おっふ
突然曲がったらびっくりしますよね?
巨木の老人の最長老が泣き出さないように細心の注意をしながら色々と話をしてみた。
聖域の動植物は、主に聖域以外の同種の動植物をまとめる役に付いているらしく、ここでの使命が終わったらパンツァー様の主星になる星に召されて神族になるとの事だ。
また俺が自らの手で手折った場合は、使命が終わるのを待たずして神族になれるとの事だらしい。つまり産まれてからある程度時間が経っている動植物なら何時でも手折って欲しいみたいな事を言われた。なんかヤダ。
ちなみに草原に生えてる雑草は、根っこさえ残してあれば普通に生えてくるから気にせず葉っぱなんか使ってくださいとの事だ。
ちなみに最長老は、この星に現存する全ての生物の中でも1番長く生きているらしい。その年齢なんと15万歳……
うん、長老だな。
「いちおうですが、命ある物を無理矢理手折る事など苦手でして。使命が終わった樹木なんかを頂けたら嬉しいです。」
そう言うと。使命が終わり枯れた巨木を何本か教えて貰った。
その際に樹木の特性も色々教えて貰ったので、日本に居た頃に覚えた建材や手道具に使える樹木の特性を思い出して色々な建材に使われる樹木に近い物を選んでみた、そして……
紆余曲折を経てやっと木を切り出す作業に掛かるとする。
とりあえず立ち枯れているヒノキに似た特性を持つ木を選んでみた、そこそこ太い木なので1本切ればそこそこの建材が確保出来るはず。カラカラに乾いているから、乾燥させなくても使えそうと言うのも理由の1つだ。
「うし!木こりの真似事だ!ヒッャハー!」
と、腰に付けていた石斧を振りかぶって木の幹に叩きつけてみる……
幹に当たる前に石の部分が飛んで行った……
「ぇぇぇぇぇぇええええ。」
orzの形に崩れ落ちたよ。
まぁ気を取り直して、飛んで行った石を拾って来て今度は、木に縛り付けずに石を直接手で持って叩きつけてみる。
ガコン!と、いい音がする。だけどくい込んだのが1cmも無い。しかしそこは、根気でなんとかしないとだから何回も何回も叩きつけてみる。
倒したい方向に三角に切れ目を入れて満足していたら。
「念動力をお使いにならないのですかな?大いなる主が植物等を移動する際は毎回使っていたと思うのですが?」
と根っこで器用に歩いてきた最長老に言われた。
「念動力ですか?とりあえず試してみますね。」
そう答えて。
折れろ!と念じたら……
俺の股間の大切ななにかが折れ曲がった!
orzおっふ!
しばらくお待ちください。
復活して。
「どうやら上手く使えない様でして、地道に手作業で切り出しますね。」
そう答えて、反対側に切り目を入れていく。
「なるほど、人型の生き物達と同じ切り方をするのですな。」
さっきの事はスルーしてくれてるようだ、さすが年の功。
「ええ、俺も今は人型ですから。」
そう答えて黙々と切り目を入れていく作業に没頭している。
ある程度切り目が深くまで入ったらミシミシと軋む音がしてきた。
「コレ倒れたら危ないですよね?」
と最長老に聞いたら。
「他の動植物が危なく無いように、私が支えておきますのじゃ!ふおっふおっふおっ!」
と言われたので、お手伝いを頼んで切り目の上を押してみた。
そしたらミシミシと言う音がメキメキに変わって行きながら倒れていく。
それを最長老が完全に倒れ込んでしまわないように持ってくれた。
「このまま草原に運べばよろしいか?」
なんて聞かれた。確かに運ぶ事を考えてなかった、引きずって行けば下草とか虫とかが大変な事になるなぁと思いお願いしておく。
顔のついてない大きな2本の幹で器用に大木を運ぶ巨木……
ファンタジーだ!ちょっと感動するね。
森を抜けて草原に入った所で、ガンモがキツネを追い掛けているのが見えた。
でもガンモが最長老を見つけて、超ビビってる。
耳を後ろに伏せて、体を低く構えてる……
おお!久しぶりに見た!ガンモの戦闘態勢!
でも、すぐに近くに俺が居るのに気付いたらしく。
「ニノ!デカいの!危ないの?危なくないの?怖いの?痛いの?怖くないの?痛くないの?」
ふしゃー!ふしゃー!と言う声がしているが、そう聞かれたので。
「大丈夫だよ、怖くないよ大きいだけだよ!危なくないよ。」
とガンモに言えば。
「ふがっ!神獣……なんとなんと!」
なんて最長老も凄い警戒している。
「あぁ、最長老さんも警戒しなくて大丈夫ですよ。眷属のガンモって言う猫です。躾はちゃんとしてありますから。」
そう言うと警戒を解いてくれたようだ。
「ガンモ、雑草のおうちの所でお仕事してるから、お腹すいたら帰ってきなよ。」
そう言うと。大きな声で分かった!と叫んで遠巻きに眺めていたキツネを追い掛けて行った。
小さい時に曲がっても痛く無いのですが、心の中の何かも折れますよね?
読んで頂いてありがとうございます。
誤字報告貰いました、そこも感謝です!助かります!




