのは沢山のドワーフ。


 全員が鬼の歌を背に受けて十全に力を発揮し始める。


 降り注ぐ大きな祟りや呪は朱雀一家が焼き尽くし、大地を守る白虎は息子と共に癒しの波動を放ち続ける。それを囲むのは希少種にゃん族、正三角形に白虎とシメジを囲み、治れ、頑張れ、綺麗になれと祈り続ける。


 海に降り注ぐ祟りや呪いは玄武の一族島亀達が、角鰻の体液を、船舶のプロペラなどに貝類が付着しても振動で剥がれ落ちるようにと塗られるペラコートよろしく、付着させては空に弾き返し、空中高く打ち上げられた物は青龍率いる角鰻達が体液で包んで、空を飛ぶ鳥たちが朱雀一家の元へと運び続ける。


「ただいま、ちっと無理しすぎちまった。なあガンモ、お前の出番だ。行ってこい!」


 宇宙から見ていた2人の神はテューポーンが帰って来た直後の言葉に硬直して、ガンモは歓喜の叫びを上げる。


「テューポーン。良いのか?ここで行かせて良いのか?」


「叔父上……大丈夫なのか?ゼウスはまだまだ雷霆を撃ち込んでいるが……」


「早くどけて!急がないと!早く!」


 驚く2人の神にテューポーンが答えたのだが……


「こっからは俺でも見えねえんだ。ロキだって見えてねえだろ?どうなるか知らね。ダメだった時は終わらせてくれよ。」


「そうだな。ダメだった時はテューポーン、お前の世界もろとも終わらせてやるさ。」


 鎌をガンモの首から離した瞬間にガンモが飛び出す。


 彗星のように尾を引いて。


「あー!転移させてやんのに!なんで行っちまうんだよ!」


 猫だから、誰かの思い通りにはならないのである。



 そして……


「重てえ!なんだよコレ!見た目以上に重たいだろ!」


 それは仕方ない。ニノが集めていた様々な粗大ゴミ、壊れた電化製品、錆びてボロボロの車やバイクの部品取り車。それだけでは無い……様々な勿体ないと捨てきれなかったビニール袋や廃材やペットボトルや空き瓶、果てにはエルフの為に用意するつもりだった大陸の素材にする為の小惑星まで、様々な物がニノの体の中に宿っているのである。


 重たくない訳が無い。


「ごべんがんだくん……なげられぞうがな?」


「カンタ様!ガンモ君は何処に居るんです!ニノさんを早く!早く癒して差し上げないと!」


 カンタ君の耳に声が届く範囲に入ったニノ頭部とマルトさん、カンタ君がその方向を見れば……


「マルトっち、こんな時に笑わせんな!なんだよその和装とピンクのヘルメットは……花柄ヘルメットとか狙ってんだろ、コントか!ひっひ……」


 力の抜けそうになるカンタ君、4本の足で支えていたのだが左側の2本がくしゃりと折れてしまう。


「カンタ様!」「がんだぐんむぢじないで。」


「カンタ。あんた忘れてんでしょ、呼びなさいあんたの親友を。あの子の大きさはアンタが1番良く分かってるでしょ?」


 青い粒子から聞こえて来た声、そうだった!と思い出すカンタ君。


「植物達!気合い入れて大地を支えろ!エルフに宿る微生物達!活性化しろ!ドワーフ!ガッツリ固まれ!鬼達応援よろしく!魔物!魔族もうちょっと耐えろ!」


 そして呼ぶのである。玉藻御前の子供の中で最も大きい子を。


「ゴン!お前も手伝ってくれよ!」


 こんな時も雑草ハウスの中で惰眠を貪っていたゴンなのだが、親友のピンチには起きて来るようだ。


「何すればいいのカン?僕は眠たいんだよ……」


「寝てて良いから一緒に支えて!」


 嫌々そうに空を見て、眩しく無い事に気付いたゴン。仕方ないなあと呟きながら、普段縮めていた体を本来の大きさに戻す。


 カンタ君より数倍は大きい、もふもふ金毛九尾の狐、大きさだけは規格外が。


「仕方ないなあ重たいのもやなんだけどな。」


「助かるよゴン!」


 カンタ君をぐるっと囲むように丸くなって、寝そべったまま、垂れ落ちる祟り神を支え始めた。



「なんと!ゴン様はそれ程の巨体でしたか!ニノさんガンモ君が見つかるまで耐えますよ!」


「むぢでずまるどざん……がんだぐんだのむよ……いばなら、なげらでるでぞ?じろいづぎに。」


「ああニノにい、今なら投げられる。覚悟はしてんだな。」


「まるどざんはなれで……まぎごんぢゃう……」


 その頃のゼウスと言えば……


「くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!何故だ!何故に豊富に流れる神気が我の体には集まらぬのだ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!来るな!寄るな!くそっ!くそっ!」


 元々は太陽系に生きていた生き物達、元々はクロノスだった惑星。

全てゼウスが争った結果である。何一つゼウスに対して協力しようとはしない。


 それに気付かぬままで、ひたすら自らの神気を注ぎ込み雷霆を投げ続けているが……


「ぬおっ!何故に雷霆まで沈黙するのだ!」


 神気が足りないからだったりする。


「ふざけるな!私は神である!私は全知全能の神である!」


 微かに白い月に残っていた封印された神々の神気を吸収出来たゼウス。


「くそっ!叔父上に使うつもりだったが……喰らえ」


 雷霆本体に掻き集めた神気を全て注いでニノへと向かい投げつけたのであった。




 


読んで貰えて感謝です。

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